F1の2015年シーズンがとうとう始まっちまいましたね。オーストラリアGP予選。
- 予選結果: Qualifying
- 予選後ドライバーコメント: In quotes - Saturday in Melbourne
- 予選後記者会見: FIA post-qualifying press conference - Australia
順位とタイムを書こうかと思ったんですが、思いの外めんどくさいのでやめた。
今年も我がドイツの科学力は世界一ィィィィ
メルセデスGP、シーズンが変わってもその強さは変わらないままですね。テストから予想された通りの圧倒的なスピードでフロントロウ独占。オマケに、ハミルトンはチームメイトのロズベルグをコンマ約6秒突き放す圧倒的なパフォーマンスを披露してみせました。2度目のチャンピオンを獲得して、いよいよドライバーとして円熟味を増してきた感があります。一方で、ロズベルグはなんか気圧されているような感じも。
まーしかし、そのロズベルグも3番手のマッサに約コンマ8秒の差を付けているワケですから、如何にメルセデスが圧倒的かって話です。本家メルセデスGPはもちろん、ウイリアムズもマッサが3番手、ボタスが6番手に食い込み、今年もやってくれそうな気配。ボタスは予選の途中から背中に痛みを訴えていたようで、ちょっと心配ではありますが。
オマケに、今年からメルセデスユーザーとなったロータスも開幕戦から2台とも予選トップ10に入り、「ルノーとは違うのだよ、ルノーとは!」と言いたげな雰囲気。今年もメルセデスPUのアドバンテージは大きそうですねぇ。そういえば、あとどこかのインドチームもメルセデスユーザーだった気がしますが、あそこはまぁチームの体制がいろいろヤバそうですからね、仕方無いね。
下克上もありそうなレッドブル&トロロッソ
これらメルセデスユーザーに対し、ルノーユーザートップはレッドブル・リカルドの7番手。ストップ&ゴーのアルバートパークとは言え、これは少々厳しい結果。リカルド、去年は予選・決勝とも随分と暴れ回ってみせましたからねぇ。ルノーPUはドライバビリティの設定に苦しんでいるとかって話も出ていますが、同じルノーユーザーであるトロロッソが互角以上のパフォーマンスを見せており、レッドブルのシャシーにもまだ煮詰めるべきポイントは多いのかも知れませんけども。
トロロッソからレッドブルに移籍してきたクビアトに至っては13番手とQ3進出もできない状態。そしてトロロッソのルーキーコンビ、カルロス・サインツは8番手、マックス・フェルスタッペンは12番手と、レッドブル軍団の中ではクビアトが最下位という結果になってしまいました。フェルスタッペンはQ1のタイムを見る限りQ3進出も余裕で行けそうな雰囲気でしたが、Q2でミスをしてしまったのが響いたみたいですね。この辺はまだ若さが見えるかな。
……でもまー、年齢を考えたら上出来すぎる予選でしたけどね。しかし、レッドブルがここまで苦戦するというのも少々意外といえば意外でしたが。ルーキーがここまでポンとタイムを出せるところを見ると、マシンの素性としてはトロロッソの方が良かったりして?
メルセデスGPの次、には来れたフェラーリ
トータルバランスで言えばフェラーリがかなり良いところまで来ていそうなんですが、そのフェラーリもようやくウイリアムズと互角の勝負ができるレベル。ただ、あと一歩のところで3番手グリッドをマッサに奪われるなど、あと一歩詰め切れてない感じもします。ウイリアムズはボタスも本調子じゃ無かったみたいですしね。ベッテルはマシンではなく、自分のパフォーマンスが足りなかったとコメント。
We lost third place because my first run wasn’t quick enough: I’m not very pleased with myself, because there was still some performance to be found, which would have meant I’d have qualified one place higher.
逆にいえば、それだけマシンのポテンシャルは十分、というコトでもあると。ライコネンもメルセデスには及ばないが3番手は可能だったとコメントし、2人ともマシンに対してはかなりポジティブな様子。ベッテルのライコネンのタイムが近いのも、マシン自体の素性の良さの現れとも言えそう?
フェラーリはロングランのペースにはかなり自信があるみたいなので、決勝ではウイリアムズより優位に立てそうですね。ウイリアムズのマシンは今年も燃費にはあまり優しくないようですし。
マクラーレンは予想通りではあるものの
テストでズタボロだったマクラーレン、開幕戦でもやっぱりズタボロでした。出走できなかったマルシャを除けば17番手・18番手という最下位。バトンが懸命のアタックをしても、ザウバーのエリクソンに届かない有様。
レース後のマクラーレン・ホンダの会見ではマシンの熱の問題があってフルパワーが出せなかった、等々のコメントがあったようですが、この辺見てるとやっぱしマクラーレンとホンダで上手く協調してのマシン開発が出来てないように見えちゃうんですよねぇ。
ホンダ密着:予選最下位、新井氏「フルパワーで走れない」 - F1ニュース ・ F1速報公式サイト
会見でもツッコミが入ったようですが、次戦マレーシアなんかは更なる高温に見舞われる環境なワケで、もう今からどうなっちゃうのかハラハラしてしまうワケです。さすがにこれは見通しが甘すぎたんじゃないかと思ってしまう……。
ともあれ、ここから着実に改良を進めていくしか無いんでしょうが……ただ、このあんまりにも遅い状況が当分続くようだと、早々にマクラーレンがジョイントを打ち切るという可能性だって否定はできん気がしちゃうんですよね。まずはコンスタントにポイントを狙えるところ辺りまでは行かないと、ホンダにとって第3期以上の黒歴史になりかねん気がします。ただまー、PUの開発が制限されている状態でどこまでやれるか、という話ではありますが……。
シャシー側の改良と、PUを制御するソフト側の設定でどこまでパフォーマンスが改善できるか、がひとつカギになるのかなぁ。コーナーの立ち上がりのトラクションが不足してたりするのはERSの制御が上手くいってないからなんだろうし。……とりあえず、決勝は最後まで走り切ってデータ収集に努める、が目標になりますね。
危ないザウバーとマルシャ
今週末、レース以外のところで盛り上がっていた話題といえば、ザウバーのドライバー問題。チームは2015年のドライバーをマーカス・エリクソンとルーキーのフェリペ・ナスルにすると発表したものの、昨年リザーブドライバーをやっていたギド・バン・デル・ガルデが2015年のレースドライバーとしての契約を一方的に破棄されたとして提訴し、裁判沙汰になったというもの。
で、裁判の結果バン・デル・ガルデの契約は有効であるという判決が出ちゃったもんだから、チーム側は大慌て。しかしながら、結局開幕戦についてはバン・デル・ガルデが譲歩しエリクソンとナスルの2人が出走するコトになったんですが、次戦以降の体制は不透明なまま。とりあえず、来週以降再び話し合いが行われるようです。
“My management will continue talks with Sauber early next week to find a mutually acceptable solution for the current situation that has now arisen. I am confident such solution will be found and I will inform the media once done.”
裁判で認められちゃうくらいなので、ザウバーが仁義を欠くようなマネをしてしまったのは間違いなさそうなんですが、なんでそんなコトしちゃったかといえばやっぱりスポンサー絡みなんでしょうし、バン・デル・ガルデを乗せてしまうとチームに入るハズだったスポンサーフィーが……みたいな話、なんだろうなぁきっと。
2012年日本GPの可夢偉の表彰台を見て、チーム創始者であるペーター・ザウバーは第一線を退くをことを決断したと言いますが、その後カルテンボーン女史がチーム代表を引き継いで以降チームはものの見事な下降線を辿っており、ついにはこんな問題を引き起こすまでになっちまったか……と思うと、なんかちょっぴり切ないモノがありますね。
そのカルテンボーン女史、今のとこ責任を取ってチーム代表を退く……なんて気は無いようです。まーおそらく彼女が退くときは、チームもろとも轟沈するときなんでしょう。
それから、昨年で消滅したと思っていたマルシャがまさかの復活……かと思ったら走れませんでした、というよくわからん状況になってますね。新たな投資家が見つかったとかで、ギリギリのところで息を吹き返したのはいいものの、あまりにギリギリだったため準備がまるで整っていなかったようで。
マシンは昨年型のものをちょろっと今年向けにアジャストしたものを用意したようですが、PUを動かすソフトウェアが全て消去された状態で、その環境を整える時間が無かったとかなんとか。
マシンはほぼ昨年のまま、ドライバーはウィル・スティーブンスとロベルト・メルヒというルーキーコンビ。どう考えてもまともな戦闘力があるとは考えられないんですが、ここが参戦できればとりあえず参戦台数20台を確保できるワケで、運営側としてもなんとか「参戦して欲しい」んでしょうね。まーここが参戦できれば、恐らく「最下位」は脱出できるであろうマクラーレン・ホンダにとっても有難いのかもしれませんけど。
ザウバーにマルシャ、それに恐らくフォースインディアも資金的・パフォーマンス的に怪しい状態で、マクラーレン・ホンダも当分低迷が予想される……とあっては、トロロッソやロータスにしてみればしめたモンですよね。今年のF1は、見た目以上に「戦える」マシンが少ないのかもしれません。
でも、実はザウバーのナスルは予選11番手に付けるというなかなかのパフォーマンスを見せているんですけどね。エリクソンは割とどうでもいいんですけど、ナスルは面白い存在になるかも。