決勝は例年通り「録画組」でした。F1カナダGP決勝。
- 決勝結果: FORMULA 1 GRAND PRIX DU CANADA 2016 - RACE RESULT
- 決勝ダイジェスト: Race highlights - Canada 2016(動画)
- 決勝後各チームコメント: Sunday in Montreal - team by team
- 決勝後記者会見: FIA post-race press conference - Canada
ハミルトン大勝利
モナコに続いてのハミルトン連勝。さらに、今回もロズベルグが下位に沈んだ中での優勝というのは大きいですね。これでドライバーズポイントはロズベルグ116に対してハミルトン107と、その差9ポイントまで縮まりました。いやー、あのロズベルグが開幕から連勝しまくってた時のマージンは何だったんですかねー……。
ハミルトンの勝利は見事だったんですが、スタート時のロズベルグとの接触は少々際どいというか、まーハミルトンが押し出してますよね。ロズベルグもそれに対しては「腹が立った」とコメントしているものの、「でもそれもレースだ」とその怒りを飲み込んだ模様。
“I was very [angry] in the moment, but that’s racing. In the end it’s my job to make sure I’m in front after a battle like that next time.
しかしロズベルグはこの後もマシンにブレーキの警告が出たり、コースアウトした際にスローパンクチャー起こしてタイヤ交換を強いられたり、最後はフェルスタッペンをオーバーテイクするもブレーキングミスってスピンしたり、わりと散々な内容となっておりました。なんか、去年の悪い流れにハマっていたときの彼に戻っちゃったような……。
ロズベルグのマシンに警告が出まくっていたのは、1コーナーで飛び出したときにマシンが草を巻き込んで、ブレーキのクーリングを阻害したのでは、とトト・ウォルフは推測してますね。
Yes, he had every thinkable warning on the dash. Our guess it that him running wide and over the grass at Turn 1 blocked some of the cooling, so he had warnings for calipers, gears, discs - everything you can imagine.
via: Mercedes must address ongoing start woes - Toto Wolff Q&A
そうしてブレーキに不安を抱えて中盤思うようにペースが上がらず、またコース飛び出してパンクし、最後挽回しようとしてスピン、と悪いコトは連鎖するもんですね。
一方で、まんまとロズベルグに打ち勝ったハミルトンはその後力強いレース運び。スタートでベッテルに先行されたものの、フェラーリの2ストップ作戦に対して1ストップ作戦を取りポジションを上げ、追撃するベッテルとの間隔をコントロールしながらタイヤをマネージメントしきった形。こちらは非常に良い流れでレースをモノにしました。
ハミルトンが連勝するにしても、ロズベルグが2位で食らいついていればここまでポイント差が縮まるコトは無かったワケですが……ハミルトンは去年の強さを取り戻したように見えますし、一方でロズベルグも去年の駄目さを取り戻してしまったような感じが。明確に「風向きが変わった」と感じられたレースでした。
フェラーリ大失敗
ベッテルが2位表彰台を獲得したフェラーリですが、スタート直後にはトップを走っていたコトを考えると手放しで喜べる結果では無いでしょうね。ベッテルは「チームの戦略を批判する気は無い」とコメントしてますが、アリバベーネは「誤った決断だった」とキッパリ。男らしい。
“We overestimated the degradation of the tyres,” Arrivabene explained. That’s why we called him [Vettel] in.
“It was a wrong decision. We don’t have to make the story bigger than it is. Today we made a mistake, but everybody makes mistakes.”
まーレース前のピレリの予測によれば、フェラーリが取ったタイヤ戦略が最速ではあったようですし、事実2ストップ作戦を取ったチームがほとんど(トップ10で1ストップ作戦だったのはハミルトンとボタスだけ)だったワケで、確かにチームの作戦を結果だけ見て批判するのもアレなんですけど。
ただまー、やはりこれも「なんでトップ走ってたのに先に動いちゃうの?」という点に尽きるでしょう。メルセデスも2ストップ作戦に違いない、と踏んでたんですかねぇ。しかしモナコもそうでしたが、ピレリのウルトラソフトは案外もっちゃうんですよねー……気温も低かったようですし、尚更でしょうか。
なお、ベッテルはレースの敗因は1コーナーのアペックス付近に居た2羽のカモメだったとコメントしてるようで、今年は険しい表情が多いアリバベーネとは対照的にチームのムードメーカー役になってますね、彼。
「タイヤが温まるまでルイスをDRS圏外に抑えておくのはかなり大変だったよ」とベッテルはレース後の記者会見で語った。「気が散る出来事があってさ――彼にはもう話したんだけど、どうしても言っておかなきゃ。2羽のカモメがいたんだ。それも自殺志願のカップルだったみたいでさ!」
「いきなりターン1のエイペックスにいたから、思わずラインを外してしまったよ。ルイスは全く気にしないから、そこで0.5秒ぐらいタイムを大きく縮められてしまった。僕は2羽に永遠のさよならを言わせないように気を使ったのに、彼らはルイスがやってきたら考えを変えて飛び立ってしまったんだよ! ずるいじゃないか。僕は動物のためにブレーキを踏むのに、ルイスは踏まないんだ!」
しかし冗談めかして言ってはいますが、カモメが居ようと躊躇せず突っ込むハミルトンって「あー……」って感じがしてやや笑えないところがあります。
そのほか
4位を獲得したフェルスタッペン、ロズベルグに簡単にはオーバーテイクさせないブロック術はお見事でした。てか、若いのにブロックラインの取り方が巧みというか、イヤらしいというか。しかし、「リカルドの邪魔をするな」という無線を華麗にスルーしたのは今後新たな緊張の火種にならなきゃいいですが。
しかしなんだ、「超一流」の強さを持つドライバーに限って、こういうタイプが多いのも事実。結局、えげつないレベルで勝負に拘るからこそ強い、っていう話なんですよね。世界で勝つってたぶんそういうコトなのよね。良いか悪いか別にして。
あと、予選でウォールの餌食になったサインツが9位まで挽回したってスゴイですね。フェルスタッペンに目が行きがちですが、彼もレッドブルに乗せたらどこまで行けるか、見てみたいモノですが。
マクラーレンは……まぁそんなこったろうと思ったぜ的な感じですが、バトンのブローの原因は気になりますね。ICEは5戦使ったものでしたっけ?想定した走行距離を超えてしまっていたのなら仕方無いですが。アロンソは「ストップしていい?」と無線で言っててちょっと驚きましたが、どうもアレは「タイヤが終わってて走ってても面白く無いから、タイヤ交換しにピットストップしてもいい?」というコトだったみたいですね。
“I enquired about the possibility of fitting fresh tyres for the last few laps, but I guess it was a little too much of a risk: at that point we were 11th and stood to score a point or two at the end if something were to have happened ahead of us.
“Still, I’d done more than 50 laps on those tyres – and the two-stoppers were a lot faster than me. I guess we were a bit unlucky – we really needed some rain or a Safety Car to put us back in the fight.
あーびっくりした。
さて、お次は初開催となるアゼルバイジャンですが……コースマップを見る限りめっちゃアクセル全開率が高そうな気がしますが……そもそもアゼルバイジャンってどこにある国でしたっけ……。