2019年のF1も開幕となりましたね。オーストラリアGP予選。
- 予選結果: FORMULA 1 ROLEX AUSTRALIAN GRAND PRIX 2019 - QUALIFYING
- 予選ダイジェスト: Qualifying report and highlights for the 2019 Australian Grand Prix: Hamilton takes record sixth straight pole in Melbourne | Formula 1(動画有)
- 予選後各チームコメント: What the teams said - Saturday in Australia | Formula 1
- 予選後記者会見: FIA post-qualifying press conference - Australia | Formula 1
2019年に新しくなったコト
昨年から今年にかけてもいろいろ規則の変更がなされていますが、車体周りでパッと目に付く部分といえばフロントウイングがシンプルになった、という点でしょうか。特に近年複雑化の一途を辿っていたエンドプレートが、一気に単純なデザインになりましたね。レース中、前走車に接近しやすくなるように、という狙いによるものだそうですが、「あんま変わらないと思う」ってコメントしていたドライバーもいたりして。
加えて、フロントウイングの後ろにあるバージボードも小型化されているようですが、この制約のきつくなったフロント周りで失われたダウンフォースと整流効果をどうやって取り戻すか、が今年のマシン開発の重要ポイントのひとつになるんでしょうかね。
それから、タイヤコンパウンドの呼び方が変わったのも大きなトピック。昨年まではウルトラソフトだのハイパーソフトだのって結局どれが一番柔らかいねん、って状態になっていたものを、全レース「ハード・ミディアム・ソフト」に統一しますよ、っていう。ただ、もちろん全レース同じコンパウンドってワケでは無く、C1からC5と呼ばれる5種類のコンパウンドが用意され、そのうち3種類をピレリが各レース選択して持ち込み、一番硬いものをハード、真ん中をミディアム、一番柔らかいものをソフトと呼ぶ様にしますよ、という話。
C1が一番硬く、数字が大きくなるにつれ柔らかくなるという話なので、C5が去年でいうハイパーソフトってワケですね。オーストラリアに持ち込まれているのはC2・C3・C4というコトなので、昨年で言うミディアム・ソフト・ウルトラソフトってコトになりますかね。これが、レース内ではハード・ミディアム・ソフトって呼び方になると。
あとはリヤウィング翼端版にLEDライトが追加されたとか、最大燃料使用量が105kgから110kgに増量されて昨年より燃費を気にしなくて良くなったとか、でもその分最低車両重量は引き上げられただとか、セーフティカー解除時に追い越し可能となるとはセーフティカーラインではなくスタート&フィニッシュラインを超えたときからだとか、そんな感じの変更が加わっておりますね。
フェラーリがメルセデスより有利という噂もありましたが
シーズン前のバルセロナテストでは、フェラーリがメルセデスと互角以上のペースを叩き出し、かつ運転性も良さそうだというコトで話題になっておりましたが、フタを開けてみると予選はメルセデスが席巻するという形になりました。しかも3番手ベッテルはハミルトンからコンマ7秒の差を付けられ、ルクレールはフェルスタッペンに先行されてしまうという形に。どうしたフェラーリ。
まあ昨年も開幕戦の予選ではフェラーリの2台がハミルトンにコンマ7秒近い差を付けられてしまい、でもなぜか決勝ではベッテルが勝利するという展開を呼び込んでいるので、まだフェラーリが勝てないと決まったワケではないですが。しかし、今年はテストでのフェラーリの好調ぶりが伝えられていただけに、「なんじゃそりゃ」という印象は拭えないワケでもあります。メルセデスも一発の速さは証明できたワケですが、決勝どこまで安定して走りきれるかはまだわからないですけどね。中継で川井ちゃんらが「フロントが跳ねてて運転しづらそう」と指摘してましたし、クリスチャン・ホーナーも金曜日に同じような指摘をしてましたしね。
ハミルトンはこれでアルバートパークにおけるレースで6年連続・通算8度目のポールを獲得したワケですが、同一コースにおけるポールポジション獲得数としてはアイルトン・セナのイモラ、ミハエル・シューマッハの鈴鹿に並ぶ最多記録だそうな。ただ、このうちハミルトンが勝利を収めているのはわずか2回。昨年・一昨年はベッテルが勝利を収めており、今年はどうなるのか興味深いところではあります。
そろそろ、シーズンを通してメルセデスとフェラーリが最後までガチンコでやり合う展開を見てみたいんですけどねー。
まずは一安心?なレッドブル・ホンダ
今年からはトロロッソに加えてレッドブルにも供給を開始したホンダですが、もしこれでホンダPUがルノー同様にクソミソに叩かれる展開になったらどうしよう……と心配したりしたものの、まずはフェルスタッペンが予選4番手スタートと満足できる結果を残して一安心。フェルスタッペン自身、PUについては満足できているようなコメントしてますし、信頼性も現段階では問題なさそうですし。
ガスリーがQ1ノックアウトを喰らってしまったのは予想外の展開でしたが、こちらは路面改善のペースを甘く見積もり過ぎたみたいですね。こういうストリートサーキットあるあるな話ではありますが、レッドブルにしてはウカツでありました。ただ、逆に決勝でどこまで巻き返してこられるかというのも興味深いところではあります。
混沌としたセカンドグループ
メルセデスがいて、フェラーリがいて、レッドブルがいて……という序列には変動が無さそうに見えるワケですが、その後ろはなかなかにカオスな状態になっている感じも。特に今回は、路面改善の幅が大きいコースなだけに思わぬ番狂わせが生じたりもしていたようですが。
ただ、予選で安定した速さを発揮していたのがハースの2台で、6番手と7番手を獲得。トップ10圏内に2台揃って入ったの、メルセデスとフェラーリを除けばハースだけという状態。小松さんが自身ありげだったのもウソでは無かったというコトか。ただハースって、昨年もまったく同じ6番手・7番手グリッドを確保しており、そして決勝ではあの連続ピットミスにより大量得点のチャンスをフイにするという伝説を作ってしまった場所でもあります。
意外だったのはマクラーレンで、ランド・ノリスがなんといきなりQ3進出しての8番手を獲得。そもそもマクラーレンがそこまで速そうには見えませんでしたし、しかもサインツはトラフィックの影響をくらってQ1ノックアウトしていただけに、余計にノリスの順位にはビックリ。これはマクラーレンのマシンの素性の良さを示すものなのか、ノリスの実力なのか、まあいろいろ幸運だったのか、判断するにはもうちょっと時間が必要かもしれません。
あとトップ10に飛びこんだのはアルファロメオのライコネン、それからレーシングポイントのペレス。この2人は今後もQ3入りを巡って火花を散らしていくコトになりそうですが、お互いチームメイトがどこまでやれるのかはちょっと不安材料かもですね。アルファロメオのジョビナッツィは14番手、レーシングポイントのストロールは16番手。ストロールにしてみれば、今年ペレスをどれだけ上回れるかというのがこれからもF1ドライバーとしてやっていけるかどうかの試金石となりそうな感じもしますが、ただストロールはパパがチームの経営から手を引かない限りは安泰なのかな……。
ルノーの2台は11番手と12番手、そしてヒュルケンベルグはリカルドの前。ただしタイム差は0.008秒。前からチームを牽引してきたヒュルケンベルグに開幕戦からここまで肉薄したリカルドを褒めるべきか、リカルドを押さえて見せたヒュルケンベルグを褒めるべきか悩ましいところではありますが、この2人を揃えてもQ3進出できなかったというのは、ルノーにとっては歯がゆいところかもしれませんね。
総合的に見ると、ハース・マクラーレン・アルファロメオ・ルノー・レーシングポイント・トロロッソといった辺りはタイム的にはかなり近いところに居る感じもしますし、このセカンドグループの戦いは今年もアツくなりそうな予感。
そしてウィリアムズは完全に置いて行かれたね……。クビサはFP3でピットエントリーでマシンをぶつけてしまったり、予選でもアタック中にウォールにタイヤを当ててしまいタイヤがパンクしてコースオフしてしまうなどしていたのがちょっとね。彼の場合、F1レギュラーに復帰できたコト自体がある意味奇跡みたいなモノですが、復帰したからにはかつてのクビサを彷彿とさせるような走りも期待したいところ。チーム自体が今悲惨な状態なので、ラッセル共々どこまで腐らずにやれるかが一番の問題かもしれないけど……。
最後に
レースが開幕する直前の木曜日、F1の現場を統括していたチャーリー・ホワイティング氏の訃報が報じられ、あまりに突然な話にただただ驚いてしまいました。
ベッテルと開幕戦コースウォークの翌日にまさか……F1レース運営の要、チャーリー・ホワイティング氏が急死
各レースでスターターを務めたりもしていてテレビに映る機会も多かったですし、ドライバーやチーム関係者・メディア関係者からの信頼も厚く、中継で川井ちゃんもたびたび名前を出していた人物だけに、レース運営側の人間としては最も有名といっても良いくらいの存在だったんじゃないでしょうか。
66歳という若さですし、それにシーズンの開幕を目前にしての急死はご本人も無念だったでしょうし、今年もシグナルのスイッチを押すチャーリーの姿が見られると思っていた1ファンとしても残念でなりません。ご冥福をお祈りいたします。