いやーホントフェラーリの影が薄かったなー……F1開幕戦、オーストラリアGP決勝。
- 決勝結果: FORMULA 1 ROLEX AUSTRALIAN GRAND PRIX 2019 - RACE RESULT
- 決勝ダイジェスト: Australian Grand Prix 2019 Report and Highlights: Brilliant Bottas romps to victory in Australia | Formula 1(動画有)
- 決勝後各チームコメント: What the teams said - Sunday in Australia | Formula 1
- 決勝後記者会見: FIA post-race press conference - Australia | Formula 1
メルセデスの完勝……ですが
予選の速さそのままに、メルセデスが見事な1-2フィニッシュを達成。今年から新設されたファステストラップポイントもメルセデスが獲得し、チームとしてはフルポイントとなる44ポイントを加算して盤石のシーズンスタートを飾りましたね。
ただ、優勝して、かつファステストラップを記録したのがボタスだったっていうのが「おう!?」って感じでしたけども。いやボタスのことを低く見ているワケじゃないんだけどさ、なにせ昨年一勝もできなかったからさあ……。
ボタスの勝利を決定づけた要因は大きく2つ、スタートでハミルトンがわずかにミスった(それでも十分良いスタートでしたが)ことと、早めのピットインでアンダーカットを狙ったベッテルをカバーさせるため、チームがハミルトンに早めのピットストップを指示したコトでした。てか、ハミルトンが早めのピットを指示されたのも2番手を走っていたためと考えると、スタートでハミルトンの前を取った、というのが最大の勝利要因だったと言っていいのかもしれません。結果論だけどね。
ただ、そうした要因に恵まれたコトに加えて、ボタスの集中力が素晴らしかった。完璧この上ないスタートを決めた上、レースペースでもハミルトンに付け入る隙を与えず、そして最後フェルスタッペンにファステストラップを塗り替えられたときにもすかさず再度のファステストを叩き出すという、どうも運に恵まれず歯車が噛み合わなかった昨年のボタスがウソの様な走りでした。素晴らしいとしか言いようがありません。
一方のハミルトン、レース後の表情を見ているとチームの作戦に対する不満がありありと見て取れる感じで、恐らくレース後のミーティングは紛糾したコトでしょう。ベッテルのカバーに入る必要は無かったのでは、というのは川井ちゃんが指摘しておりましたが、チームとしては作戦を分けてでも保険を掛けておきたかった、というのはあったんでしょうねえ。展開が許せばそのまま2ストップ作戦にするつもりだったのではと思いますが、結局もう一度入ろうにも入れない展開になってしまい、ハミルトンは長い第二スティントをミディアムタイヤを庇いながら走り切らざるを得ませんでした。
それでも、タイヤをマネージメントしながら後ろから迫ってくるフェルスタッペンを封じきった技はさすがハミルトンでしたし、開幕戦から見せたボタスの強さがハミルトンの闘争心に火を付けたんじゃないですかね。まだ開幕したばかりの今シーズン、ハミルトンの強さはこれから発揮されるコトでしょう。
……しかし、「乗りにくそう」と言われていたメルセデスのマシンでしたが、決勝のレースペースも速く安定していた感じしましたねえ。ハミルトンがフェルスタッペンに追い上げられていたのは、タイヤマネージメントしながらっていうのが大きかったでしょうし。
影が薄いフェラーリ
そして、開幕前はメルセデスより実力は上とまで言われてたフェラーリは2台とも表彰台に登れないという結果に。ベッテルは14周目という早い段階でピットに入ってアンダーカットを狙うという策に打って出ましたが、そもそもがそれ以前にフェラーリはメルセデスにスピード負けしており、ベッテルがピットに入る段階でハミルトンとの差が4秒あったコトを考えると、「その作戦なんか意味あったのかしら……」と思ってしまったりもします。実際問題、ピットアウト後の新品ミディアムを履いたベッテルのスピードと、まだタイヤを換えていないボタスのラップタイムは変わり映えしない、というかボタスの方が速いです。
ハミルトンがベッテルをカバーしたコトにより、2人の条件はほぼイコールだったワケですが、タイヤをマネージしながらでもコンスタントに27秒台を刻みながら走るハミルトンに対してベッテルは28~29秒台に低迷するという有様で、乗りにくいメルセデスと乗りやすいフェラーリ、決勝レースペースではフェラーリの方が有利かも!なんていう幻想はもろくも打ち砕かれました。むしろルクレールはベッテルにつっかえてしまっておりましたので、ベッテルのマシンに異常があった可能性はありますけどね。
問題は、例によってフェラーリが今回のレースでここまで苦戦した要因がチーム自身良く分かっていない、という点です。
Ferrari Team Principal Mattia Binotto said the Italian team were unsure why they struggled to get the car into the right operating window after such a successful test.
“We struggled with the tyres, we tried different set-up approaches, but we never got the right balance,” he admitted. “We were lacking grip. Do we understand that yet? Probably not. We need to go back, analyse all the data and assess what happened.”
via: "We're just slow" - Vettel unsure where Ferrari's pace went | Formula 1
もちろん次戦バーレーンまでにある程度の分析をして対策を織り込んでくるハズとは思いますが、なにせ昨年もアップデートしたつもりがむしろパフォーマンスが落ちていて、かつしばらくそれに気付かなかった……なんてコトをやらかしたフェラーリです。大丈夫でしょうか。
そう考えると、テスト中からしっかりアップデートを果たして開幕戦にここまで速いマシンを仕上げてくるメルセデスの凄みというモノを改めて感じてしまうワケですが。収集したデータを理詰めできっちり分析してマシンに反映してくるメルセデスと、どことなくフィーリングで開発しているフェラーリ、ドイツ気質とイタリア気質……っていやさすがにこれは偏見ですね、うん。多分。
市街地サーキットであるアルバートパークでの戦績は忘れて、次戦バーレーンで改めてフェラーリがどこまでやれるのか注目しましょう。普通のサーキットでもこんな有様だとさすがに困るぞ。
ホンダPU、まずは上々の滑り出し
レッドブルと組むコトになって、もし昨年よりパフォーマンスがカクッと下がったなんてコトになったらどうなるんや……とハラハラしていたホンダPUですが、開幕戦からフェルスタッペンが3位表彰台に上るという上々の滑り出し。しかもコース上でベッテルをオーバーテイクして、ハミルトンにも肉薄しての表彰台獲得はインパクトも抜群でした。
ハミルトンに押さえられていたように見えたフェルスタッペンも、最後の最後にハミルトンのタイヤがヤバくなってきた頃合いを見計らってプッシュする余力を残していたのは老獪でしたねえ。あのハミルトンとフェルスタッペンの駆け引きはこのレース最大の見所と言っても良かったかもしれません。そしてフェルスタッペンもクリスチャン・ホーナーも、気持ち悪いくらいホンダPUを賞賛してますね。以下ホーナーのコメント。
“I think we’ve over-performed,” he said after the race. “[Honda] have given us a great product over the winter. The engine’s delivering good power, it’s been reliable. Max has been able to use that to really good effect today and so to pass a Ferrari, to be racing wheel to wheel on the straight with them is really positive.
via: Verstappen praises ‘great start’ for Red Bull-Honda partnership | Formula 1
予選では2台ともQ3進出できなかったトロロッソも、クビアトがまずは10位入賞を果たして一安心。どっちかというと、クビアトの後ろで攻めあぐねていたガスリーが株を落とす結果となりましたねえ。オーストラリアがオーバーテイクし辛いコースといっても、レッドブルでトロロッソを仕留めきれないのはなあ……。クビアトとしても、ここは負けられねえ的な意地があったでしょうか。
デビュー戦となったアルボンは14位フィニッシュとなりましたが、しかし彼良い意味でスレてないというか、コメントがとても素直そうな感じで好感が持てます。
That compromised our race but I’m still happy with how my weekend went. I think we could have had points so that stings a little, but it was a good experience and I came away with a clean weekend, relatively speaking!
ラッセルやノリスの場合、以前からメルセデスなりマクラーレンのジュニアドライバーとしてF1デビューを前提としてやってきただけあってルーキーなのに妙に熟れた感じがするんですが、アルボンの場合急遽F1デビューが決まったもんだから、いかにもルーキーらしい感じがするというか……。
そのほか
セカンドグループはやはり今年もかなりの接戦になりそうな感じしますねえ。決勝でもハースが良さげな感じで、実際マグヌッセンが6位入賞を果たしたワケですが、一方でグロージャンは昨年の悪夢が蘇るようなピットミスによるホイール脱落(未遂)でリタイヤ。ハースはアルバートパークに来るとピットクルーのバイオリズムが狂う呪いとかに掛かってるんでしょうか。
7位にはヒュルケンベルグが入賞しましたが、ルノー勢として入賞できたのは彼のみ。リカルドはスタート直後にグリーンのバンプでフロントウィングを失うという事故を起こしてしまい、良いところが無いまま28周目にリタイヤ。マクラーレンも期待されたノリスはチームの作戦が不発で12位に終わり、サインツはマシンから煙を噴いてリタイヤするというパットしない結果に。ホンダPUを積んだフェルスタッペンが力強い走りをしていただけに、ルノーワークスとしてもマクラーレンとしても、内心思うところがあったんじゃないかという気がしないでもありません。
なんとなく、ホーナーやフェルスタッペンのホンダ賞賛も、ルノーへの当てつけを多分に含んでいるような気がするんですが考えすぎ?
あと、なぜかストロールがちゃっかり入賞しているのに驚き。ペレスはスタートでやや順位を落とし、その後はストロールを後ろに従えて走る形に。その後ペレスは14周目にピットインするものの、トラフィックの真っ只中に出てしまい大きくタイムロス。逆にしばらくピットを引っ張ったストロールはポジションを稼ぐコトができ、この結果になったと。
この辺はピット作戦を巡る運の要素もありましたが、ストロールは堅実に仕事をやりきりましたねえ。まさか開幕戦からペレスを出し抜くとは思わなかった。オコンが抜けた分、チームは間違い無く弱体化すると思っていた(失礼)んですが、ちょっと考えを改めないといけないかもしれません。
なお、トップと同一周回だったのはマグヌッセンまでで、ヒュルケンベルグ以下は1周遅れ、そしてラッセルは2周遅れ、クビサは3周遅れという結果になりました。……ウィリアムズは逆の意味で別カテゴリーになってしまっているな……。