しばらく前の話になりますが、7月の海の日の三連休を使ってまた鉄道に乗ってふらふら出かけていた話。例によって『駅メモ!』の新駅アクセスと鉄印をもらうのが主目的ですが、一泊二日で行って帰ってこられる範囲はだいぶ行ってしまっている感があるので、三連休になるとすかさず出かけたくなります。このときも天気予報はあまり良くなかったんですが、そんなのはお構いなし。まあ、この不安定な天気がちょっとしたトラブルも引き起こすことになるんですが……。
1日目
そんなワケで、まずは名古屋駅から特急「しなの」に乗ります。……前回とまったく同じ出だしだ。
もちろん前回と同じなのは途中までで、今回は塩尻を通り過ぎて松本で下車。アルピコ交通上高地線に乗り換えます。もともとは松本電鉄という名前で、松本駅の案内表示には旧名のほうが使われていたりするのがちょっと不思議。
この路線の終点である新島々(しんしましま)という駅は上高地の玄関口みたいな場所になっており、駅前にはパスターミナルもあったりします。実際に上高地方面に向かうと思われるお客さんもそれなりに居たんですが、山の方はなにやら雲がかかっていて天気が悪そうな感じも。駅の周辺はめっちゃ晴れてましたけどね。
私はというと、当然のように松本方面に引き返します。いや、上高地って一度も行ったことが無いので、ちょっと行ってみたくはあるんですが。この新島々の駅前ですら風が爽やかで気持ちよかったので、上高地はさぞ過ごしやすいんだろなあ、とは思うものの、めっちゃ混んでそうだしなあ。
帰りの車両にはキャラクターのラッピングがされてましたが、これ上高地線のイメージキャラクターらしい。
松本に戻ったあとは、すぐに特急「あずさ」に乗り換え。ここから大糸線を北上していき、南小谷まで行きます。途中、立山黒部アルペンルートの玄関口となる信濃大町でも結構なお客さんが降りていきましたね。信濃大町から先の区間では、車窓から木崎湖などの湖も見えたりしていい雰囲気。
南小谷からは大糸線の普通列車に乗り換えますが、ここから先はJR西日本管内の非電化区間となるので、雰囲気が変わりまくります。キハ120系もなんかお馴染みになってきた感があります。
北陸新幹線が開通した関係もあり、大糸線は廃線になるのではっていう話も耳にしますが、自分が乗ったときにはそれなりにお客さん乗ってましたね。青春18きっぷの利用期間が始まる直前だったので、もうちょっと空いてるのかと思っていたので意外でした。
非電化区間の大糸線は狭い谷筋をうねうね走るような感じになり、ブラタモリでもやっていた糸魚川静岡構造線に沿う形で進んでいくワケですね。沿線には断層の露頭が見えるフォッサマグナパークなんてのもあるんですが、ちょっと寄り道している時間が無い……。
南小谷で乗り換えて1時間ほどで糸魚川に到着。ちょっと時間があるので、駅前で食事でも……と思い、目についたラーメン屋さんで「ひすいラーメン」なるものと「ひすいギョウザ」なるものをいただきました。麺と皮が翡翠色だった。
ついでに、ちょっと歩いたところに展望台があるようだったので行ってみたんですが、あるのはただひたすらに日本海でした。
糸魚川駅に戻り、えちごトキめき鉄道の切符を購入しながら鉄印ももらいました。ここから泊行きの列車に乗り、あいの風とやま鉄道に乗り換えて富山へ。このへん、海のすぐそばを通っているハズなんですが、長いトンネルが複数あり、海岸ギリギリまで山が迫っているコトが察せられます。このあたりは親不知という地名で知られますが、この辺の景色も改めて見に来たいですねえ。
富山に到着したのが16時前くらい。この日は富山で一泊する予定だったんですが、ホテルにチェックインするには早いので、富山市内の路面電車を乗り回すコトにします。路面電車とバスの1日フリーきっぷを650円で購入(南口出て左手のほうにあるバスターミナルの販売所で買えた)し、とりあえず富山の北にある岩瀬浜へ。
そのまま折り返して、富山駅に戻ったあとは富山大学前行きに乗り換えて、また終点の富山大学前まで。さらにそのまま折り返して、丸の内で下車。丸の内からは、もう一度岩瀬浜行きに乗り換えます。富山の路面電車って微妙にややこしくて、路線図を見ると富山駅の南が環状線になっているもんだから、ここは外回りと内回りみたいな感じでぐるぐる回っているのかな、と思いきや、実は反時計回りのみなんですね。
おまけに、この富山駅を出発したあとこの環状線をぐるっと一周して富山駅に戻り、そのあと岩瀬浜へ行くという系統もあるもんだから、最初に時刻表を見たときに少々混乱しました。このあと、路面電車を乗り潰すために南富山駅方面に向かおうと思い、環状線と南富山駅方面が分岐している中町という電停で降りたんですが、南富山方面へ向かう電車はこの中町には停車せず、ちょっと南にある西町という電停まで歩く必要があるというのも初見には難しいポイントでした。まあすぐ近くなんですけど。
南富山でまた折り返して、富山駅まで戻ることで路面電車は完乗。晩飯に生まれて初めて「富山ブラック」を食べてみたんですが、想像以上に塩辛かった……。レンゲが付いてこない理由がよくわかりました。あとライスつけないと死ぬ。
2日目
富山駅前のホテルで一泊したんですが、朝起きて部屋から外を見てみたら、路面電車が渋滞してました。
この日は雨の予報となっており、朝の富山駅はまだ降っていない状態。この日は富山地方鉄道の一日乗車券を買って、全線乗り回すことにしておりました。
富山地方鉄道って、富山から宇奈月温泉までを結ぶ本線と、富山から立山までを結ぶ立山線、あと南富山を経由して岩峅寺で立山線と接続する不二越・上滝線の3路線で構成されていますが、まずは立山方面に向かいます。不二越・上滝線経由で行くという手もあったんですが、特急に乗ってみたかったので立山線経由で。そしてこの特急というのがまた昔懐かしい感じの列車でした。
富山地方鉄道って、元西部や元東急、元京阪の車両が入り混じって運行されているもんだから、なんとも言えないカオス感がありますね。ていうか、テーブルの下に栓抜きが備え付けられている車両って今どき貴重では……(サビまくってるけど)。
立山に着いた頃にはすっかり雨となっており、駅からちょろっと外に出て、写真撮ったらUターン。立山駅は昔アルペンルートを辿ったとき以来ですが、またアルペンルート行きたいなあ。
なお、立山からの折り返しも往路で乗ってきた元西武の16010系でした(今度は普通列車として運行されていた)。
立山線を引き返し、寺田駅で下車して本線に乗り換え。宇奈月温泉へと向かいます。
宇奈月温泉は富山県の中でも東側、新潟との県境に近い方に位置しており、前日にあいの風とやま鉄道で辿ってきたルートを戻るような格好になります。ていうか、途中富山地方鉄道とあいの風とやま鉄道がぴったり並走したりしています。
来た道を戻るんだったら、初日に宇奈月温泉に行けば良かったのでは……という説もあるんですが、ちょっと時間的にきつかったんですよね。というのは、宇奈月温泉からさらに黒部峡谷鉄道のトロッコ列車に乗ろうと目論んでいたんですが、初日に宇奈月温泉を目指そうとすると、トロッコ列車の最終列車に乗れるか乗れないかくらいのタイミングだったんですよね(15時前には最終列車が出てしまう)。乗り継ぎのタイミングもギリギリだったので、さすがにそれはリスキーだと判断し、2日目に回したのでした。
宇奈月温泉もなかなかの雨が降っており、トロッコ列車に乗ったら雨に濡れまくらないか心配ではあったんですが、幸い風がそこまで無かったので、雨がバシバシ吹き込むようなことはありませんでした。
トロッコ列車の切符はWEBで予約可能だったので手配済みだったんですが、当日券でもいけそうな雰囲気でしたね。黒部峡谷鉄道も能登半島地震の影響を受けており、私が訪れた時点では終点の欅平までは行くことができず、途中の猫又駅まで行って折り返す運行になっていました。この猫又駅というのは一般客は下車できない駅となっているため、宇奈月から乗ったまま往復して戻ってくるか、途中の黒薙駅で降りるかの二択になります。全線開通して、黒部ダムまで行ける「黒部宇奈月キャニオンルート」の一般開放が始まったら、たぶんすさまじい混み方になるんじゃないかと思われます。
私は当然宇奈月~猫又間の往復切符を購入したんですが、黒薙駅で降りる人もある程度いましたね。散策するには天気が悪かったですが、温泉なんかもあるらしい。
しかしまあこのトロッコ列車、ただ乗って往復するだけでも退屈はしません。なにせすごい絶景の中を走りますし。あと、トンネルの中は信じられないくらい涼しくてステキ。晴れているときの景色も見てみたいものですが、雨に煙った渓谷の景色も良いものです。
宇奈月まで戻ったら、また富山地方鉄道に乗って来た道を戻ります。まだ不二越・上滝線に乗っていなかったので、本線でまっすぐ富山に行くのではなく、寺田で立山線に乗り換え、さらに岩峅寺で不二越・上滝線に乗り換えて富山に戻るというルート。
そういや、ちょっと不思議に思ったんですけど、富山地方鉄道って路線が分岐する駅が3つあると思うんですが(寺田駅・岩峅寺駅・稲荷町駅)、これらの駅って路線が分岐する手前ではなく、分岐したあとにホームがある構造になってません?なのでホームがV字型もしくはハの字型になっているというか。
もともと異なる複数の鉄道事業者が合併して今の状態になっているみたいなので、その影響なのかな……とも思うんですが、それにしてもなんか印象的。ていうか、富山地方鉄道って全体的に駅がボロ……いやさ古式ゆかしい感じがしますね。
富山駅に戻れたのは18時前くらい。この日の宿は金沢に取っていたので、とりあえずこのまま金沢へ移動してしまうという手もあったんですが、せっかくなので富山で晩飯も食べていくことにしました。いや、富山駅の構内に回転寿司があるのも気になっていたので……。ただ、まあ予想通りというか富山の回転寿司は大変人気があるようで、私が並んだ「氷見きときと寿し」は約1時間待ちでした。それでも、すっかり寿司を食いたい気分になってしまっていたので待ちましたが。
食事後、あいの風とやま鉄道の鉄印をまだもらっていなかったので切符売り場で切符と鉄印を同時に購入しつつ、金沢行きの列車に乗車。あとは1時間ほどで金沢……と思いきや、金沢のちょっと手前、確か津幡駅付近で突如列車が緊急停止。何事かと思ったら、どうやら列車が動物らしきものと接触したとのこと。その影響で、その場で車両点検が行われることになり、プラス1時間くらいの足止めとなりました。あとは金沢でホテルにチェックインするだけの状態だったので、その後の旅程に響くようなものじゃなくて良かった……と思っていたんですが、翌日これを上回るトラブルが発生することをこのときはまだ知りませんでした。
3日目
金沢駅近くで一泊したあと、今度は北上して能登半島を目指すことに。まだ震災の影響が多く残っていそうですが、のと鉄道は全線復旧してますし、穴水まで乗って鉄印をもらいつつ、わずかばかりでも現地でお金を落とせたら良いかな、くらいに思っていました。そんなワケで、まず七尾行きの列車に乗車。
このときちょっと気がかりだったのは、前日から石川県のあたりに局地的に強い雨が降っており、能登半島の方も強い雨雲が掛かっていそうだったこと。金沢はとくに問題なく、朝出かける時点で時刻表アプリから運行情報をチェックしたら、とくに運休などの情報も出ていなかったので、とりあえず問題ないのかな、と判断。
ただ、七尾線を少し北上していく間に車内アナウンスが入り、雨の影響で遅延が発生しているとのこと。七尾のほうで強い雨が降っており、その影響で対向列車が少し遅れているようで。この時点ではまだ数分の遅れ、という感じだったんですが、羽咋駅に着いてしばらく後、「この駅で運行を取りやめます」という衝撃のアナウンスが。どうやらこの先の雨量計が運行停止基準を上回ってしまっている模様。さすがにこれにはビックリで、なにせ羽咋駅のあたりはなんなら車窓から晴れ間が見えていたくらいだったので。
とりあえず問題はここからどうするか。JRは代行バスを手配してくれているようですが、手配し始めたばかりなので到着時刻は未定とのこと。能登半島まで来るタイミングというのもなかなか無いので、なんとか穴水まで行きたいのはやまやまですが、しかし今日中に愛知県まで帰らないといけないことを考えると、不確定要素があまりにも多すぎます。そんなタイミングで、金沢方面に向かう列車がやってくるというので、穴水へ向かうのは断念して折り返すこととしました。
なお、金沢駅で事情を説明したら、切符は払い戻してもらえました。
これにより、想定外に早いタイミングで金沢に戻ってきてしまったワケですが、それなら他にこの近辺でまだアクセスできていない路線に乗るコトに。とりあえず金沢駅でIRいしかわ鉄道の鉄印をもらいつつ、ひとつ隣の西金沢まで移動して、北陸鉄道石川線に乗車。
北陸鉄道はこの石川線と、もうひとつ金沢から内灘までを結ぶ浅野川線がありますが、浅野川線のほうは七尾線とかからレーダーで全部アクセスできちゃったので省略。石川線は金沢の南にある鶴来までを結ぶ路線(以前は鶴来からもうちょっと先まで行っていたらしい)ですが、西金沢以外では他路線との接続は無いため、行って返ってくる感じになります。ちなみに、土日祝日のみ利用可能な石川線の一日乗車券が販売されており、普通に切符買うよりもそっちのが安かったです。
鶴来駅には車両基地もありましたが、ここにも元井の頭線が……。
鶴来から折り返して金沢に戻り、そこから福井まで行き、えちぜん鉄道 三国芦原線に乗り換え。こちらは駅も車両もキレイで驚きました。しかも女性のアテンダントさんまで乗っているし。
この路線を終点の三国港まで乗り通して下車。なお、こちらも普通に切符買うよりもフリー切符のほうが安く済みます。ここからまたすぐに折り返し……ても良かったんですが、ふと思い立って、バスに乗り換えて少し行ったところにある東尋坊に行ってみました。
東尋坊ってむかーし一度来た記憶があるんですが、かなりむかーしの話なので改めて寄ってみようなかと思いまして。相変わらず見事な柱状節理ですが、お店が立ち並んでいるあたりも昔来たときと全然印象が変わっていませんでしたね。ザ・昭和の観光地という風情で。でも、結構な人で賑わっていました。「東尋坊タワー」もまだ健在なのは驚き。せっかくなので登ってしまいましたが(有料)。
しばらく東尋坊の景色を堪能したあと、来た道を引き返して福井まで戻り、ハピラインふくいで敦賀、そこから特急しらさぎで名古屋へと戻ったのでした。
特急出発までの待ち時間がしばらくあったので、なにかお店でもないかと深く考えずに東口から外に出たら、店どころか人の気配もほぼ無いような有り様でビビりました。どうやらお店やホテルの類は西口に集中しているようですが、今の敦賀駅って東口と西口を結ぶ自由通路が無い(改札を通らないと通り抜けもできない)模様。
これなにも知らずに東口から外に出ちゃうと、ドハマリしちゃうやつやん……。これせめて東口の改札付近に、注意書きなりを出しといてもらえないかなあ。
そんなこんなで、いくつかのトラブルがありつつも無事戻ることはできました。しかし結果として能登半島の羽咋から先が未アクセスのまま残ってしまったので、また訪れないとイカンですね。福井県もまだ越美北線とか福井鉄道とかが中途半端に残っているので、ここらへんをまとめて乗りに行く旅程を考える必要がありそうです。にしても、大雨とか地震とか、自然災害のリスクは常に隣り合わせなのだと実感させられます。南海トラフが来る前に、なんとか全部の駅を周りきりたいなあ……。