最初のセーフティカーから一気に潮目が変わって、最後怒濤の展開になりましたねえ。見応えのあるレースでした、F1ブラジルGP決勝。
- 決勝結果: FORMULA 1 HEINEKEN GRANDE PRÊMIO DO BRASIL 2019 - RACE RESULT
- 決勝ダイジェスト: Brazilian Grand Prix 2019 race report and highlights: Verstappen heads Gasly in Brazil as Ferraris take each other out | Formula 1(動画有)
- 決勝後各チームコメント: What the teams said - Race day in Brazil | Formula 1
- 決勝後記者会見: FIA post-race press conference - Brazil | Formula 1
まさかのホンダ1–2、さらにまさかのレッドブル&トロロッソ
セナ没後25年というコトで、インテルラゴスではセナにまつわるイベントなんかも開催されていたようですが、そのブラジルGPでホンダPUを搭載したマシンが1−2フィニッシュ、しかもこの日が本田宗一郎の誕生日でもあったというんだから、なんともドラマチックな話です。優勝したフェルスタッペンは予選からポールを獲得する速さを見せていただけに、優勝も納得ではあるんですが、2位にガスリーが入るなんて想像できませんよねえ。
ボタスがPUのトラブルで姿を消し、さらにはフェラーリの2台が同士討ちで姿を消し、そしてハミルトンとアルボンが接触するという混乱に次ぐ混乱があったからこその2位ではありますが、予選でしっかりBest of the Restの7番手を獲得し、決勝でもしっかり食いついていったからこその結果でもあります。なにより、最後の最後、ハミルトンとのアクセル全開競争はシビれましたね。てか、ホンダPUがあそこの加速でメルセデスを抑えきってみせたっていうのがね。かつてアロンソが「GP2エンジンかよ!」って叫んでいたときを思うと、ホンダPUのひとつの到達点として記憶に残るレースになったなあと。
フェルスタッペンも常にトップを走り続けていたワケではありませんが、最初のピットでハミルトンにアンダーカットされてもすぐさま抜き返し、最初のセーフティカーでタイヤを交換したあともすぐさま抜き返し……と、実に力強いレースでありました。今日はもうレッドブル・ホンダの「完勝」といっていいレースでしたねえ。
フェルスタッペンは昨年のブラジルでもレースをリードしていながら、周回遅れのオコンと接触して優勝を逃し、レース後ぶち切れまくってFIAから社会奉仕活動を命じられるという有様だったコトを思うと、今年は見事にそのリベンジを果たした格好……ではあるんですが、1年前の件についてフェルスタッペン本人が、2001年のブラジルGPを引き合いに出して「あれはカルマだったんだ」と言ってるんですね。
One year on, Verstappen says Ocon incident was ‘karma’ for father Jos’s misdemeanour | Formula 1
2001年のブラジルGP、トップを走っていたウィリアムズのモントーヤが、アロウズに乗っていたヨス・フェルスタッペン(言わずと知れたマックスパパ)を周回遅れにした直後に、ヨスがモントーヤに追突してリタイヤさせてしまうという事故を起こしていたんですね。その因果が巡って、今度は自分がやられる側になったというワケです。ていうかフェルスタッペン、2001年のヨスの事故のコトなんて良く知ってたね……?ヨス本人に聞いたのかな?
最初のセーフティカー出動時にフェルスタッペンのピットインを指示したのは、ハンナ・シュミッツという戦略担当の女性エンジニアで、チームを代表して表彰台に上がっていたのも彼女だったんですね。また、昨年子供を産んで産休から復帰したあとの働きぶりに対する賞賛もあったようです。こうしてF1の現場でエンジニアとしてバリバリやってる女性にスポットライトが当たるのも良いですね。てか、ハミルトンの前にいたフェルスタッペンを真っ先にピットに呼ぶという決断はなかなか勇気が要るんじゃないかと思うんですが、いやお見事でした。
”働くお母さん”の希望に……レッドブル代表、戦略担当のシュミッツ女史を表彰台に送る|F1ブラジルGP
なお、ホンダエンジンの1–2フィニッシュはセナが最後のワールドチャンピオンを決めた1991年の日本GP以来、そしてホンダを積んだ異なるチームのマシンが1–2フィニッシュをしたのは、ネルソン・ピケのウィリアムズ・ホンダとセナのロータス・ホンダが1–2となった1987年のイタリア以来というコトで、ホンダにとってはまさに記念碑的な レースとなりました。
フェラーリどうすんの?
ホンダ陣営が沸き立つ一方で、フェラーリにとってはお葬式みたいなレースになっちゃいましたね。てっきり、2台の順位はオーダーでコントロールされているのかと思ったのに……。いやまあ、タイトルはもうメルセデスで決まっちゃってるんだし、自由にレースをやらせても別に良いっちゃ良いんでしょうけど、来年もベッテルとルクレールのコンビでやる以上、変な遺恨が残るようなレースだけはさせちゃイカンでしょう。んで、今までの流れを考えると、こうなる可能性は十分考えられたワケでさー。
今回の事故はレーシングインシデントとして双方お咎めナシという結果になりましたが、映像を見ていた感じだと、ベッテルの方がじりじりルクレールに寄せていった感じはしましたね。右側のスペースが狭かったから、意識的なのか無意識的なのか知りませんが軽くルクレールを牽制する動きをしたところ、ルクレールがそのまま突っ張ったからタイヤ同士が当たった(そして当たり所がとても悪かった)という感じ。
レース後の2人はお互い憤懣やるかたないといった感じで、これお互いの不信感がさらに高まっちゃったのは間違い無さそう。ビノットさん、どうすんのコレ。
Both sides of the Ferrari story…#BrazilGP 🇧🇷 #F1 pic.twitter.com/2zUkmeGfRY
— Formula 1 (@F1) November 18, 2019
まあ、このフェラーリの同士討ちが中団チームには思わぬ福音になったりもしているワケですけどね。アルファロメオなんて4–5フィニッシュだもんね。これでレーシングポイントと10ポイント差だけど、最終戦ワンチャンある?
サインツ初表彰台
レースではハミルトンが3位フィニッシュをしておりましたが、アルボンとの接触の非を問われ5秒のタイムペナルティとなり、7位に降格。代わりに、マクラーレンのサインツがこれまた初表彰台となりました(実際には登れなかったけど)。てか、サインツって予選走れなくって最後尾スタートだったワケなんですが、そこからここまで追い上げたってどういうコトなの。
サインツは新品ソフトでスタートして、そこから29周目までピットを引っ張ってからミディアムにスイッチ。そしてそこからタイヤをマネージメントして、セーフティカー導入の際もピットに入らずステイアウトした結果、今回のレースで唯一の1ストッパーとなりました。サインツより2周前にピットインしたノリスはハードに履き替え、最初のセーフティカー時に2度目のストップをしているのがまた面白いですけどね。ミディアムをチョイスしたサインツの方が1ストップで乗り切ってるっていうのが。セーフティカー時にピットに入らずにいたコトがトラックポジションを押し上げることになり、そして2度目のセーフティカーランもあってタイヤを保たせるコトができたのがサインツに味方しましたかね。
あと、ピットの「smoothest operation」ね。歌ってるし。
"The smoothest operation of my life!"@Carlossainz55 started the day P20 and ended it with the first podium of his career 🏆
— Formula 1 (@F1) November 18, 2019
That deserves a(nother) song 🎶#F1 #BrazilGP 🇧🇷 pic.twitter.com/irjEbV8k0j
今回ガスリーが2位を獲得したコトで、ドライバーズランキングは7位となったサインツですが、それでもノリスの倍以上ポイントを稼いでいるっていうのを見ると、サインツも相当なレース巧者ですよねえ。予選ではノリスもサインツと互角レベルで速い印象あるのに。サインツは担当エンジニアとの相性も良いのかな?
そのほか
えーとあとなんか書こうと思った気がするけどなんだっけ。いろいろありすぎてよくわかんなくなってきたので、とりあえず今回はこのへんで。次がようやく最終戦かー……。