予選結果:
The Official F1 Website - 2014 FORMULA 1 ETIHAD AIRWAYS ABU DHABI GRAND PRIX
予選後ドライバーコメント:
The Official F1 Website - Headlines - Qualifying - selected team and driver quotes
予選後記者会見:
The Official F1 Website - Headlines - FIA post-qualifying press conference - Abu Dhabi
最終決戦ですが
長かったシーズンもこれで最後。タイトル争いも最終戦までもつれ込む格好となりましたが、最終戦ポイント2倍セールのおかげで、勝利数ではハミルトンにダブルスコアの差を付けられているロズベルグにもそれなりにチャンスがある、という状況です。
ただハミルトンにしてみれば2位以内に入ればロズベルグの順位に関わらずタイトル確定なので、かなり有利な立場にいるのは間違い無いところ。オマケに今年のメルセデス&ハミルトンの強さを考えれば、なんらかのミスなりトラブルが無い限りは他チームに抜かれるというのは考えづらい状況。
予選ではウイリアムズが意外と肉薄してきた印象もあるんですが、メルセデスに比べると決勝でタイヤに厳しいのも事実。実質的なライバルになり得るかというと疑問です。ロズベルグもブラジルGP終了後はウイリアムズが割って入ってくれるコトを期待しているような発言してましたが、今はハミルトンがプレッシャーからミスを起こすコトも期待しているようです。
I look at it this way: Lewis has everything to lose and I have everything to gain. So, for sure, the pressure is on him. That is part of my opportunity. My opportunity is to put as much pressure on him as possible - and maybe he makes a mistake.
via: The Official F1 Website - Interviews - Nico Rosberg Q&A: Lewis has everything to lose
実際、なんとなくですがハミルトンの方が少々気負いが強く、少々行きすぎてしまっている感はあります。予選でも最後にうまくまとめきれず、ロズベルグにコンマ4秒近い差を付けられてしまいましたし。このまま2位キープで走り切れれば問題ないんですけど、ハミルトンにしてみれば「勝って決める」という思いが強いんじゃないかなぁ。
なんかレース後の記者会見も、ハミルトンは言葉少なに「I don’t know.」を多様している感じ。既に意識は決勝レースに向いているんでしょうけど、これが吉と出るか凶と出るか。ただ、ちょっとミスった程度ならばどうとでも挽回できる強さが今年のメルセデスにはありますけどね。
しかし考えてみると、ニコの父親ケケ・ロズベルグは1982年にわずか1勝でワールドチャンピオンを獲得した豪運の持ち主なんですよねぇ。もしニコがタイトル獲得となれば、ヒル家に続く2組目の親子ワールドチャンピオン達成となりますが……さてどうなりますか。でもそうなった場合、ダブルポイントシステムはさらなる批難に晒される格好になるだろうなぁ……。
ともあれ、両ドライバーともベストを尽くした戦いが最後までできると良いですね。
冴えないラストラン
そういやフェラーリからのアロンソ離脱と、入れ替わりにベッテルが加入するコトが正式に発表され、お互い今いるチームのラストランとなったワケですが……アロンソは10番手、ベッテルはリカルドの後ろ6番手に付けたものの予選後レッドブルのマシンが規定違反と見なされ予選結果から除外されるという結果に。どうもフロントウイングのたわみが許容値以上になってしまっていたようです。
The FIA's technical delegate Jo Bauer referred Red Bull to the stewards after deciding that the front wings of both RB10s had been designed to flex under aerodynamic load - a contravention of Article 3.15 of the Formula One technical regulations which limits moveable aerodynamics.
via: The Official F1 Website - Headlines - Red Bull excluded from qualifying for front wing infringement
レッドブルと数々の栄光を共にしてきたベッテル、そのチーム最後の予選としては冴えない結果ですが……決勝でどこまで挽回できるか。一方、アロンソはフェラーリとは何の栄光も得られなかったワケですが。惜しいときはあったんですけどね。
ベッテルは跳ね馬のシートに収まるコトを喜ぶコメントを出していましたが、今のフェラーリは90年代前半のダメなフェラーリと似た香りがプンプンするんじゃよ……。こうなるとドライバーの強さだけではどうにもならないワケで、組織そのものを造り替えられる人材が望まれるワケなんですけど。ミハエルがフェラーリで黄金時代を築けたのは、彼自身のカリスマ性もあったでしょうが、ジャン・トッドやロス・ブラウンという組織のマネージメントにも強力な力を発揮できるスタッフが揃っていたからこそ。
ベッテルにしてみれば、まだしばらくは苦難の時期が続いてしまうかもしれません。
一方、アロンソは「次の行き先」を明らかにしていないのが引っかかるんですけど。マクラーレン・ホンダとの契約が完了しているんだとしたら、チームが未だにバトンとマグヌッセンのどちらを残留させるかを決断できていないから発表できない、というコトなんでしょうか。
そういや、バトンも予選アタックに出たらチームが燃料入れ忘れててピットに戻るハメになり、珍しくかなり怒ってましたね。チームが来季の契約について未だに態度をハッキリさせておらず、最終戦の結果も加味して決定する……なんて状況になっているんだとしたら、バトンの怒りも理解できる感じしますけど。
シーズン終盤にきてのバトンはなかなか好調で、トータルの獲得ポイントもなんやかんやでマグヌッセンの倍近いところまで伸ばしてますので、チームにしてみれば悩ましいところなのかもしれません。ただ、アロンソに巨額のギャラを支払うコトになるのであれば、さらにバトンと契約するだけの予算が……という状況?
そのほか
もうこのまま消滅すると思っていたケーターハムが、まさかの最終戦復活。しかも可夢偉が乗るという。もうまともな戦闘力は望むべくもないし、可夢偉自身来季のシートについてはかなり悲観的なコメントをしたりしている状況ではありますが……ただまー、今シーズンのラストレースをまずは楽しんで欲しいな、というところでしょうか。
可夢偉のチームメイトにはウィル・スティーブンスが指名されましたが、可夢偉のコンマ5秒落ちくらいのタイムを叩き出していたのは意外。しかもセクター1&2はほぼ可夢偉と同じくらいのタイムだし。ただ、今回も様々な「大人の事情」があるみたいですけど。
「朝、ガレージへ行ったら、初めてグランプリにやってきたメカニックにタイヤウォーマーの脱着方法を教えていた」と可夢偉は言う。逆風は、それだけではなく、チームにひとつしかない日本GPから投入している新型フロントウイングを、このアブダビでも可夢偉は使うことができない状態が続いている。以前、可夢偉はレースに復帰する条件として「チームメイトとのイコールコンディション」を挙げていた。チームもそれは理解していたが、新しくチームメイトとなったウィル・スティーブンスとの契約を優先しなければならない事情があった。
可夢偉にはこのまま終わって欲しくは無いんですけどね……まぁ、綺麗な形でキャリアに幕を引けるF1ドライバーなんてほんの一握りなんですけど……。
あと気になるのは、ここまでコンストラクターズポイント「0」のまま来てしまっているザウバー。予選結果を見る限り、今回もポイント獲得の望みは薄そうですが……もし年間通してポイント0となると、1993年の参戦以来初というコトになってしまいます。どうなっちゃうのかなぁ……。