ハミルトンの余裕勝ちのレース、と思いきや。F1マレーシアGP決勝。
- 決勝結果: 2016 FORMULA 1 PETRONAS MALAYSIA GRAND PRIX - RACE RESULT
- 決勝ダイジェスト: Ricciardo beats Verstappen as Red Bull finish one-two in Malaysia(動画有)
- 決勝後各チームコメント: Sunday in Malaysia - team by team
- 決勝後記者会見: FIA post-race press conference - Malaysia
天国から地獄、地獄から天国
スタート直後とゴール直後で、ハミルトンとロズベルグの立場がものすんごいひっくり返り方をしたレースでしたね。
まずスタート直後、メルセデスの2台とも悪く無いスタートを決め、ハミルトンはトップを維持したまま1コーナーをクリア。そこにロズベルグも続こうとしたところ、フェルスタッペンの影からインベタのラインで前を窺ってきたベッテルがロズベルグのリヤに接触。ロズベルグはたまらずスピン、あっという間に最後尾に転落。
Race First-turn collision ends Vettels race(動画)
ロズベルグはマシンに大きなダメージは無かったようでレースに復帰はできたものの、この時点でハミルトンにしてみれば笑いが止まらない展開でしょう。その後のレースペースも順調の一言で、最初のバーチャルセーフティカー(VSC)の時点でピットには入らず1ストップ狙いの作戦を敢行。
ハミルトンの後ろを走るレッドブルの2台はフェルスタッペン2ストップ、リカルド3ストップ狙いと作戦を分けてこれに対抗しようとするも、そんなのお構いなしに速いラップタイムを連発するハミルトンに追いつく術も無く。このまま決まっちゃうなぁ……と思っていたワケですが、なんと41周目にハミルトンのマシンのリヤから炎が。なぜハミルトンのPUばかりブローするんでしょうねぇ……。
これによりハミルトンは一気に奈落の底に突き落とされる格好に。対してロズベルグは2本のDRSゾーンとメルセデスパワーを活かして後方から追い上げまくり、途中ライコネンとの接触がペナルティ取られたりはしたものの終わってみれば3位チェッカー。優勝できなかったとはいえ、3位15ポイントが丸々ハミルトンとの差に上乗せできるんだから、上々すぎる結果ですよね。
スタートで「ロズベルグ不運だなー」と思ったら、それ以上の不運がハミルトンを襲うとは。こういうレースもあるんですねぇ。
レース後再びチームに対する疑念を口にしていたハミルトンですが、その後気を取り直したのがfacebookには「チームを100%信じている」みたいなコメントしてますね。ホンネはどうなのかようわかりませんけど。
Hamilton has ‘100%’ faith in team despite ‘odd’ failure
しかし、これでロズベルグは23ポイント差を付けて日本GPへと向かうコトになりました。しかし日本GP、ここ2年は予選ではロズベルグがポール、決勝ではハミルトンが勝つっていう流れになってるんですねぇ。さて今年はどうなりますか。
お祭り騒ぎの表彰台&ビアンキに捧げる勝利
で、ハミルトンがレースから姿を消したコトにより、まさかのレッドブル1-2フィニッシュという展開に。いやメルセデスが強いであろうと思われたこのレースでレッドブルの1-2は予想できないでしょう……。
途中、ピット回数が少ない(はずだった)フェルスタッペンがリカルドの後ろに追いついた際、リカルドに譲るようチームオーダー出すのかなーと思ったらそのままバトルさせるもんだから、なんかこの2台ぶつかるんじゃ……とヒヤヒヤ。で、その後にハミルトンがリタイヤし3度目のVSC、そのタイミングでリカルドとフェルスタッペンのダブルピットインに。これで2人ともソフトタイヤに履き替えたので、条件はほぼイーブンになる格好(リカルドは新品、フェルスタッペンは3周オールドでしたが)。
マレーシアでレッドブルが終盤トップ争いとなると、2013年にベッテルとウェバーの間で起きた「マルチ21」事件(⇒ 2013年マレーシアグランプリ - Wikipedia)を思い出す方も多いかと思いますが、今回はチームオーダーが出ていたワケでは無いですからね、一応。フェルスタッペンは「僕らがクリーンなままでいる間は自由にやって良いとチームに言われたんだ」とコメントしてますし。
The team told us we were free to race as long as we kept it clean, which we did. It is really nice to hear that from the radio.
が、結果的にはフェルスタッペンはリカルドのペースに付いていくのが精一杯の状態で、バトルにまでは発展しませんでしたね。結果オーライ。いやちょっと期待してたけど。これでリカルドは待望の今季初勝利。スペイン、モナコで失望を味わわされたお返しがようやくできた格好。
そしてリカルドが「次にシューイ(シューズにシャンパン注いで飲むアレ)をやるのは優勝したときだ」と公言していたもんだから、皆表彰台でリカルドがいつシューイをやるのか注目していたのがまた面白かったりして。そしてリカルドもその期待に応えて、表彰台に腰を掛けてシャンパンを注ぎ(なぜかロズベルグも一緒に)、観衆の目の前で一気に飲み干す男っぷり。
Grim or great Ricciardo shoey Malaysia(動画)
さらには表彰台にいたクリスチャン・ホーナー、フェルスタッペン、ロズベルグにまでシューイを振る舞う(?)という凄まじい光景が展開されておりました。なにこれ超面白い。でもホーナーは飲む振りして、シャンパンが絶妙に口に入らない様にしてますよねコレ!
さらに何たる偶然か、表彰台インタビュアーがかの「マルチ21」騒動の当事者だったマーク・ウェバーだったというのがもう出来過ぎで。しかもウェバー、以前ドイツGPの表彰台でもリカルドにシューイをやらされた過去があるもんだから、リカルドの傍に来るなりシューズを放り投げてしまったのがまたケッサク。こんな愉快な表彰台、久しぶりでした。
そしてリカルドはレース後に「この勝利をジュールにも捧げたい」とコメントしてますね。リカルドが前回勝利を挙げた2014年ベルギーGP、その1ヶ月ちょい後の日本GPでビアンキの事故が発生し、それ以降ずっとビアンキに勝利を捧げたいと願っていたようです。
“It’s been just over two years since my last victory, and it feels like a long two years - a lot has happened,” he said.
“It was definitely a life-changing moment, the loss of Jules, a competitor and a friend. That was hard to take. I would have loved to have won sooner, and dedicated this a bit sooner.
まさかその勝利に2年も掛かってしまうとは、リカルド自身思って無かったでしょうね。表彰台のあと、少し涙ぐんでいたのはそういうコトなのかな。図らずも次戦はその事故があった鈴鹿。日本GP前に、リカルドの中で胸のつかえがひとつ取れたでしょうか。
そのほか
なんかいろいろ長くなってしまった気がする。
マクラーレンはこの長いストレートを2本持つコースでダブル入賞、しかもアロンソはVSCのアヤにも助けられたとは思いますが、最後尾スタートから7位フィニッシュというのはスゴイ。レース終盤、同じソフトタイヤ履いて後ろに居たヒュルケンベルグよりもタイム良かったですしね。ホンダの新型PU、鈴鹿でも期待して良いでしょうか。
あと、よくよくレースリザルト見たらルノーのパーマーが10位入賞してた。もちろんコレが初入賞。ルノーのパフォーマンスがイマイチなのもありますが、パーマー自身なんかそこまでパッとしないなぁと思っていただけに、知らん間に初入賞してたのは少々驚き。彼もVSCのタイミングで得した系かな。
なお、これで開幕戦からフル参戦していてまだノーポイントなのはザウバーの2人とグティエレスの3人となりました。……そういや、今回ハースはグロージャンがブレーキトラブル、グティエレスがタイヤ脱輪と2台揃ってかなりコワイ理由でリタイヤになってしまいましたね。シーズンも終盤戦になってこういうトラブルが出てしまうのは、新興チームゆえでしょうか……。
そして次はいよいよ鈴鹿の日本GPですね。今年はロズベルグがリードして迎えるという展開なので、例年以上にブチ切れたハミルトンのアタックが見られるかもしれない?