大須は萌えているか?

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F1[16] メキシコGP 決勝

なんかタイトル争いじゃないところの話題の方が目立った気もする、F1メキシコGP決勝。

タイトル争いは膠着

予選順位の通り、ハミルトンがポールトゥフィニッシュを飾り、ロズベルグが2位で続く形になりましたね。極めて意外性の無い結果ですけど。スタート後の1コーナーでハミルトンがブレーキミスって飛び出すわ、ロズベルグがフェルスタッペンに押し出される格好でコースオフするわとヒヤッとする場面はありましたけどね。

ハミルトンはブレーキングミスにより大きなフラットスポットを作ってしまい、ピットもハミルトンをそのまま走らせるかどうか、かなり悩んだ模様。ただ、そこでピットに入れてしまうとハミルトンのタイトルが限りなく遠のいてしまうという局面ですからねぇ。

「他のレースでなら我々はルイスをピットインさせて、レースを失なわせていたところだが、ルイスからチャンピオンシップのチャンスを奪わないよう、彼を走り続けさせた。1周ごと、直線ごとに我々はバイブレーションをモニターしていたよ」

via: 振動トラブルか、タイトルの可能性か。両天秤にかけたハミルトンのレース戦略

結果としてハミルトンはこのギリギリの局面に打ち勝ったと言えますし、これによりチャンピオンシップの流れをわずかながらも自分の方にたぐり寄せた感じしますね。

ロズベルグもフェルスタッペンのプレッシャーをコントロールしながら2位を確保したのは「良い仕事」ではあったと思うんですが、やはり守りに入っている印象が強いですね。タイトルのコトは意識せず、1戦1戦勝つことを考えているとは言うものの。てか、この局面でまったくタイトルのコトを意識せずに居られるわきゃーないでしょう。

その分、今回はさらにレッドブルの強いプレッシャーに晒されたワケで、残る2戦を「2位に入れれば」というスタンスで乗り切れるかは微妙な感じがしちゃいます。レッドブルはほぼコンストラクターズ2位の座を確定させており失うモノは無いですからね、ガンガン攻めてくるでしょうし。

これでロズベルグとハミルトンの差は19ポイント。次戦ブラジルでロズベルグが優勝すれば、ハミルトンが2位に入ったとしても7ポイント多く獲得できるのでロズベルグのタイトルが確定するんですが、今の流れでロズベルグが勝てるとは思えないなぁ……。

逆に、もしハミルトン優勝・ロズベルグが下手こいてレッドブルの2台に前を行かれて4位に終わったりした場合、13ポイント縮まって最終戦でハミルトン自力優勝の可能性が復活しちゃうんですけど。そう考えると、まだチャンピオンシップの行方は分からないような……。

レッドブル vs ベッテル

今回、タイトル争いよりも大きな注目を集めていた気もするベッテルvsレッドブル対決。ベッテルが前を行くフェルスタッペンに1コーナーで仕掛けた際、フェルスタッペンは深くブレーキングしすぎてオーバーラン、ランオフエリアをショートカットする形でコースに復帰。通常、こうしたポジション争いに於けるショートカットで「アドバンテージを得た」と見做される場合は後ろのクルマにポジションを譲らなければならないワケですが、フェルスタッペンはポジションを譲らずそのまま走行。

当然フェルスタッペンが譲ると思っていたベッテル、前に出られない上に後ろからはリカルドが追いついて来たもんだから怒りが有頂天。

ベッテル、無線で暴言を連発 | Ferrari | F1ニュース | ESPN F1

そしてリカルドがベッテルに仕掛けた際、ベッテルがブレーキング時のライン変更を行ったとリカルドが訴え、事態はさらなるカオスに。結局審議の結果、3位でフィニッシュしたフェルスタッペンはゴール後程なくして5秒ペナルティが与えられ、繰り上がりでベッテルが表彰台に。しかし、その後ベッテルもリカルドとの件で10秒ペナルティを喰らい、リザルト上はリカルド3位、フェルスタッペン4位、ベッテル5位という形になったのでした。何がなんだか。

Tensions erupt as Vettel battles Red Bulls in dramatic finish(動画)

フェルスタッペンがあのオーバーランでポジションを譲らなかったのはマズいと思いますし、ベッテルとリカルドの件もリカルドのオンボードから見ると結構ロコツに幅寄せしているのが見て取れるので、まぁそれぞれのペナルティは妥当かなと。しかしそれ以上に、ベッテルのあの無線はマズいですねぇ。チャーリーまでdisってるし。これについて、フェルスタッペンとクリスチャン・ホーナーベッテルを批判してますね。

てか、19歳のドライバーに「防御の仕方がなってない」と言われる4度のワールドチャンピオンて……。結局、ベッテルも「こんなはずじゃなかった」って思いが強いんでしょうね。プレス対応なんかではフェラーリを擁護する発言を繰り返してますが、レースのああいう局面になると地が出ちゃうというか。リカルドのアタックに対するライン変更も、本人はかなり無意識にやってるんじゃないかな。

それに加えて、相手が自分の古巣であるレッドブルであるというのもベッテルのイライラを増幅させてるのかもしれません。そりゃあレッドブル最後の年にコテンパンにしてやられたリカルドには負けたくないだろうし、その古巣からかつての自分のように超新星の如く現れたフェルスタッペンにも負けたくないでしょう。もうベッテルが満足できるレースシートはメルセデスしか無いかもね。

ペナルティに関する議論

にしても、今回タイムペナルティがあれこれ出たコトで、ランオフエリアのショートカットやオーバーテイク時のルールやペナルティに関する議論が活発化しそうな気配ですね。トロロッソのフランツ・トストはこんな発言を。

「我々には面白いレースが必要であり、クラッシュは起きるときには起きるものだ。そして、人々が見たがっているのはそういうものだ。F1はエンターテインメントでもあるのに、いまの我々は安全面に関する部分を気にかけすぎている。F1が危険なことは承知しているが、もうコース上では何も起きていないじゃないか」

via: 「ドライバーには個性を発揮させて、自由にレースをさせるべき」チーム上層部が主張

正直、かつてのセナの事故を思い返すと、この発言にはちょっと嫌な顔をしたくなるんですけど。トラウマになりすぎてますかね俺。それにビアンキの事故だってごく最近のものなのに、「コース上ではなにも起きていない」は語弊が無いですかねトストさん。

あと、最近のアスファルト舗装されているランオフエリアについて、リカルドは「壁作っちゃえば良いんじゃね」的なコメントをしていたり、ヒュルケンベルグもこんなコメントを。

「ルイスのスタートの一件はかなり変。あれがアドバンテージじゃないとしたら、何がアドバンテージになるんだろうね。グラベルトラップやウオールがあったら大変だっただろうにね。グラベルトラップの必要性はよく分からないけど」

「コースオフした時にソチやモンツァにあるようなもの(コーン)があれば、迂回しないといけないし、少なからず代償は払わないといけない。彼がブレーキングした場所はあのコーナーを回れる場所じゃない」

via: ヒュルケンベルグ、ハミルトンのインシデントは「かなり変」 | メキシコ | F1ニュース | ESPN F1

要するにミスをしたのなら、然るべき報いを受けるべきだという話。アスファルトのランオフエリアでは、ほとんどタイムロスをするコトなくミスを「無かったこと」にできちゃうっていう。これは確かに頷ける話です。

ただ、昔のようにグラベルトラップを復活させれば良いのかっていうと、それはそれで疑問なワケです。だってグラベルが今のようなアスファルトに姿を変えたのって、グラベルだと高速でマシンが突っ込んだとき横転の危険性がある、マシンが転覆したときロールバーが埋まってしまいドライバーの頭部が地面に接触する可能性がある、といった安全上の理由があるワケですよね。その本来の意図をスルーして、グラベル復活というのはおかしいかと。

それよりは、ヒュルケンベルグのコメントにあるような「迂回路」を設定するという考え方の方が妥当に思えます。

ちなみに、ハミルトンが1コーナーのコースオフでタイムペナルティを受けなかったのは、ハミルトンがコースオフしたあとバックオフしたコトがテレメトリーから明確に読み取るコトができ、彼が継続的なアドバンテージを得てはいないと判断されたから、という話も。

Motorsport.com has learned that F1 race director Charlie Whiting and the race stewards were comfortable that Hamilton had not gained a ‘lasting advantage’ from the incident.

Indeed, the fact that Hamilton backed off, as was proven by telemetry readings that they saw, meant there was no doubt the Briton did not deserve a punishment.

via: Revealed: Why Hamilton escaped Mexican GP Turn 1 sanction

ただ、傍目にわかりにくいのは事実ですし、観客の立場としても何らかの対策があると良いなぁとは思いますね。