大須は萌えているか?

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野田樹潤の話題を見て、F1女性レーサーの歴史を振り返る

野田英樹の娘ってレーサーなんですねぇ、知らなかった。

小6女子プロレーサーJuju 師匠は父野田英樹 (日刊スポーツ) - Yahoo!ニュース

なんでも、岡山国際サーキットで行われたフォーミュラU17というF4レースで優勝し、オマケにF4のコースレコードも樹立したそうなんですけども。マイナーフォーミュラに疎いもので、フォーミュラU17というシリーズをそもそも知らなかったのでググってみたんですけど、選手権の公式ページが見当たりませんで……。

日本のFIA-F4選手権のサイトを覗いてみても、特に言及は無くって。野田英樹が校長を務めるNODAレーシングアカデミーのブログ記事を見てみると、参加台数は3台だけっぽい。アカデミーの校内選手権みたいな感じなんでしょうか。

ついでに言うと、上でリンクした記事には

フォーミュラU17開幕戦(岡山国際サーキット)でいきなりの優勝。さらに、F4のコースレコード1分33秒7を上回る1分32秒8の記録をたたき出し、関係者は沸いた。

via: 小6女子プロレーサーJuju 師匠は父野田英樹 (日刊スポーツ) - Yahoo!ニュース

って書いてあるんですけど、岡山国際サーキットの4輪コースレコード(PDF)を見てみると、このU17のレースが開催されるより前の4月8日に1:32.202というタイムがFIA-F4で記録されているので、このコースレコードがなんのことを指しているのかはちょっと気になりました。

ただ、それでもかなり速い水準のタイムであるコトは間違いありませんし、少なくとも11歳の女の子が叩き出したタイムとしては驚異的。父親がF1出場経験もある元プロレーサーだけあって、相当な英才教育を受けていると見受けられます。かなり体力もあるんでしょうね。

彼女の目標はF1レーサーになるコトだそうですが、ただ水を差すようなコトを言ってしまうと、F1の歴史上「活躍できた」と言えるレベルの女性レーサーって、残念ながら居ないんですよね。

女性レーサーがF1に初出場したのは意外に古く、1958年にマリア・テレーザ・デ・フィリッピスというイタリア人ドライバーがマセラッティから出場し、決勝で完走した記録も残っていますが、ポイント獲得はならず。

しばらく間が空いて、1974年にはレラ・ロンバルディというこれもイタリア人ドライバーがブラバムから参戦。1975年にはマーチで出場したスペインGPで6位入賞(レースが途中で中断されたため0.5ポイント)した記録が残っています。F1で女性ドライバーが挙げたポイントは、現在に至るまでこの0.5ポイントのみ。

その後は、1976年・78年にディビナ・ガリカ(イギリス)、1980年にデジレ・ウィルソン南アフリカ)、1992年にジョバンナ・アマティ(イタリア)が参戦していますが、いずれも予選落ちのみで決勝に出走はできてません。

一方、インディカーではダニカ・パトリックが2008年のインディジャパンで女性初優勝を果たし、当時バーニー・エクレストンがF1に引き込みたがっていた記憶がありますが、ダニカはF1に興味を示さず、このプランは実現せず。

近年ではトト・ヴォルフの妻でもあるスージー・ヴォルフが2014年にウィリアムズのマシンをフリー走行で走らせたりしてますが、予選・決勝への出走は実現せず。あと、マルシャとテストドライバー契約をしたものの、悲劇的な事故が原因で2013年に他界したマリア・デ・ヴィロタもまだ記憶に新しいところですね。

こんな具合で、とにかくF1の世界は女性ドライバーに厳しい。そもそも本気でF1を目指す女性ドライバーが少ないってのもあるとは思うんですが、実力とカネと政治が渦巻くF1の世界のシート争奪戦は「生き馬の目を抜く」という表現がぴったりの世界なのであり、そこに数少ない女性ドライバーが飛び込む機会になかなか恵まれないというのがあるんだとは思います。あと、「女にF1は無理じゃろ」という偏見が無いとは言い切れません。

とはいえ、バーニー爺がラブコールを送っていたダニカ・パトリックのように、他カテゴリーで目を見張るような成績を残して見せれば道は開けるハズ。野田樹潤の場合、親父がF1出場経験のある元レーサーというのもアドバンテージになりますしね。

日本の女性レーシングドライバーというと井原慶子が思い浮かびますが、彼女も女性レーシングドライバーの育成プロジェクトに関わっているみたいですし、もしかすると今後、女性レーサーというのが思いのほか珍しく無い存在になってくる、かも。

今のF1では最年少記録だとか最多記録みたいなのもジャンジャン破られているワケですからね、「女性が活躍できない」というジンクスも近いうちに破られるコトを期待したいところ。しかし、本気でF1狙うならもう若いウチからヨーロッパに拠点を移した方が良いとは思いますけどね。それは、ヨーロッパで武者修行してF1に辿り着いた野田英樹自身が良く分かっているハズではありますが。