大須は萌えているか?

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F1[18] ロシアGP 予選

なんだろう、この何処からともなく漂う消化試合感。F1ロシアGP予選。

フェラーリの失速

シンガポールでは失意の週末となったフェラーリですが、そのどんよりした空気をそのままソチにも持ち込んできてしまった感がありますね。金曜日からパッとせず、特になんの改善もないまま予選が終わってしまった的な。まあ金曜にはレッドブルにも負けていたコトを考えると前進しているのかもしれませんが。

思えば昨年はフェラーリがここソチで9年ぶりのフロントロウ独占をやってのけ、「強いフェラーリ」を印象づけた場所だったのに、秋開催となった今年はフェラーリの弱さが滲み出るような結果となってしまったのはなんとも皮肉。セクタータイム見ても、どこも勝ててないもんなあ……。特にテクニカルなセクター3はダメっぽいですね。かといって、高速なセクター1もメルセデスとほぼトントンという状態。エアロのアップデートでやらかしてしまったでしょうか。

やらかすのは仕方無いにしても、金曜にダメだと分かってから、全然立て直せないまま土曜の予選が終わっちゃったという辺りに、フェラーリの重傷さがあるよーな気もします。

一方でポールを獲得したのはボタス。ソチ得意ですもんね彼。グランプリ初優勝を飾った思い出の場所にもなっておりますが、ロシアGP2連勝となるのかは気になるところ。記者会見でも勝利を狙ってレースするとコメントしてますし、チームオーダーの心配はしていない?

ハミルトンはセクター1でキレッキレのタイムを出しておりましたが、セクター2ではボタスが優勢。Q3最後のアタックでセクター2のタイムを削り取ろうとリスクを取ったところ、コースを飛び出してしまいアタックを取りやめたって流れみたいですね。

ただまーハミルトンの表情には余裕が漂っており、Q3でもリスクを取りに行くだけの余裕があったというコトを考えると、なんかもうフェラーリは脅威として見做されていない感すらありますし、なんともいえない消化試合感が漂ってくるのでありました。それでもハミルトンとベッテル、コンマ4秒以上離れているからね……。

中団争いも盛り上がりに欠ける

さらにこの消化試合感を加速させていたのが、中団グループでもあまり競争が見られなかった点でしょうね。

今回、トロロッソがホンダPUの最新スペックを投入して2台ともペナルティ、レッドブルルノーPUの載せ替えでペナルティ(こっちは最新CスペックからBスペックに戻したみたいですが)、それからアロンソもPU交換でペナルティ。グリッド降格が15以上になる場合は強制的に最後尾スタートとなるレギュレーションにより、この5台については予選で競う意味が無くなってしまいました。

代わりに、金曜フリー走行でスタート位置が決まるという、珍しい展開になってしまったようで。

1つのグランプリでグリッド最後尾スタートのペナルティを受けたドライバーが複数いた場合は、どうなるのか?

レギュレーションでは、『ペナルティが確定した順』となっており、この『確定した順』というのは、金曜日のフリー走行でコースイン順を意味する。なぜなら、コースインした瞬間に『使用した』と見なされるからだ。

そのため、同じグリッド最後尾ペナルティでも、16番手から20番手まで別れるため、少しでも上のグリッドを得ようと、該当するドライバーは、われ先にとガレージを出たわけである。

via: F1 Topic:最後尾スタートのペナルティが科された5名の決勝スターティンググリッド争い

金曜FP1はアロンソのマシンにランド・ノリスが乗り込んでおり、アロンソのスターティンググリッド位置を押し上げるために、なんとセッション開始20分前からピットレーン出口に並んでいたようです。

A big thanks to Lando for waiting in the pit-lane for 20 minutes for the FP1 green light.

via: Fernando Alonso : What the teams said - Practice in Russia

アロンソの16番グリッドを確保するために20分前から並ぶ……F1の世界は大変ですね(?)。

それでもQ1は全車が出走したワケですが(一応107%ルールもあるしね)、ウィリアムズの2台は安定のQ1ノックアウトとなり、ペナルティ組のうちレッドブルの2台とトロロッソのガスリーはQ2へ進出。ただ、彼らもQ2は一切アタックはせず。トップ4はメルセデスフェラーリで確定として、残るチームはハース、フォースインディア、ザウバールノー

このうち、ルノーはどうにもパフォーマンスが上がらないため、全力でアタックしてもトップ4に次ぐくらいのポジションを狙うのは無理な雰囲気。かといって、9~10番手くらいに入っちゃってタイヤ選択権を失うくらいなら、アタックせずに11~12番手を確定させた方が有利じゃね?というコトで、ルノーもアタックしないままQ2が終わるという結果になってしまいました。

つまりQ2に進出した15台のうち、5台はアタックしなかったという形になったワケで……。

“If we’d had the pace in qualifying to go up to P5 or P6, we would definitely have kept going and put the hypersofts on. But after two runs in Q1 where we both struggled with the car balance and trying to put laps together, it was obviously difficult to take that decision. It’s not what we want, it’s not the rule that we support because it’s not good, but we need to do it.

via: F1: Renault on not appearing in Q2 for qualifying in the 2018 Russian Grand Prix

5番手6番手を狙えるペースがあるなら走っただろうけど、Q1のランで苦しんだコトを考えると走らない方が正解だった、というサインツのコメントがちょっと悲しい。結果としてザウバーが2台揃ってQ3進出を果たすという珍事が起きたワケですが、まあ決勝になるとレッドブルが後方から猛追して蹴落としていく展開になるんじゃないでしょうか。

走らない方が有利、という局面が存在してしまうのは、レースという興業を考えると可能な限り避けるべき事態ではありますが、こればかりはレギュレーションの穴、としか言い様の無いところです。アロンソは「少なくとも、彼ら(観客)はF2のレースは楽しめたんじゃないかな。観客にとっては、今日一番楽しい部分だっただろうからね」と彼一流の皮肉を言っているようです。

"At least I think they enjoyed the F2 race.

"It's definitely the most fun part of the day for the spectator."

via: Alonso: F2 more fun than nonsense Russian GP F1 qualifying session - F1 - Autosport

なお、アロンソは予選では「107%ルールをクリアするのと、ストフェルにトウを与えて助けることを目的に走った。エンジンはセーフモードを使って、パフォーマンスランはしてないよ」とコメントしているんですが、そのストフェルがアロンソよりコンマ4秒遅くウィリアムズのシロトキンにも劣る19番手で終わっているコトに涙を禁じ得ません。

いやさすがにおかしいやろコレ……。