大須は萌えているか?

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F1[20] 70周年記念GP 決勝

ある意味、先週以上にまさかの展開でした。F1「70周年記念GP」決勝。

まさかのメルセデス完全敗北

イギリスGPでタイヤトラブルに見舞われたものの勝ちを拾ったメルセデス。タイヤアロケーションがひとつ柔らかくなるとはいえ、前戦の経験も踏まえてメルセデスは対策を打ってくるだろうし、決勝に向けてこれといった不安要素は無いのかな……と思っていたりしました、が、フェルスタッペンがレースペースで常に優位に立つ展開を見せ、最終的には2位ハミルトンに11秒先行しての勝利。レッドブル・ホンダの完勝でした。

カギはときかくタイヤに尽きますね。メルセデスのタイヤは劣化が早すぎたし、一方レッドブルはタイヤに優しかった。それぞれ2台ともが同様の傾向を示していたコトから、これはマシンの性格と言っても良さそうです。にしても、ここまで露骨に差が出るとは思いもしませんでしたし、それは当のドライバーたちも同じだったようです。

特にハミルトンよりかなり早いタイミングで2度目のタイヤ交換をして、最終的に2位のポジションも失ったボタスは憤懣やるかたなしといった感じで、「マックスが仕掛けてきたとき僕らは居眠りでもしてたんじゃないか」みたいな珍しくキツいコメントしてますね。なんせこれで、ドライバーズポイントでもフェルスタッペンに逆転されちゃいましたしね。

“I think as a team we were sleeping at some point when Max managed to get ahead of us, and my strategy was far, far from ideal so, lots to lean from today I think.”

via: ‘As a team we were sleeping’ – Bottas points finger at Mercedes strategy as he slips from pole to third | Formula 1®

トト・ウォルフはボタスのコメントに理解を示しつつも、戦略でレッドブルとの差をひっくり返せたとも思っていないようです。それくらい、今回の差は明白だったと。1回目のタイヤ交換でハードタイヤに履き替えたボタスのラップタイムが、タイヤをまだ換えていなかったフェルスタッペンより遅かったという時点でそれはお察しではあります。

ただ、それを見たメルセデスがボタスを早めに2度目のタイヤ交換に呼び戻したところ、交換したタイヤのラバー自体はまだ十分に残っていたコトがわかり、ハミルトンのピットストップはなるべく引っ張るようにした(可能なら1ストップの可能性に賭けた)という感じっぽいですね。それによってボタスは損をする格好になったので、まあ愚痴りたくなる気持ちはわかります。以下、トト・ウォルフのコメント。

“So I’m not sure what we could have done better. Obviously he’s not in a happy place that he was P2 and Lewis was P3 [before Hamilton got ahead], but it was the learning that happened on track when we got Valtteri’s tyre in. We saw actually there was a lot of rubber left and we extended Lewis’ stint – albeit that there were big vibrations, but a lot of rubber.

via: ‘We just had a slower car’ – Mercedes boss Toto Wolff counters Valtteri Bottas ‘sleeping’ criticism after Silverstone defeat | Formula 1®

フェルスタッペンが勝利したのはもちろんQ2をハードタイヤで通過するという作戦(ギャンブル?)のおかげもあるでしょうけど、ここまでペースの差があったコトを考えると、ミディアムスタートでも勝っちゃってたかも知れないですね。

ただ、今回の勝利はいつものコンサバなタイヤアロケーションではなく、かなり「攻めた」アロケーションだったからこそのもの、という見方もできます。その辺はフェルスタッペンも承知しているワケでして、今回のレースは予選の速さが足りなかったし、次戦バルセロナではまた硬いタイヤに戻ってしまうので、奇跡を期待しないほうが良いだろうと。

We had a good day so we just need to be happy about today but we can also be realistic; we are still lacking pace in qualifying, quite a bit, so we need to solve that first as well and of course we go back to harder tyres in Barcelona. Of course we saw last week that on those harder tyres we are still quite a bit off so I don’t expect any miracles there.

via: FIA post-race press conference - 70th Anniversary Grand Prix | Formula 1®

先週のレースではパンク祭りがありつつも、レースペースはメルセデスが支配してましたしね。バルセロナも路面温度が高そうとはいえ、今回と同じような展開になる……とは言えないでしょうね。

ベッテルやばくね?

3位以下で目を引くのは、またしても卓越したタイヤマネージメントで1ストップ作戦を採り、4位入賞を果たしたルクレールでしょうか。1ストッパーとは思えないくらいペースが安定してましたね。あと1ストップ作戦を採ったのはルノーのオコンですが、こちらも8位入賞。ただ、ルクレールはそのオコンよりも早いタイミングでピット入ってますからね、よくマネージメントしたなと。逆に言うと、直接コース上で勝負できるほどのパフォーマンスがマシンに無いから、こういうドライバーのタイヤマネジメント能力に頼った作戦にならざるを得ないフェラーリの苦しさも垣間見えますが。

一方今回も重症だったのがベッテルで、スタート直後にスピンぶっこいて最後尾に落ちたかと思えば、レース中の無線やレース後のインタビューではチームのピット戦略を「メチャクチャだ」と批判。タイヤ交換のタイミングは渋滞の中に戻るコトの無いようにしてくれ、とレース前に話していたのにそれでも渋滞に戻されたり、最初に交換したハードタイヤより、その次に履いたミディアムタイヤのスティントが長かったコトに腹を立てているというワケです。

Vettel says Silverstone strategy did not ‘make any sense’ as ends up P12 after early spin | Formula 1®

ただまー、ベッテルが最初にスピンして最後尾から追い上げる展開になっちゃった関係で、上手いこと空いているスペースに戻すタイミングを見つけるのが難しかったのも事実。2度目のピットが早いタイミングになったのは、ベッテルが隊列の中でスタックしてしまっていたので、ピットを早めるコトで状況を変えようとした……とは解釈できます。

ただ、インタビューに答えるベッテルは非常に憮然とした口調で(マスクとサングラスで表情は見えないけど)、正直チームとの信頼関係がほぼ完全に破綻しているように見えます。シーズン中の離脱があっても不思議じゃ無いくらいの雰囲気なんですが、大丈夫なんでしょうか。ビノットは、ベッテルの助けになるならシャシー交換まで含めてオープンに検討する、と言っているみたいですが、今必要なのは新しいシャシーでも無いような……。

"I think we are open if it is something that may help. Why not? I think whatever we can do to help is important for us, for Sebastian, and I think from a team point of view and a driver point of view, to try to make better in the next races.

via: Ferrari open to making F1 chassis change for Vettel - F1 - Autosport

一部報道で、ベッテルがすでにレーシングポイントと来季の契約を結んだって話も出てますけど(ただしソースはイタリアのガゼッタ紙)、フェラーリで一度もタイトルを掴めないまま、追い出されるようにセカンドグループのチームに移籍するのはベッテルにとっては屈辱だと思うんですよね。フェラーリでの残りのレースでなんとか一矢報いたい、という思いでモチベーションを高めてくれれば良いんですが、スタート早々のスピンやらその後のチーム批判やら、なんかもうプッツンしちゃってる感も否めません。ルクレールが見事なレースしているもんだから、余計にねえ……。

強力なチームメイトを迎えたときに、どう対峙するかというのはどんなドライバーにとっても永遠のテーマかもしれませんけどね。ハミルトンだって、戦績を積み上げてきたからメンタルも安定しましたけど、昔はもっとナーバスな感じしましたしね。ただ、マクラーレン時代にそれなりに苦労もしながらキャリアを積んできたハミルトンに対して、ベッテルはいきなり絶頂を迎えてしまったのが逆にアダとなった気も……。

ヒュルケンベルグ頑張った

予選3番手で期待が高まっていたヒュルケンベルグは、残念ながら7位どまり。それでもストロールをずっと押さえて走ってたんですけどね、最後にタイヤがダメになっちゃって余分に1回ピットに入るコトになったのが残念でした。それでも、代役としての務めは十分に果たしたと言えますよね。シルバーストーンってGが強くて肉体的にも相当キツいでしょうに、きっちりポイントゲットを果たして見せたんだから。

ロス・ブラウンはコラムの中で「私がメルセデスに居たとき、彼(ヒュルケンベルグ)と契約寸前だったんだ。もしルイスがメルセデスに来なければ、次の選択肢は彼だった」と書いてますが、これ2013年の話ですかね。もしヒュルケンベルグメルセデスに乗っていたらどうなっていたか、とは考えちゃいますね。

The Ross Brawn Column: If Hamilton hadn’t joined Mercedes, Hulkenberg was our next choice – he deserves to be in F1 | Formula 1®

次のバルセロナはペレスの復帰が確実視されてますのでヒュルケンベルグの出番はここまでとなりそうですが、スペインも今ふたたび感染リスクが高まっており(しかもサーキットのあるカタロニアは結構ヤバめ)、新たな陽性者が出ないとも限らないのが物騒ではあります。もちろん、移動には万全を期しているでしょうし、基本的にサーキットのモーターホームで寝泊まりしているハズなので、そう滅多なコトにはならんと思いますが。