大須は萌えているか?

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F1[22] サウジアラビアGP 予選

金曜日にサーキット近隣にあるアラムコの石油貯蔵施設が武装組織の攻撃を受けて大規模な火災が発生するという状況の中、開催が継続されることにはなったサウジアラビアGP。サーキットの安全は確保されているとして関係者も納得したようですが、しかしテロのリスクが高い国での開催というのはやはり考えものなのでは……(F1自体が中東からの資金依存度が高いので外したくないんだろうけど)。

なんとびっくりペレスがポール

フリー走行から安定してフェラーリが速く、Q1・Q2もフェラーリがトップタイムを叩き出してきたのを見て、こりゃあ今回もフェラーリだな……と思っていたら最後の最後にペレスが逆転のポールを奪うという予想外の展開。ペレス自身会心のラップだったようですが、こうしたクラッシュのリスクの高いサーキットゆえに、上手くハマったときには思わぬラップタイムが叩き出せるというのはあるのかもしれませんね。

ペレスがポールタイムを叩き出したラップを見てみると、セクター1はむしろクルマが曲がりづらそうな感じもしててとても速そうには見えないのが面白いところ。タイヤのピークをラップの後半に持ってくるようにしていたってコトなんでしょうけど、この辺のタイヤマネージメントもまだ各ドライバー手探りな感じではあるんでしょうね。

ONBOARD: Sergio Perez’s 2022 Pirelli Pole Position Award lap at the Saudi Arabian Grand Prix(動画)

サインツはセッション後のインタビューでユーズドタイヤのほうが感触が良かった、みたいなコト言ってましたし、ラッセルはQ2で最初にミディアムで出したタイムがベストタイムになったりするなどもしてましたけど、全体的にタイヤの美味しいところの使い方がなんだか難しそうな印象でした。

もともとタイヤマネージメントには定評のあるペレスですが、今回はショートランの間におけるマネージメントも上手く行った、という感じでしょうか。215戦目での初ポール獲得はF1史上最長になるとのことですが、今までのレコードホルダーがマーク・ウェバーの130戦というコトなのでぶっちぎりの記録更新ですね。今後この記録が更新されることはあるんだろうか。

気になるのはフェルスタッペンが予選4番手に沈んだコトですが、本人曰くQ3に入ってタイヤが全然グリップしなくなった、みたいなコメントしてますね。1セット目と2セット目の両方でタイヤがおかしかった、というのもちょっと不自然なので、この辺も今年のタイヤの扱いの難しさを物語っているのかもしれません。

ただ、そんな中でずっと安定して2台とも速いフェラーリの力というのはやはり突出している感じがしますね。メルセデスはおろかレッドブルですら安定したパフォーマンスを出すのに苦労している中で、一貫して速いタイムを刻めているというのはものすごいアドバンテージ。決勝レースはまた赤旗だのセーフティカーだのが頻発する展開になりそうな気もしますが、そんななかでこのフェラーリの安定性というのは大きな武器になるんだろうと思います。これといったマシントラブルもありませんしねえ。

これまたびっくりハミルトンがQ1落ち

ペレスとは逆の意味でびっくりしてしまったのが、ハミルトンがQ1落ちを喫してしまったコト。メルセデスが悪い状況とはいえ、ここまで悪いとは思わないので。ハミルトン曰く、セッティングの変更によってマシンがコントロールし辛い状況に陥ってしまったようで。チームメイトのラッセルがなんとか6番手に食い込んでいることを考えると、メルセデスの戦闘力自体はもっと高いゾーンに有るはずだとは思うんですが、どうにもマシンのスイートスポットが狭いっていうコトなんですかね。ラッセルのコメントからもその様子が伺えます。

We don’t have a handle on the car at the moment, it’s been inconsistent and we’re fighting to get it into this very small window. On our side of the garage, we managed to get it just inside that window - I don’t really know why or how - and unfortunately on Lewis’s side they didn’t manage to. When that happens on a circuit like this on a knife-edge, you just don’t have the confidence to push it to the limit.

via: George Russell : What the teams said - Qualifying in Saudi Arabia | Formula 1®

あと気になるのはメルセデスPUのマシンが全体的に低調で終わっているという点で、ストレートの速度が伸び無いもんだからレッドブルに対してストレートだけで0.5秒以上失っているみたいなデータも出てましたけど、これPU自体のパフォーマンスも悪いっていうのはなにが原因なのかっていうのはちょっと気になるところ。ていうか、今後2025年までPUが開発凍結されるっていうのにこの状態なのは大丈夫なんでしょうか。

直線で一番速いのはフェラーリではなくレッドブルで、フェラーリは低速コーナーに強みを持っているみたいですね。というか、フェラーリのほうがオールラウンダーであると考えたほうが良いのかな。今回もアルファロメオのボタスとハースのマグヌッセンはQ3に飛び込む速さを見せているので、フェラーリPUのパフォーマンスはやはり良さそう。

メルセデスはPUの相対的パフォーマンスの低下に加えてポーパシングの問題にも苦しめられており、そしてハミルトンのようにセットアップをちょっとミスるとマシンがスナップしまくって乗れたもんじゃなくなる、という三重苦な状態に陥っている感じ。

メルセデスにしてみればシーズンのなるべく早いタイミングで大型アップデートをしたいところでしょうが、今はバジェットキャップもある上に世界的なインフレでパーツの調達コストも上がっていると言うし、どこまで挽回していけるかは未知数ですね。こうしてみると、初期段階からいかに素性の良いマシンを用意できるかというのが今のF1においては極めて重要というコトなのかなと思います。

そのほか

Q2で大クラッシュを喫したミックはどうやら怪我が無いようで一安心でした。今のF1の安全性が垣間見られたのは良かったですが、その一方でやはりこのコース危ねえよなあと思ったりもします。

アルファタウリはガスリーがQ3まで進出したのは良かったですが、トラブル多いですねえ……。角田が走れなかったのはウォーターシステムのトラブルとかって話が出ていましたが、ラジエターとかに関連するトラブルなんですかね。なんかあちこち壊れるな……。決勝はまず2台揃って完走してほしいところです。角田もラップタイム自体は悪くなさそうでしたからね、サバイバル展開になれば生き残ってさえいればポイントのチャンスも出てくるかも。

今回アルピーヌがオコン5番手・アロンソ7番手と悪くないポジションにつけているところを見ると、ルノーPUもパフォーマンスは悪くないのかな。……ひょっとして今年の最弱PUってメルセデスだったりします?

そのメルセデス勢はトップ10に入れたのがラッセルだけという悲惨な状態ですが、マクラーレンの2台が開幕戦より良い位置に来ているのがやや救いでしょうか。ただリカルドはオコンに対する進路妨害で3グリッドダウンペナルティ食らっちゃいましたけど。

Ricciardo penalised three grid places after impeding Ocon in qualifying | Formula 1®

決勝はおそらくフェラーリレッドブルの争いになるんでしょうが、その後ろにくるチームがどこなのか、あとはどれくらいのサバイバルレースになるのかっていうのが気になるところですね。そういやマグヌッセンは予選10番手止まりだった理由について「首がやられた」とコメントしてますが、決勝は大丈夫でしょうか。

We have to be happy with Q3, but the car was better than P10, I didn’t get the most out of it. Honestly my neck just completely broke in Q3 – suddenly it snapped, and I couldn’t hold it.

via: Kevin Magnussen : What the teams said - Qualifying in Saudi Arabia | Formula 1®