大須は萌えているか?

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ゼロスポーツの破産は「日本郵便マジ鬼畜」という話なんだろうか?

最近気になっているのが、岐阜にある「ゼロスポーツ」という会社が破産する、という話。

asahi.com(朝日新聞社):ゼロスポーツが破産へ 日本郵便とのEV納入契約解除 - ビジネス・経済

ゼロスポーツって「EVベンチャー」みたいに紹介されている記事が多いですが、個人的には「インプレッサのカスタムパーツ作ってたとこ」という印象が強いです。ていうか、昔ちょこっとゼロスポーツのパーツを使わせてもらってました。

んで、何が気になるってその破産の経緯。朝日新聞のニュースによると、

同社によると、日本郵便と契約したのはエンジン車を改造した集配用EV。今年1月と2月に計30台、来年2月に1千台を納入予定だった。

ところが、日本郵便に改造用エンジン車のメーカー変更を求められ納期が遅れる見通しとなり、1月に契約解除の通知を受けたという。違約金7億円の支払いも求められたという。銀行からは借入金の返済を求められ、資金繰りが悪化。民事再生法による再建も検討したが、難しいと判断した。

via: asahi.com(朝日新聞社):ゼロスポーツが破産へ 日本郵便とのEV納入契約解除 - ビジネス・経済

ゼロスポーツが日本郵便から合計1030台のEVを来年2月までに納入するという、かなり規模の大きい注文を受けていたみたいなんですけど、日本郵便側がクルマのメーカー変更を求め、納期が遅れるとわかると契約を解除し、さらに7億円の違約金を払え、と言ったらしく。ゼロスポーツなんてそんなに規模の大きい会社じゃありませんから、こんな大口の契約を切られて違約金まで払えと言われたら、そりゃあちょっと・・・。

さらに、Responseにこんな記事が。

破産ゼロスポーツが郵便EVを納品できなかった本当の理由 | レスポンス自動車ニュース(Response.jp)

詳細は元記事を読んでいただくとして、すげー適当に要約すると、

  1. いくつかの事情により、ゼロスポーツと日本郵便の間で、EVのベース車両の変更及び納期の年度繰越について合意した
  2. でも合意のあと、日本郵便がベース車両を変更するってコトは実証実験をやり直さなきゃいけないじゃん、というコトに気づく
  3. 実証実験のやり直しはさすがにやってられない、でもトボけているとまた叩かれるかもしれない
  4. 日本郵便、土壇場になって合意したはずのベース車両の変更及び納期繰越を認めないと通知
  5. ゼロスポーツ、銀行に運転資金を凍結され破産

という流れだそうで。

これらの記事を読むと、日本郵便どこまで鬼畜なの、という話なんですけど、さすがに無茶苦茶すぎてホントなのかなぁ、という気もしてしまうんですよね。いや確かに、大きい組織って発注先に対してあり得ないような無茶苦茶を言うことは往々にしてある話ではあるんですけど。それにしても、一度は合意した内容を一方的な都合で破棄して、さらに違約金の請求て。

んで、日本郵便側からはこれらの報道内容を否定するコメントが。

ゼロスポーツ社の自己破産申請に関して、弊社がゼロスポーツ社に契約の仕様変更の要請をした事実はありません。

事実関係は以下のとおりです。
ゼロスポーツ社から、平成22年10月20日、「契約物品の納入不能に関する報告」という文書が届けられ、仕様に定められた車両が納入できなくなったとの報告がありました。その際、他社のボディで納入するとの提案もありました。しかしながら、他社のボディにすることは、新たな開発プロセスで別の車種として開発し、型式認定も新たに取得することになるものであり、全く別の契約であり、契約変更というものではありません。また、納入期限や品質についても何の保証もないため、弊社にとってリスクが大きいと判断し、協議の結果、平成23年1月17日、提案については受け入れられない旨、文書により契約解除の通知をしたものです。

via: ゼロスポーツ社の発言に対する一部報道について - 日本郵便

日本郵便は仕様変更の要請をしていない、と。完全に話が食い違っているんですよね。

あと毎日の記事では、

ゼロスポーツの代理人は「納期遅れについては、日本郵便側と合意ができていたと考えていた」と説明している。

via: EV開発:ゼロスポーツ倒産へ 日本郵便が契約解除 岐阜 - 毎日jp(毎日新聞)

なんていうコメントも掲載されているんですけど。「合意ができていたと考えていた」という言い方が気になりますね。なんかモヤっとしている。日本郵便のコメントと合わせて考えると、ベース車両の変更を申し出たのはゼロスポーツ側で、ギリギリまで協議を続けていたものの日本郵便側は態度を保留していた。んで、最初の納期が近づいてきていたものの、協議がまだ続いていたので、「納期は延長されたもの」とゼロスポーツ側が一方的に解釈していたのかなぁ、とか。

ゼロスポーツみたいな規模の会社が1030台ものEVを納車するとなると、会社のリソースすべてをそこに注ぎ込んでいたんでしょうし、その契約を当て込んだ資金繰りをしていたんでしょうから、もしこの契約が無かったコトになると会社が無くなってしまう。だから日本郵便側の神経を逆撫ですることを恐れて納期遅れの話をあやふやにし、でも「合意は得られている(はず)」と思い込んでしまい、その結果双方で決定的な認識のズレとなったのかなぁ、とか。

あ、この辺の話はあくまで想像です。ただ、個人的にはこっちのがしっくりくるなぁと。もし日本郵便側からベース車両変更を要求してきて、「納期遅れます」といったら「じゃあ契約は白紙じゃ、違約金7億払えや」という話のほうがホントだとすると、正直ヤクザよりヒドい。日本郵便が契約の破棄・違約金の請求なんていうとこまでブチ切れているのには、それなりの理由はあるはずなんじゃないかなぁ、と。

いずれもう少し双方に突っ込んだ取材をした記事が出てくるコトを期待したいですが、ただ印象として「日本郵便マジ鬼畜」というだけの話では無いんじゃないかなぁ、という気がしてしまうのでした。そもそもこの案件は、ゼロスポーツという規模の会社が請け負いきれるモノだったのか、というのも気になりますし。