大須は萌えているか?

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いじめ加害者をフルボッコにしても逆効果じゃね?

連日ニュースになっている大津のいじめ自殺事件、WEBでは加害者と思われる生徒の名前やら顔写真やらが晒されたりしてますが、ついには69歳のおじいさんが加害者の殺害をほのめかす脅迫状を滋賀県知事に送りつけたなんてニュースまで。

【中2いじめ自殺】「いじめた生徒殺し天誅を」 滋賀県知事に脅迫状、69歳男逮捕「誰かが…」 - MSN産経ニュース

しかし、いじめを無くしたいがためにこういう行為をやっているんだとしたら、完全に逆効果だと思うワケです。

だってさ、いじめが事件として表に出たら、加害者のプライバシーがWEB経由でどんどん暴かれ、さらには殺害予告まで来るとなると、「加害者のプライバシーを守るためにもコトを表沙汰にしたくない」てな感じに、事件を隠蔽する口実が増えちゃうワケじゃないですか。

「加害者に人権は無い」とか、お前どこのリナ・インバースだよみたいなコト言う人も居ますが、残念ながら(?)あります。

大津の事件の隠蔽っぷりはちょっと酷すぎるように見えますが、その裏にはいじめを表沙汰にするコトによる教師たちへのマイナスが大きいという実態があるようで。

学校がいじめを隠ぺいする本質的理由~教育現場に成果主義を導入した悲惨な結果 - 木走日記

いじめ自体は非常にありふれたもので、人が集まってある程度の規模のコミュニティが出来れば、程度の差こそあれ起きてしまうものだと思ってます。いい年こいた社会的地位のあるおっさん・おばさんでもやるからね。それを「無くす」コトは本質的に不可能で、もしそれを可能にしようとするならば、「いじめ」と認定するハードルをめっちゃ高くするしかない。

そうなると、「あれは『遊び』で『いじめ』ではないのデス」なんて考えが横行するようになり、教師がそんなんだと加害者の生徒達は当然行為をエスカレートさせていくワケで。そしてコトが明るみに出たときには、とっくに手遅れになっているという。

この連鎖を断ち切ろうと思ったら、「いじめを無くす」なんて考えはやめて、「いじめはありふれたもの」という認識を教師も生徒も親も持つところから始めるしかないんじゃないかと。いじめはどうしたって存在する。問われるべきは、如何に早く「これはいじめである」と周囲が認識して、それに対応できるかという点。

いじめ問題に対処するのに現場の負荷が大きいというならば、いち早く問題を吸い上げて県や国レベルで問題を把握できれば、専門のチームを派遣するというコトもできるワケでしょ。いじめを報告することが、結果として現場の負荷を減らすコトにも繋がるようにできれば理想的。

でも、加害者とは言え未成年の生徒をバンバン晒したり、殺害予告したりっていう行為は、いじめを表沙汰にするコトへのリスクを無駄に増やしてしまう。教育現場の隠蔽体質をさらに助長させてしまう。

加害者を晒し上げるコトで抑止効果を狙ってるのかも知れませんが、抑止できたとしても一時的なモノでしかないでしょう。それに、いじめのやっかいなところは、加害者側が加害者としての意識を持っていないコトが往々にしてあるという点。「まさかこの程度のことでいじめになるなんて思ってもみなかった」ってね。

いじめられた方はいつまでもその事実を忘れられないけど、いじめた方はサラッと忘れているなんて良く聞く話。そんな認識の加害者達に、どの程度の抑止効果がありますかね?

もちろん加害者達を放っておけとは思わなくて、いじめがエスカレートして犯罪行為が行われていたのならば、それは裁かれるべきでしょう。ネットじゃなくて司法によってね。そのためにも、事実は隠蔽されずに表に出てこなくちゃいけない。

まー加害者を晒し上げたりする理由が「気兼ねなくフルボッコできるヤツを相手にストレス解消したいから」とかなら、もうどうしようもないんですけどネ。いろんな意味で。