大須は萌えているか?

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『小説 いまいち萌えない娘』を読んだ

先日この書評記事をちらっと読んで、

あの「いまいち萌えない娘」が最強の萌えキャラに変身!? | ダ・ヴィンチ電子ナビ

なんとなく気になって買ってしまいました。

小説 いまいち萌えない娘
リエーター情報なし
神戸新聞総合出版センター

いまいち萌えない娘」が話題になったのは知ってるんですが、それを小説にしようとしたらどんな話になるのかとんと見当が付かなかったので、興味が湧いてしまったのです。著者は森田季節という神戸市出身のライトノベル等書いてる方なんですけど、著作を読むのはこれが初めて。

中身は5つの短編で構成されていてサクっと読めてしまうんですけど、確かに割とグダグダなストーリーが展開され「いまいち萌えない」の名に恥じない(?)内容。でも、最初の「誕生のヒミツ」とその次の「兵庫県いまいち大会」、そして最後の「いまいち萌えない娘の…覚悟」は結構面白かったかな。

「誕生のヒミツ」はその名の通り「いまいち萌えない娘」の誕生秘話という形になっているんですが、一応フィクションではあるもののなんとなくリアリティを感じるストーリーでもあり、これ実際の話を元に書かれたのかなぁという気がします。特にキャラの設定を考えていくくだりとか、「実際こんな理由で決めてそう……」という会話の数々。フィクションの皮を被ったドキュメンタリーでしょうこれ。

兵庫県いまいち大会」は「いまいち萌えない娘」と3人のサブキャラクターが兵庫県をPRすべくグダグダなトークを繰り広げるお話。ていうか「いまいち萌えない娘」にサブキャラクターなんて居たのを初めて知ったよびっくりだよ。各キャラが担当エリアを持ってそれぞれの地域をPRしてるんですが、正直県外の人間から見るとそんなエリア分けなんて激しくどうでもいい感じがしてしまうワケで、それでも当人達は至って真面目なのが面白い。愛知県だって尾張三河の違いなんてヨソから見ればどうでもいいだろうしね……。

「いまいち萌えない娘の…覚悟」は「いまいち萌えない娘」のアイデンティティを問うお話。「いまいち萌えない」ところがウケてしまったが故の悩みというか葛藤というか、そういうのが描かれてます。確かにコレ、すごく難しい問題ですよね。「いまいち萌えない」状態をキープしなきゃいけないんだから。でも、だからといって「意識的にいまいちであることを保ち続ける」ことが正解なのか?ということを問うています。

ただ、この本の挿絵はいまいちどころか結構「萌える」レベルの絵になってしまっているんですが、これは作中で「いまいち萌えない娘」のイラストを描いたことになっている今井さんという女性(神戸新聞のバイトらしい)が「いまいち萌えない娘」のコスプレをしているという設定(ややこしい)らしいので特に問題無いです、ええ。ちなみに、「いまいち萌えない娘」にはWEB上で非公式に今井知菜という名前が付けられているんですが、この作中に出てくる今井さんもここから来てるんですかねぇ。

1,300円という値段は正直微妙なんですが、「萌え」の定義や地域ネタに興味ある人なら読む価値あるかも。