やっぱりなんか定期的にオーバルコースの大事故って起きているような……。
NASCARでクラッシュ、フェンス破損で観客が負傷 写真15枚 国際ニュース : AFPBB News
アメリカン・モータースポーツには疎い私なんですが、とりあえずNASCARがアメリカで一番の人気を誇るレースだというコトはわかります。その中でもカテゴリー分けされていおり、その頂点となるのがスプリントカップと呼ばれるカテゴリー。んで、今回事故が起きたのはそのスプリントカップの型落ちマシンを使用して戦うネイションワイド・シリーズと呼ばれるカテゴリー。
翌日には、スプリントカップの開幕戦となる伝統のレース、デイトナ500を控えた状態での事故。
この事故に巻き込まれたレーサー達は幸い皆大きな怪我など無かったようなんですが、問題は破損したマシンのパーツが観客席に飛び込み、観客に2名の重傷者を含む負傷者が出ていると報じられているコト。
レースが行われたデイトナ・インターナショナル・スピードウェイ(Daytona International Speedway)によると、28人が負傷し、うち14人が病院に搬送されたという。しかしながら、重傷者が2人出ているという報告については確認が取れていないとしている。
クラッシュの映像を見てみると、観客席に破片が飛び込む様子が見て取れます。けっこう衝撃映像なので視聴にはご注意を。
重傷と報じられた方の容態はよくわかっていませんが、こうしたクラッシュによって観客が負傷するという事態はもっとも避けねばならないコトだと思うワケです。自らマシンを駆るドライバーは事故のリスクを承知して走っていますが、観客にしてみれば空からマシンのパーツが振ってくるなんて事態を想定しませんから。ましてや、それがタイヤ等の重量物だったり、エンジンや排気系の高温状態になっているパーツだったりしたら、本当に命に関わります。
モータースポーツの歴史においても、最も重大な事故とされているのは観客が巻き込まれた事故です。1955年のル・マンにおける事故はマシンそのものがスタンドに飛び込み観客81名が死亡するというちょっと尋常では無い事故なのでアレですが、これによりメルセデス・ベンツは30年に及びモータースポーツ活動を休止。
日本だと1977年に富士で開催されたF1で、ジル・ヴィルヌーヴのフェラーリがクラッシュし立ち入り禁止区域にいた2名(ガードマンとカメラマン)が死亡するという事故が発生。立ち入り禁止区域にも関わらず観客も多数入り込んでいたようで、他にも負傷者が出たようです。立ち入り禁止区域に居る方が悪いなんて見方もできちゃいそうですが、こちらは日本でのF1開催がわずか2年で終了する結果となりました。ここから鈴鹿にF1が帰ってくるのは11年後の話。
今回の事故は死者が出たとは報じられていませんが、タイヤなどが観客席に飛び込んでいたり、フェンスに大穴が開いていたりと、相当危険な状態だったと言えます。ましてや、立ち入り禁止区域ではないふつーの観客席ですからね。
それに加えて、偶然この事故で破片が飛んできたエリア付近でビデオ撮影していた観客がその動画をYouTubeにアップしたところ、NASCAR側の申し立てにより動画が削除されるという事態も発生していたようです。
- NASCAR blocks YouTube video of Daytona crash out of ‘caution’ and ‘respect’ | Poynter.
- NASCAR crash: What happened to fan’s video?
これによりFacebookやTwitterでは一時ファンが騒然となったみたいで、その後ビデオは再び視聴できるようになった模様。ちなみにそのビデオというのが以下。すぐ近くにタイヤが落ちてきた現場の生々しい空気が思い切り映っているので、視聴にはご注意ください。
このビデオを消すというのは、ともすればNASCARのイメージ低下を懸念した「もみ消し」であると取られる可能性もあるワケで(そして実際に多くのソーシャルメディアユーザーにそう解釈されたっぽい)、事後対応としても主催者側はかなりヘタこいてしまったコトになります。
NASCARのマイク・ヘルトン会長は、防護フェンスがあったため死者の出る大惨事には至らなかったと述べた。
「NASCARはきちんと安全性を考慮しています(キリッ」と言いたいところなんでしょうけどね。安全性が問題視されて、目玉レースであるデイトナ500がキャンセルなんて話になったらシャレになりませんし。まぁ邪推もしたくなります。
大人気シリーズの看板に大きなキズを付けてしまったように見える今回の事故とその対応、今後の展開も気になります。オーバルの安全性というモノがもっと問い直される契機になればいいのですが。少なくとも、観客の安全性は担保しないと……。