大須は萌えているか?

gooブログからこっちに移動しました

F1[14]ベルギーGP 決勝

破滅の足音が聞こえる。(ような気がする)F1ベルギーGP決勝。

決勝結果:
The Official F1 Website - 2014 FORMULA 1 SHELL BELGIAN GRAND PRIX

決勝後ドライバーコメント:
The Official F1 Website - Headlines - Race - selected team and driver quotes

決勝後記者会見:
The Official F1 Website - Headlines - FIA post-race press conference - Belgium

メルセデスの自爆劇

予選の結果からは、メルセデス圧勝フラグとしか思えない状況だったワケですが……フタを開けてみれば、夏休みを挟んでリカルド連勝。どういうことなんだキバヤシ

事の発端はスタート後間もない2周目、ケメルストレートからレ・コームへの飛び込みでロズベルグがハミルトンにアウト側から並びかけ、アウトとインが入れ替わる2つめのコーナーでロズベルグフロントウイングとハミルトンの左リヤタイヤが接触ロズベルグは翼端板を破損し、ハミルトンはタイヤがバースト。

長いスパのコースが仇となり、ハミルトンはピットインするまでに大幅なタイムロス。完全に勝機を失ったハミルトンはポイント獲得もあきらめ、エンジンを労るために敢えてリタイヤすることをチームに訴え、最終的にチームがそれを飲みリタイヤ。

ロズベルグはタイヤ交換と一緒にフロントウイングを交換し、一気に巻き替えし……かと思いきや、バスストップシケインの飛び込みでフラットスポットを作っちゃうなどして中盤のペースメイキングに苦しみ、結局トップを走るリカルドに追いつけないまま2位フィニッシュ。

ロズベルグ個人から見ると、ハミルトンノーポイントのレースでの2位なので、かなり大きなアドバンテージを得た格好になります。ただ、チームから見ると確実に1-2フィニッシュを取れそうなレースにおいて、25ポイント分をリカルドに持って行かれたワケです。ハミルトンはもちろん、チームにとっても面白いワケがない。

接触そのものは、よくあるレーシングインシデントの範疇だと思います(だから審議対象にもならなかった)。ただ、今まではハミルトンとロズベルグって接近戦を演じながらも、ギリギリ接触しないようにやってこれた。しかし、後半戦に入って残りレース数も考えると、そうも言ってられなくなったというコトです。

チームプレーという側面を考えるならば、ロズベルグは他チームとのマージンが十分築けていない序盤にチームメイトに仕掛けるのは慎重になるべきだったし、ハミルトンも接触を避けるため1車身のラインを残すべきでした。しかし、お互いがスタート直後から突っ張った結果がコレ。

夏休み前のハンガリーでも、ハミルトンがチームオーダーを無視するなど不協和音が聞こえてくる状況だったワケで、チーム側が両ドライバーをどうマネージメントするかが問われる状況でもあったワケです。ところが、結果としてこのスパでの自滅劇。

これにより両ドライバーの亀裂はいよいよ決定的なモノになったでしょうし、チーム側がハミルトンとロズベルグの手綱を握るコトがまったくできていないコトが証明されてしまいました。

トト・ヴォルフは「2人のドライバーが争うこと自体は許容するが、互いにぶつけないことが前提だ。レース序盤でのこのような接触は許容できない」みたいなコメントしてますが、そこで問われるのはドライバーというよりもチームマネージャーの力量ではないかと思います。

It has been our clear policy to let the drivers race this year but rule number one is: don't hit each other. To see that kind of contact, so early in the race, is an unacceptable level of risk to be taking out on track.

via: The Official F1 Website - Headlines - Mercedes: 'Unacceptable' clash must never be repeated

ロズベルグはもちろん自身の初タイトルが掛かっているし、ハミルトンだってずいぶん長らくタイトルから遠ざかってるワケですからね、お互いどうしたって譲りたくなくなってきますわな。

しかしまー、どんなに優れたマシンがあったって、最終的にはそれを駆る人間の思いが結果を左右するワケで……それがモータースポーツの面白いところでもあります。ただ、最終的にはお互い恨みっこ無しの勝負をしていただきたい、と願わずにはいられません。

ピリピリムードのメルセデスを押しのけて、表彰台の中央で満面の笑みを浮かべるリカルドはいつも以上に輝いて見えました。なんて良い笑顔してるんだコイツは。

大物ルーキー

優勝しリカルド以外にも、スパ大好きなライコネンを押しのけて3位に食い込んだボタスの健闘も光ってましたね。ここ5戦で4度の表彰台という絶好調ぶり。一方、マッサは途中ハミルトンのタイヤ片を拾ってマシンにダメージを負ってしまったようで、ペースが伸びずポイント圏外。マッサの運が全部ボタスに吸われている感すらあります。

それから見てて面白かったのは、レース終盤のマグヌッセン、ベッテル、バトン、アロンソの4つ巴のバトル。ここでマグヌッセンがアロンソに対し押し出すようなコトをしてしまったもんだから、レース後20秒加算ペナルティ(+2点のペナルティポイント)を喰らいポイント圏外に。

The Official F1 Website - Headlines - Magnussen loses points after Alonso incident penalty

まーこのマグヌッセンの走りは少々やんちゃ過ぎた格好ではありますが、実に血がたぎるバトルでありました。まさにF1ドライバー同士だからこそできるクレイジー・バトル。押し出されたアロンソは「スチュワードが終盤の問題について動いたのは知ってるけど、6位や7位を争っているときならそんなに重要なことだとは思わない」と、実のところ結構楽しまれていたご様子。

I know the Stewards acted on what happened, but I don't think it's that important when you are fighting for sixth and seventh places.

via: The Official F1 Website - Headlines - Race - selected team and driver quotes : Fernando Alonso

バトンもマグヌッセンとやり合う中でラインを潰されるようなシーンがありましたが、バトンも大いにバトルを楽しんでいたようです。

I also had a lot of fun out there, especially racing Kevin [Magnussen], Sebastian [Vettel] and Fernando [Alonso] at the end. In the final laps Kevin and I didn't touch, although I had to back off a bit at Turn Eight, when Fernando ran off as he and Kevin were dicing. I lost a place to Fernando there, which was a bit of a shame, and in turn a place to Sebastian after that, but as I say I really enjoyed it out there.

via: The Official F1 Website - Headlines - Race - selected team and driver quotes : Jenson Button

マグヌッセンも、「レース後ペナルティ喰らっちゃったけど、今週末は楽しめた」とペナルティを意に介さない発言。なにこの大物臭。

Despite being penalised after the race, I have to say I enjoyed the weekend.

via: The Official F1 Website - Headlines - Race - selected team and driver quotes : Kevin Magnussen

ペナルティの対象にはならないけど遺恨を残すバトルと、ペナルティの対象になったけどお互いが「楽しかった」と言えるバトル……レースとは不思議なものです。それはまた、F1のタイトル争いのプレッシャーが如何に重いかを示すモノでもあるんでしょうね。