どうしてこうなった、F1ロシアGP決勝。
決勝結果:
The Official F1 Website - 2014 FORMULA 1 RUSSIAN GRAND PRIX
決勝後ドライバーコメント:
The Official F1 Website - Headlines - Race - selected team and driver quotes
決勝後記者会見:
The Official F1 Website - Headlines - FIA post-race press conference - Russia
またやらかしたロズベルグ
こう言ってはなんですが、なんとも退屈な決勝レースでした。一番盛り上がったのはレース後半、プーチン大統領がサーキットに登場した場面だったんじゃないでしょうか。最初、このコースレイアウトに対するドライバーの評判も悪くなく、Twitterなどでは「ティルケのわりにはやるじゃん」との声も上がっておりましたが、決勝レースが始まると「やっぱりティルケだった」などと言われていたのが印象的でした。
しかし、この退屈な状況を作り上げたのはティルケデザインだけではないでしょう。まずなんといっても、スタート直後の2コーナーでど派手にタイヤロックさせ、早々にトップ争いを終了させてみせたロズベルグ。なにをやっておるのだ君は。記者会見では自身のミスと認めておりますが、いやなんかここ一番のミスが目立ちますねどうも……。
その後ミディアムに履き替えたロズベルグ、そこから50周以上タイヤ交換しないまま走り切るという作戦が当たって2位まで挽回はしてみせましたが……当然ハミルトンに追いつけるワケはありません。ウィリアムズのボタスも序盤はハミルトンに食いついてみせましたが、先にタイヤがタレ始めじりじりと離されていき、以降ハミルトンの立場は安泰なままでした。
チームがコンストラクターズタイトルを獲得したコトで笑顔を見せていたロズベルグですが、残るドライバーズタイトルについてはどんな心境なんでしょうか。これでハミルトンとの差は17ポイント、まだ逆転は十分可能な差ではありますが、今のハミルトンの勢いとロズベルグの勝負弱さを見るに、逆転可能な差には見えないんだけど……まぁ以外とメカニカルトラブルも多いメルセデスなので、また思わぬ不運がハミルトンを襲う可能性もあるんですけど。
ただ、チャンピオンを目指すなら、まずコース上でハミルトンを打ち負かしてくれないとね?
もちすぎたタイヤと悪燃費
それから、このレースを退屈なモノにした別の要因として、タイヤが「もちすぎてしまった」こと、それから燃費にはかなり厳しいサーキットだったことがあるように見えます。
タイヤに関してはロズベルグの例を見れば明らかなように、ピレリが持ち込んだミディアムとソフトという組み合わせがコンサバ過ぎました。特にミディアムが全然デグラデーション起こさないもんだから、ボタスも最後の最後にファステストラップを叩き出す有様。
ただ、タイヤがそれだけもつというコトは確実に1ストップで走り切る必要があり、ロズベルグのようにど派手なブレーキングミスをやらかしてフラットスポットを作るワケにはいかない、というコトでもあります。そうなると当然、迂闊に仕掛けにくくなる。
それから、もちすぎるタイヤとは裏腹に燃費には非常に厳しいサーキットのようで、無線でも燃料消費を抑えるように指示する内容が飛び交ってましたね。で、そうなるとますますバトルやりにくくなるワケです、燃費抑えたいから。皆でコーナー手前でリフト&コーストやってたら、そりゃオーバーテイクもないでしょう。
マグヌッセンが「のんびりした日曜のドライブみたいだったよ。燃料を節約するためにコーナーの200メートル手前からパワーを落としていたんだからね。誰も追いついてこないことに驚いたよ。後ろに居た面々も同じ問題を抱えていたんだろうね」というコメントをしており、これが今回のレースの内実を象徴しているような気がします。
It was almost like a chilled-out Sunday drive, in fact, because I was easing off the power 200 metres before the corners in an effort to save fuel. I was really surprised that no-one was able to catch me, in fact; I guess the guys behind me must have been experiencing the same problem.
via: The Official F1 Website - Headlines - Race - selected team and driver quotes : Kevin Magnussen
燃費とタイヤのもちは基本的にマシン性能に依存する格好になるワケで、その影響が大きければ大きいほど同じ性能のマシンに乗るチームメイト同士が近い順位でフィニッシュするコトになります。で、今回の決勝順位を見てみると、2台が隣り合わせの順位でフィニッシュしているチームの多いこと多いこと。
予選で速さを見せていたトロロッソのクビアトも、決勝では燃料が厳しかったみたいでロクにプッシュできないままヴェルニュと共に沈んでいってしまいました。クビアトのためにも、プーチンは強権を発動して来年までに燃費の良いレイアウトに改装させるべきだと思われます。
来年は恐らくピレリもソフト/スーパーソフトみたいな組み合わせにするんじゃないかと思いますが、そしたらもうちょっと盛り上がるかな……?
ケーターハムがクソすぎて
あと、今回びっくりしたのが可夢偉。チームの指示でピットインしたかと思えば、上層部からの指示でそのままリタイヤさせられたとのこと。川井ちゃんのレポートによると部品をセーブするためにマシンの走行距離を制限しており、そのためにマシンを止めさせたとかいう話。
いやもうそんな状態ならばそもそも撤退しちまえよ、という話なんですが、シーズン途中での撤退もできない大人の事情があるんでしょうねぇ。しかし、さらに驚いたのはチームから発表された可夢偉のコメントでは「ブレーキのオーバーヒート」がリタイヤの原因だった、とされているコト。
The team has now analysed the telemetry and it was clear that my brakes were overheating too much. It's a shame to end the weekend like this, but there's not much more I could do today.
via: The Official F1 Website - Headlines - Race - selected team and driver quotes : Kamui Kobayashi
んで、レース後に公開された『KAMUI TV』では、可夢偉自身が「ブレーキのオーバーヒートということになっとりますが……」とやや歯切れの悪いコメントをしております。
いやーこれはねぇ……もうケーターハムがボロボロでどうにもならない状態なのは明らかなワケで、そのチームのへっぽこな状況をそれでも誤魔化そうとドライバーのコメントまでねつ造しちゃいますか。さすがに胸くそ悪いです。可夢偉は今後のコトをチームと話し合うと言っていますが、まー正直こんなチームから参戦する意義があるとは思えんですね。
まーF1には胡散臭い話なんていくらでも転がってますが、可夢偉がこういう状況に貶められているのは正直不愉快。どうせ来年には消えているチームでしょうが、もう今すぐ消滅してくれても良いくらい。
いろいろ「なんだかなぁ」なロシアGPでした。お次はオースティンで開催されるアメリカGP……ロシア⇒アメリカとかつての東西の大国から大国への連戦……バーニーさんこれがやりたかったんだろうなぁ。「これこそ世界選手権だろう(ドヤァ)」みたいな。まー確かにバーニーさんだからこそできたんでしょうけどね。
いろんな人間のいろんな思惑を引きずりながら、今年のF1も残り3戦。最後に笑うのは誰だ(たぶんハミルトン)。