大須は萌えているか?

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F1[14]ロシアGP 予選

大きな事故のあった鈴鹿からわずか1週間ですが、気持ちを切り替えて。F1ロシアGP予選。

予選結果:
The Official F1 Website - 2014 FORMULA 1 RUSSIAN GRAND PRIX

予選後ドライバーコメント:
The Official F1 Website - Headlines - Qualifying - selected team and driver quotes

予選後記者会見:
The Official F1 Website - Headlines - FIA post-qualifying press conference - Russia

まさかのボタス……と思いきや

初開催のロシアGPですが、ソチのサーキットはドライバーにもなかなか評判が良いみたいですね。ぱっと見90度の直角コーナー多めの退屈なレイアウトに見えるんですが、路面がスムーズな上リズムに乗って走れる、らしい。私もゲームで走ってみるべきでしょうか。

このサーキットのDRSゾーンは2カ所あり、それなりにオーバーテイクも期待できそうですが……2個目のDRSゾーンは直線ではなくゆるーいS字となっており、オーバーテイクは簡単ではない、と川井ちゃん言ってましたね。ターン13のブレーキングはゆるく左に曲がってからの右90度コーナーになるので、ライン取りとブレーキングがシビアそう。タイヤロックさせてるドライバーも多かったですね。

しかしそんな初開催のコースでも相変わらず速いのはメルセデスGPであり、ポール争いもいつも通り2人で争われる……と思いきや、Q3最後にウィリアムズのボタスがセクター2まで全体ベストを塗り替えながらアタックしてきたのにはビビリました 。これはもしかしてポール行けるか?と思いきや、最後タイヤが終わってしまったらしく、ターン17でマシンがふらつき、最終のターン18で大きくコースアウトして万事休す。惜しかった。

とはいえ、ウィリアムズがここでもかなり高い戦闘力を持っているコトはわかったので、決勝どこまで食らいつけるか楽しみではあります。メルセデスの2台ではハミルトンに分がありそうですね。

マクラーレンとクビアトの躍進

あと予選で目を引くところと言えば、4番手に飛び込んできたバトンと、5番手のクビアトでしょうか。マクラーレンはマグヌッセンも好調を維持しており、チーム全体で好調ムード(ただしマグヌッセンはギヤボックス交換により5グリッド降格ペナルティ)。

そしてクビアトは地元というコトで気合いも入っていたんでしょうけど、それをプレッシャーにせず見事に結果に繋げてみせましたねぇ。フリー走行から速かったものの、燃料少なめにしてるんじゃないか、とか邪推してたんですが……いやはやお見事でした。

クビアトの5番手スタートはもちろん自己ベスト、決勝はまずこのポジションをキープしてフィニッシュするコトが目標になるでしょうね(決勝の自己最高位は9位)。

失速するレッドブルフェラーリ

トロロッソのクビアトが躍進する一方、レッドブルはリカルドが7番手、ベッテルに至ってはQ2ノックアウトの11番手という状態。リカルドは「新しいトラックとしてはグリップがとても高いけど、同時にグリップレベルを見極めるのが難しい」とコメント。路面のフィーリングに戸惑っている様子。

It's tough to get a lap together around here, for a new track it's really high in grip but at the same time it's hard to read the grip; it's not such a natural feeling that it gives us behind the wheel, but it's fun and a new challenge.

via: The Official F1 Website - Headlines - Qualifying - selected team and driver quotes : Daniel Ricciardo

ベッテルも路面グリップの読みが外れて苛立ちを隠せない様子。ただまー、条件としては皆一緒だし、トロロッソの後ろになっちゃった理由にはなってないとは思いますけどね?

低迷しているのはフェラーリも同様で、アロンソ8番手、ライコネン9番手と非常に低調な結果。ライコネンはだいたいいつも通りという説もありますけど。このままだとコンストラクターズ3位の座をウィリアムズから取り戻すのも難しそうですねぇ。フェラーリコンストラクターズ4位に終わるとなると、2009年以来というコトになります。

タイヤ戦略は1ストップ主流と見られていますが、気になるのはレース後半タイヤがこらえきれないチームが出てこない?という点と、ウォールに囲まれているコースなだけにセーフティカーが入る確率が結構高そうじゃない?という点。初めてのコースなだけに各チームデータも十分じゃ無いところもあるでしょうし、思わぬ展開もある?

ビアンキの容態

鈴鹿のクラッシュで重傷を負ったビアンキですが、その後彼の症状が「びまん性軸索損傷」と発表されましたね。試しにググってみると、非常に厳しい状態であることは私のような素人でも想像できます。

効果的な治療法はありません。脳挫傷や血腫を合併していれば、それに対する治療を行います。合併症を防いで全身状態を保ち、二次的な脳の障害を予防して(脳への十分な血液や酸素の供給など)、脳の回復を期待します。
予後は一般的に昏睡(こんすい)の持続時間に比例します。受傷から24時間以内に意識の回復がなくて脳幹の障害が認められる場合は死亡率が約6割とされ、生命が助かっても意識障害などの後遺症が残ります。
びまん性軸索損傷は高次脳機能障害を来しやすく、知能や記憶などの後遺症を残しやすいとされています。

via: びまん性軸索損傷の症状や原因など - goo ヘルスケア

数十日意識不明の状態が続いたあとに意識が回復した例もあるようですが、その場合でもかなり後遺症が残ってしまうようです。これだけ見るとレーサーとしての復帰は非常に困難であると言わざるを得ませんが、まずなんとか意識を取り戻して欲しいですね。後のことは、その時考えれば良いでしょう。

また、ロシアGPではFIAビアンキの事故に対する会見を開き、記者に対してのみVTRを公開し事故の詳細に関する説明を行ったとのこと。チャーリー・ホワイティング鈴鹿サーキットのマーシャルの対応に落ち度が無かったことも明確にしており、その上で

鈴鹿で起きた事故は、ルールに欠陥があったからというよりは、いくつかの不運が偶発的に重なって起きた結果で、即座にレギュレーションを変更するつもりはなく、「もちろんロシアGPはこれまでと同じ手順で安全管理を行う」とした一方で、「より安全性を高めるために今後、それらの手順を見直して、変更することもあり得る」(ホワイティング)ことを示唆した。

via: GP直送:ビアンキの事故についてFIAが会見 - F1ニュース ・AUTOSPORT web(オートスポーツweb)

……とのこと。

さらに、現状ダブルイエローが掲示されている場合でも明確にどこまで減速しなくてはならない、というコトが定められていないのを改善すべく、ダブルイエロー掲示区間ではECUが自動的にスピードリミッターを効かせる方法も検討されているようです。

ロシアGPの初日に緊急記者会見を開いたFIAは、2日目の午前中に今度は緊急チーム代表会議を招集した。テーマは新しいダブルイエローフラッグ・システムのテストに関する話し合いである。新しいシステムは、ダブルイエローフラッグが出されている区間にマシンが到達した場合、FIAのスタンダードECUによって、自動的に定められた速度に減速するというものである。

via: GP直送:新ダブルイエローシステム検証へ - F1ニュース ・AUTOSPORT web(オートスポーツweb)

このシステムは次戦アメリカGPのフリー走行で早速テストされるみたいですが、2015年には本格導入という流れになるんでしょうか。

また、F1マシンのコクピットを閉鎖式にするという議論も再燃しておりますが、こちらは結論が出るまでにやっぱり時間がかかりそう。F1マシンがオープンボディであること、タイヤが剥き出しになっていることは安全上のコトを考えたら止めた方が良いに決まってるんですが、それを止めたらもうそれはフォーミュラカーじゃ無いんじゃね?といういつも通りの議論が為されております。

レッドブルX2010を見ていると、こういうデザインならアリかもな……とは思ってしまいますが。

度々言いますが、モータースポーツにおいて常に安全性の向上のための努力は続けていくべきです、が、それでも常にリスクは存在し続けるし、それをゼロにもできません。ビアンキの事故は、そうしたモータースポーツが引き受けなくてはならないリスクが顕在化したものだったと言えます。

今回の事故で安易な悪者探しや、モータースポーツそのものへの批判が噴き上がるのはちょっとな……とは思ってしまいます。セナの事故の時には、それはもうヒステリックなくらいの状況でしたけど。おそらくそういう状況は、当のレーサー自身も望んでいないでしょう。