大須は萌えているか?

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F1[16] アブダビGP 決勝

12月を目前にして今シーズンのF1も終幕……長いシーズンでしたホント。F1アブダビGP決勝。

ロズベルグ初戴冠

ロズベルグ決めましたね。もしプレッシャーでスタート大失敗こいたら……とかハラハラしながらスタートを見ていましたが、ハミルトンと共に非常にスムーズなスタート。その後いろいろあったレース展開ながらもミスを犯すこと無くレースをまとめ上げ、結果として4戦連続となる2位フィニッシュでタイトルを決めました。

「残り全部2位でもチャンピオンになれる」状態になったアメリカGPから、ホントに全部ハミルトンが勝って全部ロズベルグが2位という展開になっちゃったワケですが、しかしこの安定感は評価されて然るべきでしょう。夏休み明けは3連勝を含む4勝、2位4回、3位1回というスコアですからね。

速さで言えばハミルトンに見劣りしたのも事実ですし、スペインでの同士討ち以降成績がフラフラと下降線を辿ったときは「コイツもうだめやろ」と思ったりもしましたし、これまでのロズベルグなら実際ダメだっったと思うんですよ。それが夏休み明けの華麗な復活劇。

もちろん、ハミルトンのPUになぜかトラブルが頻発したり、一時期ハミルトンがスタートで失敗しまくってたという部分に助けられたのはありますし、この先ロズベルグが何度もハミルトン倒してチャンピオンになるかというとそうは思えない(失礼)んですが、しかしそういった諸々のトラブルやミスも引っくるめて、1年で一番多くポイントを稼いだドライバーがチャンピオンなワケです。

親父のケケ・ロズベルグだって1982年、1勝でワールドチャンピオンになってるんですからね。9勝を挙げたニコにチャンピオンの資格が無いワケありません。初タイトルの重圧の掛かったこのレースも、見事にコントロールしてみせました。ニコ、F1初のドライバーズタイトルおめでとー!

ハミルトンの執念

そして何より今回のレースで一番物議を醸したのは、ハミルトンの「ペースコントロール」ですよねぇ。ハミルトンにしてみれば、ロズベルグがスタートでミスをせず、一度フェルスタッペンの後ろになったもののオーバーテイクして再び2位に上がってきた時点で、もはや自分のチャンピオンの可能性は「ほぼ」無くなったワケです。

で、普通ならね、ここで気持ちを切り替えて、このレースに勝つことに集中するんじゃないかと思うワケですよ。まぁしゃーないと。しかしハミルトンはチャンピオンを諦めなかったんですよねぇ。後ろのレッドブルフェラーリを追いつかせれば、「何か」起きる可能性は増す。それが何%の確率かはわからないけど、なにも考えずにプッシュするよりも、可能性は増す。

既に3度のタイトルを獲得しているハミルトン、そこまでやらなくても良いじゃん……と思うんですけど、やっぱり何度もタイトルを獲得するドライバーって違うんですよね、思考回路が……。例えわずかでも可能性があるならタイトルを狙いに行く。それが後で遺恨を残すコトになるかどうかなんて関係無く。

レース後ハミルトンは、「危険なことやアンフェアなことは何もしていない」とコメント。チームは既にコンストラクターズタイトルを獲得してるのだし、あとは自分とニコの勝負。自分がレースをリードしていて、タイトルを狙うためにペースをコントロールした。レースを失う恐れがあるとは一度も感じなかった。

Hamilton insists race was ‘clean and fair’

記者会見で「そうは言ってもセバスチャンが違うタイヤで迫っていたことは多分知ってたよね?そのタイヤアドバンテージで追いつかれる恐れはホントに無かったの?」みたいな質問をされても、「リスクを感じたことは一度も無かった」とバッサリ。

ハミルトンにしてみれば、リスクもクソも無かったんじゃないかと思うんですよね。万一追いつかれて自分までオーバーテイクされたとしても、何もせずにそのまま勝つよりマシだと。タイトルを獲得する可能性を最大限に追求するべきだと。

……とはいえ、チームからは「ペースを上げろ」と命令されている状況でも、己のタイトルへのわずかな可能性を賭けて突っ張るってね、これはスゴイ執念だなと。それが良い悪いはさておき、世界の頂点を何度も極めるというのはそういうコトなんだな、と。そしてこれは多分、セナやミハエル、そしてベッテルなんかにも共通する因子なんですよねきっと。

そしてレース後のコメントで「自分も彼の立場なら同じコトしたと思うよ、チャンピオンシップに勝つためならトライすべきだ」と言った男が……、

I think Lewis was trying to back us up, and I probably would have done the same, you have to try these things to win a championship.

via: Max Verstappen : Sunday in Abu Dhabi - team by team

マックス・フェルスタッペン、君は大物になるよ。……そして組織を束ねる立場であるトト・ウォルフは頭を抱えるワケです。

ハミルトンの駆け引きにチームのトップが苦悩。今後のために対策を講じると明言

しかしこの決勝レースでのハミルトンの態度、レース開幕前のメカニック交換に関するほのめかし……ハミルトンは、暗に「チームはロズベルグがタイトルを獲ることを望んでいた」と言いたげな感じがしますね?

そのほか

バトンのラストレースはリタイヤと残念な結果でした。縁石に乗っただけであんな足がひん曲がるとは思えないので、元々疲労が蓄積していたのでしょうか。ホンダで初優勝を遂げ、後にワールドチャンピオンを獲得した男の最後としてはちょっと寂しいレースとなってしまいましたが、本人は満足げだったのは何よりです。

もう一人引退レースを迎えていたマッサは見事9位入賞。こちらはそりゃあもう言うまでもなく満足げですよね。ドライバーズランキングではボタスに32ポイント差を付けられてしまいましたが、ラスト5レースで見るとボタス5ポイントに対してマッサ12ポイント。最後までコンスタントに入賞を重ねてみせたのはお見事でした。来年頭の鈴鹿ファン感にはゲストで来るみたいなので、それはそれで楽しそうですね。バトンも呼んでみては?

レースの最初でスピンして、終わったと思いきや1ストップ戦略で表彰台争いを演じるポジションまで復活したフェルスタッペンはお見事でした。べらぼうにプッシュするだけじゃなく、タイヤマネージメントもかなりのもんなんですよねぇ、彼……。

そして2度目のピットストップを引っ張ってスーパーソフトにスイッチし、怒濤の追撃で表彰台に上ったベッテルも久しぶりに良いレースできましたね。3位に入るのはモンツァ以来。ライコネンオーストリア以降表彰台が無いので、フェラーリの夏休み明けの表彰台はベッテルの2回だけなんですね。まぁ終わりよければ……ではありますが、今年のフェラーリはやはり期待外れだったと言わざるを得ないかと。今回は上手いコト作戦がハマりましたが、毎戦狙ってこういう戦略立てられるようにならないとねぇ……。

ヒュルケンベルグとペレスは7位・8位に入ってフォースインディアはチームベストとなるコンストラクターズ4位。3強に次ぐポジションなんですから大したもんです。コースによって得意・不得意が分かれるウィリアムズに対して、コンスタントにポイントを積み上げられたのが大きかったですね。来年はヒュルケンベルグが去りオコンが加入しますが、これが吉と出るか凶と出るか……?

そしてマクラーレンアロンソは10位、なんとか入賞。トータルのドライバーズランキングも10位。マクラーレンにとっては昨年に比べれば大きな進歩を遂げたシーズンと言えるでしょうが、アロンソにしてみれば今シーズン1度くらいは表彰台を拾いたいシーズンだったでしょうね。来年はトークン制が廃止されるのでホンダPUの伸びしろには期待したいですが、むしろマクラーレン側の体制は大丈夫?アロンソシャシー側を心配するコメントしてましたけど。

長いシーズンだったし、またメルセデスがぶっちぎったシーズンでもありましたが、ロズベルグとハミルトンというタイプの違う二人がそれぞれのスタイルで戦い、そして新たなワールドチャンピオンが生まれたという結末は悪く無かったんじゃないかと思います。

……んが、そろそろ勢力分布が引っ掻き回されてもいい頃。レギュレーションが大幅に変わる来年、どんなマシンが登場してどれだけの速さを見せるのか、来季の開幕が既に楽しみだったりもします。ホンダさん頑張りましょうマジで。