大須は萌えているか?

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ただただ驚く一方で、なんとなく理解もできるロズベルグの電撃引退

まさに青天の霹靂ってやつですね、F1の今シーズン最終戦となるアブダビGPで初タイトルを獲得したばかりのニコ・ロズベルグの引退表明。

Rosberg announces his retirement from F1 racing

上記のF1公式サイトの記事で、ロズベルグ鈴鹿で優勝したときにドライバーズタイトルの行方が自分の手に掛かっているコトを悟り、大きなプレッシャーと共にタイトルを手にしたらF1キャリアを終えるコトを考え始めた、とありますね。

“When I won the race in Suzuka, from the moment when the destiny of the title was in my own hands, the big pressure started and I began to think about ending my racing career if I became world champion,” he continued.

via: Rosberg announces his retirement from F1 racing

そしてタイトルを獲得した翌日には引退を決意し、奥さんとマネージャー、そしてメルセデスのボスであるトト・ウォルフに伝えたようです。

しかしまー、この決断にはただただ驚きです。なにせ彼、まだ31歳ですからね。歴代F1チャンピオンの中には若くして引退を決断したドライバーももちろんいます。一番若いのはマイク・ホーソーンで29歳でタイトルを獲得し、その後程なくして引退を表明。ただこれ60年くらい前の話えですけど。なおホーソーンは引退後数ヶ月で一般公道での事故により他界しております。

ロズベルグがF1デビューしたのは2006年ウィリアムズから……ってこのブログ始めたあとじゃねーか!このブログやってる年月よりロズベルグのF1キャリアのが短いのか!

しかしながら、ひたすらびっくりする一方で、ロズベルグの決断がなんとなく分かるような気もします。F1で最強のクルマを手にしてタイトルを争うというのはレーシングドライバーならまさに願っても無い状況ですが、同時にとんでもないプレッシャーに晒されるワケです。「このクルマで勝てなかったらお前もうダメだ」と言われているに近い状況ですからね。

そしてロズベルグの場合、チームメイトがルイス・ハミルトンというこれまた物凄い才能を持ったドライバーなワケです。特にこの3年間、メルセデスは「1強」といって良いレベルで突出した力を持っていたワケで、実質タイトルを争う相手はハミルトンただ一人。当然ながら、2人の対決は常に注目されるコトになります。しかしハミルトンは恐ろしく強く、世界の注目を集める中で2年連続でタイトルを奪われてしまった。

これはやはり、レーサーとしては非常に消耗する状況だと思うんですよ。世界が注目する中、ただ一人のライバルに、2年連続で負けてタイトル逃すっていうのは。ハミルトンとは同い年で長い間競い合ってきた関係ですし、ミハエル・シューマッハがチームメイトだったときは3年連続で勝った(年間獲得ポイントで上回った)という自負もあっただろうだけに、なおさら。

近年だとレッドブルが非常に強かったときにベッテルのチームメイトだったマーク・ウェバーも似たような立場だったと言えるかもしれませんが、ベッテルとウェバーは年が離れていたし、チームも若くて勢いのあるベッテルを優先する姿勢を示していたので、ウェバーはある意味心理的にどこか割り切っていたんじゃないかとも思うんですよね。

一方ロズベルグは、なんとかハミルトンを上回ろうと3年間タイトルに手を伸ばし続けた。それでも、心のどこかで「速さではハミルトンに適わない」という思いがあったんじゃないか、という気もするんですよね。メルセデスでタイトル獲得のチャンスが巡ってきたならば、おそらくそれは最初で最後のチャンス……そういう思いがあっての、「初タイトル直後に引退決断」だったように見えます。

形としてはロズベルグの「勝ち逃げ」ですが、見方を変えるとこれはハミルトンに対する「敗北宣言」にも見えてしまいます。ハミルトンは3度タイトルを獲得してもまだまだ勝ちたがってるし、それができると思っている。でも、ロズベルグはそうは思わなかった。ひょっとしたら、1982年にタイトルを獲得したものの、その後はタイトル争いに絡むことなく引退した親父、ケケ・ロズベルグのコトも少し思ったりしたでしょうか。

「もちろん最初は子どもの憧れみたいなものだった。でもやがてどんどん本格的になり、真剣に目指すようになった。(達成できて)今はとにかく幸せだ。それと同時に、言った通りすごくタフな1年だった。それをまた繰り返すことは僕にはできない」

via: 「難しい決断ではなかった」とロズベルグ | Mercedes | F1ニュース | ESPN F1

ともあれ、これでマッサ、バトン、ロズベルグと長いことF1を盛り上げてきたドライバーが一気に姿を消すことになります。メルセデスの後釜が誰になるのか気になるところですが、まーパスカル・ウェーレインが一番有力というコトになるんでしょうか。ちょうど来季のシート決まってなかったし。

WEBではアロンソベッテルメルセデスに売り込み掛けてるんじゃないか、なんて冗談とも本気とも付かない言説が飛び交ってますが、ハミルトンという「最強」ドライバーをキープしている限りは、メルセデスが敢えて他所から大物ドライバーを慌てて連れてくる必要性は薄いと思うんですよね。それにアロンソベッテルも来季はまだ契約が残っているワケで、連れて来ようと思うと契約で揉めに揉めて高い違約金払ったりするコトになるでしょうし。

ロズベルグF1電撃引退余波。後任は「自由に開かれている。急がない」とチーム代表

ともあれロズベルグ、ひとまずお疲れ様。今後どうするのかわからないけど、きっとレーサーは続けるんだよね??