大須は萌えているか?

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『ウルトラマンA』のグダグダっぷりがスゴイ

ここしばらく、Amazonプライムビデオで『ウルトラマンA(エース)』をつまみ食い視聴してます。

ウルトラマンエースをAmazonビデオ-プライム・ビデオで

なんでエースかというと、ずいぶん長いコトみた記憶が無かったので。子供向けという枠に留まらないSF描写のある『ウルトラマン』『ウルトラセブン』、濃厚な人間ドラマが光る『帰ってきたウルトラマン』なんかは大人になってから観ても純粋に面白く、代表的なエピソードはちょいちょい目にする機会もあったんですが、そういやエースって子供の頃観て以来、ほとんど見返した記憶が無いなぁ、と。

昭和のウルトラシリーズの中において、この『ウルトラマンA』から「ウルトラ兄弟」を代表とする、これまでのウルトラシリーズには無い新しい設定がいろいろ取り入れられ、より子供向けを意識した雰囲気になってるんですよね。なので初代やセブンは見返しても、エース以降はまぁ……という雰囲気はあります。なので、そこを敢えて見返してみるかと。とはいえ、全52話あるので、とりあえずいくつかのエピソードをつまみ食いしてるんですけど。

で、観てて思ったんですけどこの作品、物語の軸となるべき初期設定が、悉くといって良いレベルで、シリーズ途中で無かったコトになってるような……。

エースで取り入れられた代表的な設定を挙げてみますと、

  • 男女2人(北斗と南)でウルトラマンに変身する
  • シリーズを通しての敵のボス役が存在する(ヤプール人)
  • 登場する敵は「怪獣」ではなく、ヤプール人が作り出した「超獣」
  • 「ウルトラ5兄弟+父」という家族設定

あたりでしょうか。

まず「男女2人で変身」という設定は、物語中盤の28話で突然無くなります。エースに変身していた片割れ・南夕子が出現した超獣を倒すや否や「実はワタシ月から来た宇宙人なんです、この超獣倒すために地球に来てたもんで目的果たしちゃったから帰らなアカン、ほなサイナラ」と月に飛び去ってしまうという超展開で。それでも、シリーズ序盤からそれとなく伏線が張ってあるなたまだ分からんでもないですが、そうした気配はまったくなし。もういかにも「制作上の都合で降ろしました」と言わんばかりの状態になっております。

それからシリーズを通してのボスキャラかと思われたヤプール人は、これまた物語中盤の23話であっさり倒されてしまいます。しかもやられる際には「ヤプール死すとも超獣死なず」と板垣退助みたいなコト言い出したり、この話で登場するヤプールの手先がなぜかクレイジーキャッツの『学生節』の替え歌を歌っていたりと、地球侵略を目論む間にかなり地球の文化に脳が染まってしまったようです。

で、そもそも「超獣」はヤプール人が作り出したという設定だったので、そのヤプールが倒されちゃったらこれから先の物語はどうなるの……と思いきや、何食わぬ顔で次週以降も超獣が登場しております。ヤプール死すとも超獣死なず。いやしかし物語の設定上かなり大きな矛盾点じゃないかと思うんですが、それをこの一言で済ませるというのはなかなか豪胆ですね。

ウルトラ兄弟の設定はエースの後の『ウルトラマンタロウ』にも引き継がれており、そこは唯一成功した設定かとは思うんです、が。しかしなんか、エースに登場するウルトラ兄弟ってなんか全体的に間抜けなんですよね。13話「死刑!ウルトラ5兄弟」では何も考えんとヤプール人の仕掛けた罠に全員でホイホイ引っかかって全滅しそうになるし。有名なヒッポリト星人が登場する26話「全滅!ウルトラ5兄弟」でも何も考えんとヒッポリト星人の仕掛けた罠に全員でホイホイ引っかかって全滅するし。結局ウルトラの父が助けてくれるも、代わりに父死ぬし(その後のエピソードで何食わぬ顔して復活してるけど)。

子供の頃はヒッポリト星人の話とか、タロウのテンペラー星人の話とか、ウルトラ兄弟が勢揃いする話は観ててテンション上がったもんですが……今観ると兄弟の間抜けさ加減ばかりが目についてしまい「お前らアホか」と言いたくなるっていう……。

企画段階で盛り込まれた新機軸がここまでグダグダになって、よく1年間シリーズ続いたな、という点はある意味感心してしまうんですけども。視聴率も『帰ってきたウルトラマン』より低調だったと聞きますが、それでも打ち切るほど低迷していたワケでは無かったんでしょうね。なんやかんやで「ウルトラマン」ブランドが定着していた証でしょうか。まぁ、兄弟の設定とか、エースの多彩な光線技は子供心には楽しかったよーな気がします。

あ、あと数年前に無くなった名脇役(あとガイアの夜明けのナレーション)・蟹江敬三がヒッピー青年役で出演している16話「夏の怪奇シリーズ 怪談・牛神男」は良かったです。年取ってからの蟹江敬三しか知らなかったので、すごいインパクトありました。