大須は萌えているか?

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F1[17] スペインGP 決勝

メルセデス、見事な戦略勝ち。F1スペインGP決勝。

VSCを最大限に活用したメルセデス

スタートはハミルトンがイマイチ、ベッテルが上手いこと飛び出してトップを奪取。早々にハミルトンに対し2秒ちょいの差を付け、こりゃベッテルがレースを主導する形かな……と思いきや、ハミルトンもその後はその差をキープしたままつかず離れずの展開。

ハミルトンを意識してそれなりにタイヤを使ってしまったのか、ベッテルはハミルトンよりかなり早いタイミングで最初のピットイン。ハミルトンはベッテルより7周くらい引っ張って、ソフト⇒ミディアムへスイッチ。タイヤのグリップに優れるベッテルがハミルトンをじりじり引き離し、8秒前後のギャップを築いて……ここまではまだどっちが勝つか分かんないなー、なんて思ってたんですが。

34周目にバンドーンがマッサの土手っ腹に右フロントをぶち当ててリタイヤするという失策を演じ、バーチャルセーフティカー(VSC)導入。残り22周、上位陣はまだ動かない……と思いきや、37周目にVSC解除寸前のタイミングを見計らってハミルトンがピットイン。38周目にベッテルも続いてピットに入るも、すでにVSCは解除されており、その分タイムをロスするコトに。

結果、8秒くらい築いていたマージンが一気に無くなってしまい、ソフトに履き替えたハミルトンに対しミディアムを履いたベッテルは対抗しきれず。

これ、VSCが導入されたときに、フェラーリ側がカバーできないようにVSC解除のギリギリのタイミングを見計らってのピットインに急遽作戦を切り替えた……つまり完全に狙ってやったというのがスゴイ。

And then the VSC (Virtual Safety Car) came and that forced us to rethink our strategy. Our strategy group opted now to do the opposite of what was planned: to pit at the very end of the VSC to make it impossible for Sebastian to react. Our timing was perfect! I take my hat off to James (Vowles, strategy chief) and his guys for that coup.

via: Toto Wolff Q&A: Quick strategy re-think won us the race

いやー、これぞプロのストラテジストの仕事。恐れ入りました。ベッテルも、ピットから出たらハミルトンがいきなり真後ろから仕掛けてきてビックリしたみたいですね。第1スティントでベッテルとの差をキープし続けたハミルトン、そして出遅れた分ベッテルに対する「壁」になってハミルトンをアシストしたボタス、そして咄嗟の作戦変更を立案したメルセデスのストラテジー・グループ、まさにチーム一丸となってつかみ取った勝利でした。

メルセデスが勝つにしても、こうしてチームとドライバーが知恵と体力を振り絞って勝つという展開はシビれますね。やはりトップを異なるチームで競い合うというのは良いもんです。

インドが止まらない

今回、スタート直後の多重衝突でライコネンとフェルスタッペンが早々にリタイヤ、そしてその衝突の原因を作ってしまったボタスも最終的にPUが壊れてリタイヤとなり、トップ3チームが1台ずつ姿を消すという結構珍しい展開に。そしてそんな中、フォースインディアは連続ダブル入賞記録を継続してしまうというね。しかも4位・5位。

2人のドライバーがここまできっちりポイントを取れるというのは、ホントにマシンがオールマイティな性能を持ってるんでしょうね。コンストラクターズではレッドブルと19ポイント差、下手したら追いつけるんじゃね?くらいの雰囲気すらあります。レッドブルは信頼性にやや不安あるし。少なくとも、コンストラクターズ4位の座はほぼ不動のものになりそうですねぇ。

ちなみにペレスはこれで15戦連続でポイント獲得しているとのコトで、これフェラーリメルセデスみたいなトップチームならまだ分かるんですけど、フォースインディアで達成しているってのがスゴイですねぇ。こんなに安定感のあるドライビングするようになるなんて。

一方、開幕時にはレッドブルと争えるんじゃね、くらいの雰囲気だったウイリアムズは、18ポイントでコンストラクターズ6位。ドライバーが1人しか居ないのと同じような状況だしね……。

予選では悪く無い雰囲気だったレッドブルも、決勝では好調だったフェルスタッペンが早々にリタイヤになってしまい、リカルドは運にも助けられて表彰台に上ったものの、フェラーリメルセデスに対するタイム差は圧倒的。やはりまだトップ2チームに肉薄するには足りないようで。

そのほか

唯一1ストップ作戦を敢行し、今季初ポイントをもぎ取ったウェーレインはお見事でした。ソフトタイヤで30周以上引っ張り、トラックポジションをキープしたままVSCのタイミングでタイヤをミディアムに交換して最後まで走り切るという、これも見事な作戦勝ちでした。ウェーレイン、タイヤマネージメントも上手いのねぇ。

予選7番手で期待の高まっていたアロンソは……まぁスタートがね……。バンドーンはもうお前何やってんだレベル。モナコでグリッドダウンペナルティが科せられるようですが、そりゃそうだろなぁ。マクラーレン・ホンダに春は来ない。

Vandoorne handed three-place grid drop for Monaco

あと、今回SNSで注目を集めていたのが、ライコネンがリタイヤした直後に泣きじゃくっていたフェラーリファンの子供。国際中継でその泣いている姿が映し出されたあと、何度かカメラに映し出されたかと思ったらいつの間にかフェラーリパドックに招かれており、ライコネンと対面できてしまったという。

F1 Topic:泣く子を笑顔にしたライコネンの魔力、フェラーリが少年をパドックに招いた舞台裏

きっかけは国際映像を見たフェラーリスタッフの提案だったようですが、ずいぶん粋なコトをするもんです。これを見た小さな子供を持つF1好きのお父さん(お母さん)が、サーキット行く前に子供に変なコト仕込まなければいいですが。

にしても、ちょうどこのスペインGPから2シーターF1マシンによる同乗体験を始めとする、よりファンに喜ばれる施策を本格的にいろいろ打ち出しているワケで、そんなタイミングでのこのストーリーはF1を運営するリバティ・メディア側にとっても格好のネタだったでしょうね。実際、Twitterでもこの子供の話がみるみるシェアされてましたし。

ポスト・バーニー時代の幕開けでしょうか。