決まるだろうとは思ってましたけど、そこに至る経緯は予想外でした。F1メキシコGP決勝。
- 決勝結果: FORMULA 1 GRAN PREMIO DE MÉXICO 2017 - RACE RESULT
- 決勝ダイジェスト: Race - Hamilton champion as Verstappen wins in Mexico(動画有)
- 決勝後各チームコメント: What the teams said - race day in Mexico
- 決勝後記者会見: FIA post-race press conference - Mexico
4度目のタイトル
ハミルトンの4回目のワールドチャンピオン決定。今年はハミルトンが圧倒的に強いだろうとシーズン前から予想はできましたけど、前半はフェラーリ&ベッテルが予想以上の競争力を発揮。これはかなりもつれるか?とも思ったものの、夏休み明け以降はベルギーからアメリカまでの6戦で5勝、あとは2位1回と他を圧倒。これはメルセデスの開発力の勝利でもあるとは思いますが、その6戦でボタスは2回しか表彰台に乗れていないコトを考えるとハミルトンの後半戦の強さというのは際立ってますね。
圧倒的有利な立場でメキシコに臨んだハミルトン、慎重に行くかなーと思いきやスタートでは結構積極的に前を狙って行きましたね。で、ベッテルと接触してタイヤがパンク、最後尾へ。ベッテルの接触が故意ではないかと川井ちゃんが勘ぐってたりもしましたが、確かになんかハミルトンの方へ不自然に寄ってってる感じするんですよねー。
All the angles Verstappen Vettel and Hamilton clash at the start(動画)
ハミルトンに寄っていくタイミングで、まだベッテルの右側にはスペースありましたからね。まぁ故意だと断定するワケではありませんが、ただやはりタイトル決定戦ってこういうコト起きるんだよなーと思ったりはしました。ベッテルにしてみれば、ここでハミルトンに前に行かれたら終わりですから。どんなに頑張っても。
ただまー、ベッテルもフロントウイングを破損して順位を失い、圧倒的有利なポジションに変わりはなかったせいかハミルトン冷静でしたね。最後尾に落ちてフェルスタッペンに周回遅れにされながらも、一つずつ順位を上げていき最終的にはポイントフィニッシュとなる9位。今シーズン、全戦ポイントフィニッシュの記録は途切れませんでした。この全レースでコンスタントにポイントを積み上げてきたってのも今年のハミルトン、そしてメルセデスの強さですよねぇ。
つまらないメカニカルトラブルでチャンピオンシップの興をそいでしまったフェラーリや、今回のレースでPUがどっかんどっかん壊れていたルノー、そして交換したPUのパーツは数え切れないレベルのホンダに対して、このメルセデスの壊れ無さっぷりときたら。
そういう意味では、ハミルトンはホント最高のタイミングでメルセデスに乗ってますよねぇ。アロンソは「ハミルトンにとって2017年タイトル獲得は簡単すぎた」ってぼやいているみたいですけど、彼は逆にチームを移籍するタイミングが悪すぎだよねー……。
ただ、キャリアの中でベストなタイミングでベストなマシンを手に入れる、というのもドライバーの実力のうちですからね。黄金時代のホンダと共にマクラーレンに乗ったアイルトン・セナも然り。今のハミルトンは、もう完全にセナ、プロスト、シューマッハといったドライバーと肩を並べる存在になりましたねぇ。
めちゃ速かったフェルスタッペン
で、レースに優勝したのはフェルスタッペン。スタートでトップに躍り出てからとにかく速かった。ルノーPUの信頼性を不安視したチームからペースを調整しろって指示されても速かった。ハミルトンがチャンピオンに輝く一方で、このフェルスタッペンもいよいよ「本物」になってきたな、という感じがしますね。ベッテルやハミルトンが後ろに転落せずに残っていたらどうなったかわかりませんが、少なくとも彼らに匹敵する速さを発揮しているワケでして。
にしても、何かと信頼性の問題に悩まされ続けてきたフェルスタッペンが、ルノーPU勢がどんどんリタイヤしていくレースで最後まで順調に、圧倒的な強さで勝つっていうのも面白いですね。代わりにリカルドが散々な目に遭ってますけど。こうやって世の中バランスが取られていくんでしょうか。今回のレースの圧倒的速さを目にすると、フェルスタッペンがドライバーズランキング6位ってちょっと信じられないですね。
てか、ルノーは今回の相次ぐPUトラブルに対しては率直に非を認めているようで。
ルノーF1、メキシコGPでのPU不調の原因は「パフォーマンスと信頼性のバランス」にあったと認める
ルノーにとっても、フェルスタッペンの優勝に救われた部分はあったでしょうね。これでもしフェルスタッペンのマシンにもPUトラブルが襲いかかっていたら、クリスチャン・ホーナーブチ切れでしょう。「来年からレッドブルもホンダにスイッチする」とか言いかねないレベル。
そのほか
表彰台にはフェルスタッペンの他にボタスとライコネンが登ったワケですが、この2人にしてみれば消化不良なシーズンになってしまっている感がありますね。ボタスはここ最近表彰台にも登れてなかったし。
ライコネンは記者会見でハミルトンの4度目のワールドチャンピオンという偉業に対してコメントを求められ、「彼(ハミルトン)のところへ行って話すべきだと思うよ」と相変わらず身も蓋もないコメント。それでもなおコメントを求められ、「彼にとって素晴らしいことだ、たくさんの勝利、たくさんのチャンピオンシップ……だけど自分が何を言える?」と言ったところ、フェルスタッペンに「基本的に(他人のタイトルに)興味無いんでしょ?」と突っ込まれる有様。
ライコネンにはまだまだ頑張って欲しいんですが、なんかもうすっかりタイトルからは縁遠い雰囲気になっちゃったなぁ……。
フォースインディアはまたも安定のダブル入賞、コンストラクターズ4位を確定させたそうな。トップ3チームの規模を考えると、このチームのポイントゲッターぶりは驚異的ですねえ。中でもオコンはずーっと完走を続けており、今シーズンポイントを逃したのは唯一12位フィニッシュで終わったモナコだけ。ボタスの後にメルセデスワークス入りも囁かれ初めているようですが、ただ今現在ペレスよりもポイントランキング的には下なんですよね。
チャンピオン狙うドライバーというよりは、着実にポイントフィニッシュを重ねてチームに貢献するタイプのようにも見えますが、さて。