大須は萌えているか?

gooブログからこっちに移動しました

F1[18] オーストラリアGP 決勝

今年は順当にハミルトン勝利かなー、と思っていた時期が私にもありました。F1オーストラリアGP決勝。

なんとびっくりベッテル

予選で驚異的なアタックを披露したハミルトン、決勝のスタートでもフェラーリよりもやや鈍い感じのするスタートだったものの、1コーナーを獲ってトップを堅持。以降、2番手のライコネンとの間隔を一定にコントロールしながらレースの主導権を握り、これはこのまま勝つ流れだなーと思ってました。

ところが、ハースが引き起こしたピット作業のトラブルによりマグヌッセンとグロージャンが相次いでコース上でストップ、これによりバーチャルセーフティカー(VSC)が入る形に。先にピットを済ませていたハミルトンに対してここまでノンストップで引っ張ってきていたベッテルはここでピットイン、するとなぜかまんまとハミルトンの前で復帰できてしまったという。

……VSCが出ると各マシンはFIAの定めたラインを下回るタイムで走らなくてはなりませんが、タイヤ交換目的のピットインは許可されており、かつピットレーンの制限速度は通常と変わらない状態。つまり、ピットインによるタイムロスが通常時より少なくて済むコトになります。

ただそれにしても、VSCが入る直前くらいのタイミングではハミルトンはベッテルの後方12秒弱くらいの位置に付けており、ここからピットインして少し余裕のある状態で前に出られるというのはなかなかビックリな話。で、試しにタイミングアプリでリプレイしてみると、ベッテルがピット入る直前にはハミルトンとの差が18秒近くまで広がってるんですよね。うーむ。

VSCが出ている間のクルマのスピードはGPSで監視されているハズなので、違反があればすぐペナルティ取られているハズ。となると、ベッテルはVSCが出た直後くらいのタイミングで合法的に6秒くらいのタイムを稼ぎ出したってコトでしょうか。あるいはタイミングアプリの表示がなんか変なだけでしょうか。

「われわれのコンピュータは彼がわれわれの前に出るためには15秒必要だと告げていた。そこで、常に3、4秒のマージンを持ってそれを保っていたんだ。すると突然、カメラがピットの出口を写し、セバスチャンがわれわれの前で出てきた。まだ説明がつかない状況だよ」

「単に不運なことに、セバスチャンが2本のセーフティカーラインの後ろで加速して、うまいタイミングでピットに入ったのかもしれない。私には分からないよ。今はまだ仮設に過ぎない。それならば、高速ゾーンで大きく減速しなければならなかったルイスと比べて、彼はVSCで失うタイムがずっと少なくて済んだことになる。われわれが5年ほど使い続けているソフトウエアかシステムが間違った数字を伝えていたんだ」

via: ソフトウェアの不備を認めるメルセデス | Mercedes | F1ニュース | ESPN F1

メルセデスの使っているソフトが間抜けだったのか、それともベッテルが何か裏技的な仕掛けを狙って(あるいは偶然にも)それをやりおおせたのか。なんとも妙な出来事でした。

しかし、一度前に出たベッテルがそのままハミルトンを封じ込めて見せたのはお見事でした。ハミルトンもパワーの出るエンジンモードを使うなどして何度か肉薄してみせましたが、抜きにくいコース特性も手伝ってか及びませんでしたね。DRSゾーン3本に増やしてもあまり意味無かったっぽい。

ハミルトンの予選の走りで、「また今年もメルセデス・イヤーか……」という空気が流れていた中でフェラーリが勝った、というのは、F1に取っては悪く無いコトだとは思いますが。ただ、昨年のようなフェラーリの強さを感じる勝利では無かったのも事実。VSCが無ければ、この勝利も無かったでしょうし。でもまー、「メルセデスとて盤石ではないよね」というコトが分かっただけでも良いんじゃないでしょうか。ボタスも結局セカンドグループでスタックしちゃって8位止まりでしたし。

セカンドグループはルノーPU同士の争い

セカンドグループを牽引する存在と思われていたハースが間抜けなトラブルにより2台とも姿を消してしまった結果、4・5・6・7・(ボタス挟んで)・9・10位をルノーPUが占めるという結果になりました。フェルスタッペンがスピンするなどしてレッドブルがやや期待外れの結果だったというのもありますが、5位にアロンソ・7位にヒュルケンベルグが入るというのはなかなか面白い結果となりましたね。

マクラーレンルノーは共にダブル入賞も達成しており、ひとまず信頼性も問題無いようで。マクラーレンはもっとぶっ壊れると思ってたのになあチッ。

ただ、辛うじて10位フィニッシュに持ち込んだサインツは、1周目からドリンクボトルのポンプが壊れてドリンクが出っぱなしになってしまったようで、そのおかげで飲み過ぎて気持ち悪くなってしまったみたいですね。これは辛いわ……。

“I had a drinks bottle pumping water since lap one and unconsciously I was drinking and drinking and drinking. Suddenly I just felt full of water in my stomach and I wasn’t feeling good,” he said.

via: Sainz - Australia point was hard to stomach

一方で5位入賞を果たしたスペイン人はご機嫌な様子で、「マクラーレンはもっと良くなる、次のターゲットはレッドブルになるだろうね」とぶち上げているようで。

I think there’s a lot more to come from McLaren, this is the first race of this combination – McLaren-Renault – some of the updates will come in the coming races, so hopefully we can look up a little more. Red Bull will be the next targets.

via: Proud Alonso targets Red Bull after fifth-place finish

「これが今年最も低いパフォーマンスレベルだと思うよ。これからレースする度にどんどん良くなる」ともコメントしており、手放しでマクラーレンを絶賛中。まあ、これフェルナンド・アロンソだから言えるコメントでもありますわな。もしマクラーレンがその通りのパフォーマンスを発揮できなかった場合、悪いのはアロンソではなくてその通りの開発が出来なかったマクラーレンだ、ってコトになるでしょうし。しかも多分、アロンソそれ分かっててコメントしてるし。

大人の世界って怖いわー。

そのほか

ハースの間抜けなトラブルは、ホイールガンの機械的なトラブルとかって話ではなく、ピットクルーの練習不足だと思うってギュンター・シュタイナーがコメントしてますね。しかしそれで2台立て続けにポカやらかすか?しかも違うタイヤで……。

“We didn’t do a lot of pit stop practice, we did the minimum. That could be one of the reasons.

“What we need to do and this is what we have discussed is that when we get to Bahrain to start as quickly as possible to practice there.

via: Cross-threaded wheel nuts caused Haas double DNF

「Cross-threaded wheel nuts」って言ってるから、ナットがナナメに歪んだ状態で装着されてしまってたってコトですかね。しかし、F1でこんなミスが連続で起きるってのは極めて珍しい。「練習不足が一因」って言われても俄に信じられないところもありますが、『Even if it’s not believable, it’s real. It happened.』って言うんだから信じるしかないんでしょう。

トロロッソハートレーが最後尾で完走、ガスリーはスタートで順位を上げたもののホンダPUのトラブルでリタイヤ。テストではトラブルフリーで来ていたホンダPU、本番で壊れちゃったかー……。やはり現実はなかなか甘くない。ハートレーはスタート早々にフラットスポットを作ってしまってタイヤ交換、しかしその後パンクにも見舞われてしまったようで、まともに勝負できる状態に非ず。

ハートレーのはまあ仕方無いにしても、ホンダPUの信頼性に早々にケチが付いてしまったのは残念ですね。今年は信頼性の面では勝負になるかと思っていたところだったので。これもハース同様に不運が重なった結果の出来事なのか、それともやっぱり今年も慢性的にマズい状態なのか、気になるところではあります。若いドライバーにきっちり経験値積ませるためにも、PUは壊れずしっかり走れないとね。