伝統の……というか、とにかく特異な1戦。F1モナコGP予選。
- 予選結果: FORMULA 1 GRAND PRIX DE MONACO 2018 - QUALIFYING
- 予選ダイジェスト: QUALIFYING: Ricciardo crushes opposition to take Monaco pole(動画有)
- 予選後各チームコメント: What the teams said - qualifying in Monaco
- 予選後記者会見: FIA post-qualifying press conference - Monaco
圧巻のリカルドとやっちまったフェルスタッペン
FP1ではリカルド1番時計でフェルスタッペン2番手、FP2も同じ、FP3も同じ、そして予選でリカルドがポールポジション。元々モナコではレッドブルが有利という下馬評ではありましたが、まさに予選までの流れはリカルドが完全制圧するという有様。これで2016年のモナコに続き、自身2度目のポールポジションですね。
その2016年のモナコといえば、リカルドが勝てるチャンスは十分過ぎるほどあったハズなのに、チームの指示を受けてタイヤ交換のためピットインしたら何故かタイヤが用意されてなかった、というギャグのようなミスのため勝利を逃すという、リカルド本人に取っては極めて腹立たしい展開のレースだったワケですが。今回はまさに2年前のリベンジマッチですね。
流れ的にはレッドブルがフロントロウを独占してしかるべきだったんですが、一方のフェルスタッペンはFP3においてプールサイドシケインでイン側のガードレールに激突、右フロントを壊したまま直進してリヤまで激突させてしまい、予選までにマシン修復ならず(ギヤボックスにもダメージがいってたらしい)。フェルスタッペンはモナコで何かやらかさないと死んでしまう病気にでも罹っているんだろうか……。
予選後レッドブルの広報に改めて話を聞くと「最初はギヤボックスを交換せずに予選に出ようとしていたんだけど、予選まで30分を切ったところで、ギヤボックスに小さなクラックが入っていることが判明したから予選参加をあきらめたんだ」ということだった。
これにはさすがにクリスチャン・ホーナーもお怒り気味のようで、「彼はこれに学んで、こうした過ちを犯さないようにする必要がある」とコメント。「彼は誰よりもそのことを知っているし、彼にとってそういう状態で見る予選はとても苦しいものだっただろう」みたいなコトも言ってますけど。
“He needs to learn from it and stop making these errors. He knows that more than anybody and I would imagine that was a pretty painful qualifying for him watching what could have been.”
モナコはレッドブルにとって、実力で大量得点を狙える数少ないコースですからねえ。そのレースにあたって、予選に臨む前から1-2フィニッシュの可能性を潰すようなミスをやらかされてしまうと頭の痛いところでしょう。
気になるハイパーソフト
フェルスタッペンの代わりに予選2番手に入ったのはベッテル。リカルドからは約0.23秒差を付けられており、1周70秒で周回してしまう(!)このコースから考えると、結構な差ですね。3番手に入ったハミルトンもベッテルからさらに約0.2秒近い差を付けられており、やはりメルセデスにとっては少々苦しそうな感じ。
メルセデスのマシンは伝統的に低速コーナー入り口でフロントが入っていかない、という指摘もあり、確かに写真で見比べるとすごくわかりやすい。
F1 Topic:モナコの低速コーナーに課題を抱えるメルセデスの苦悩
この指摘をしているのはフォースインディアのエンジニアで、自分達のクルマにも似たような傾向があるとコメントしているんですが、その割に予選でオコンが今季ベストの6番手に食い込んでるのが面白いところです。
Ocon ‘perfectly placed’ after season-best qualifying
フォースインディアのモナコGP予選の成績としては、2016年にヒュルケンベルグが予選5番手を記録していますが、今回のオコンのポジションはそれに次ぐ順位になるかな?
加えてメルセデスで気になるところと言えばタイヤ。Q2では唯一ウルトラソフトでタイムを出そうと試みましたが、結局まともなタイムが出ないままハイパーソフトに切り替え。あと問題は、このハイパーソフトがどれくらいもつのか、という点ですね。グリップレベルはウルトラに比べても極めて高い反面、デグラデーションも同じくらい早いタイヤなようなので。
1ストップで行く場合、スタートタイヤのハイパーをどれくらいもたせられるのか。モナコの場合セーフティカー出動のリスクが高いため、可能なら極力ピットストップのタイミングを引っ張ってセーフティカーと同時にピットに入りたいところですが、序盤なかなかセーフティカーが出ず、タイヤのデグラがどんどん進行してしまった場合どうするか……逆に、もし早々にタイヤを交換してしまった場合、最後までもたせるコトができるのか……この辺の駆け引きが決勝の一番の見所になるんでしょうね。
そのほか
ベッテルやハミルトンもその実力を認める発言をしているコトで、急激にその株価を上げつつあるルクレール。モナコ出身というコトもあって注目を集めていますが、予選は前回と同じ14番手。モナコで入賞を狙うには運が必要そうではありますが、それでもエリクソンよりは前だし。今年は明るい話題に乏しいんじゃないかと思っていたザウバーですが、ルクレールの台頭は嬉しい誤算でしょうねえ。
トロロッソはハートレイがFP1~3までガスリーに先行する形で気を吐いており、予選でも2台でQ3とかイケるのでは……と思ったりしましたが、結果としてはハートレイQ1ノックアウト、ガスリーQ3進出っていう。ハートレイはトラフィックに引っかかったりして上手くタイムが出せなかったみたいですが、どうもF1でのハートレイは予選で「持ってない」よなあ……。
今回、モナコで最もパフォーマンスを落としているチームというとメルセデスでもフォースインディアでもなく、ハースでしょうね。予選はマグヌッセンが19番手、グロージャンが15番手という有様。前回スペインでの予選パフォーマンスはどこへ……。アゼルバイジャンでも散々な感じでしたが、市街地コースになるとどうにもならなくなるマシンなんでしょうか。