セーフティカーが思わぬガチンコバトルを演出。F1イギリスGP決勝。
- 決勝結果: FORMULA 1 2018 ROLEX BRITISH GRAND PRIX - RACE RESULT
- 決勝ダイジェスト: RACE: Vettel wins Silverstone thriller as Hamilton recovers to second(動画有)
- 決勝後各チームコメント: What the teams said - race day in Great Britain
- 決勝後記者会見: FIA post-race press conference - Great Britain
フェラーリ vs メルセデスの4台バトル
今回のレースのハイライトは、なんといってもレース後半、セーフティカーがきっかけでぴったり接近してしまったメルセデスとフェラーリの4台による接近戦でしょう。ありそうでなかなか無い絵面ですよねコレ。しかも、セーフティカーのタイミングでソフトタイヤに履き替えたフェラーリに対し、トラックポジション重視でステイアウトを選択したメルセデスという異なる作戦が、よりバトルを興味深いものにしてくれました。
ボタスは上手くいけば優勝を拾える立場だったんですが、最後タイヤが持ちませんでしたね。一方、ハミルトンはスタートタイヤのソフトをハイペースのまま25周目まで引っ張ってみせ、ミディアムに履き替えたあとも最後までタイヤをマネージメントしきった感じ。ペースは落とさないままで。スタートに失敗した挙げ句ライコネンと接触して最後尾まで落ちたときはどうなるかと思いましたが、とてつもない追い上げを披露してくれたもんです。優勝したベッテルを抑えてのドライバーズオブザデイも納得。
ライコネンの接触については、ハミルトンやトト・ウォルフらがレース後にフェラーリを皮肉るような発言もしていました(⇒ メルセデス、フェラーリは「意図的なのか、無能なのか」 | Mercedes | F1ニュース | ESPN F1)が、その後ちょっと冷静になったハミルトン、ライコネンの謝罪を受け入れたようです。
『Instagram(インスタグラム)』にハミルトンは「キミがごめんと言ってくれたし、僕はそれを受け入れたから前に進む。あれはレーシングインシデントだったし、それ以上のものではない。時々、僕らはマヌケなことを言ってしまうけど、そこから学ぶんだ」と投稿している。
レース終了直後にブランドルのインタビューをすっぽかしたのは疲れ切っていたため、と説明しているようですが、これは額面通り受け取って良いのかちょっと微妙なところ。感情の整理ができていなかった、というのが正直なところなんじゃないかと思うんですが、どうなんでしょ。まあ確かに、あれだけタイヤをマネージメントしつつもプッシュするなんていう精密なドライビングをレース中し続けていたワケですから、疲れていたのも間違い無さそうですけどね。
フランスではベッテルがボタスに突っ込み、今度はライコネンがハミルトンに突っ込んだ(しかも、どちらも突っ込まれた方が損をする形になっている)というコトでメルセデス陣営もかなりイラッとしたみたいですが、どちらも故意にやったものでないのは確かでしょう。その苛立ちはわかりますが、また気持ちを切り替えて仕切り直しといきたいところです。
肝が冷えるクラッシュ
フリー走行でハートレイがサスペンション破損による大クラッシュを演じたばかりですが、決勝でセーフティカーの引き金となったのがエリクソンの大クラッシュ。DRSによって開いたリヤウィングを閉じないままターン1にアプローチした結果、ハイスピードで飛び出してしまったという。
ほいでもってコレ、DRSの故障というワケではなくて、路面のバンプで揺られた影響でエリクソンがステアリング裏のボタンを押しそびれた、というのが真相のようで。
I wasn’t sure after the incident if it was a failure or not but we’ve looked at the data and it seems like… I have the button behind my steering wheel and it’s quite bumpy on entry and you go on the kerb, and I think I slipped and didn’t hit it.
via: Changes to Sauber steering wheel possible after crash - Ericsson
アクセル踏みっぱなしで曲がるコーナーとは言え、コーナー部分がまるっとDRSゾーンになっているというリスクが顕在化した形になりました。てか、フリー走行でもグロージャンがクラッシュしているんでしたか。
F1イギリスGP|ハミルトン、シルバーストンの新DRSゾーンは「無意味だし、危険なだけ」と主張|motorsport.com日本版
エリクソンは、DRSのボタンをもっと大きくする必要があるとも言ってますが、それはそれとして、こうしたコーナー区間を含むDRSゾーン設定は考え直さないとダメでしょうね。危ないわコレ。
なお、ルクレールもピットの作業ミスによりリタイヤを強いられておりますが、ルクレールにとってはこれがF1で初のリタイヤ。ザウバーのダブルリタイヤも今季初(昨年のモナコ以来)。
そのほか
ガスリーが久しぶりのポイントゲットかと思いきや、ペレスとの接触でペナルティが取られて幻となってしまいました。
RACE: Gasly barges past Perez(動画)
最初に並びかけたところで、ペレスを押しやる格好になってるのがマズかったですね……。ストレートで詰め切れないトロロッソにしてみれば、多少強引にでもブレーキを遅らせて鼻先をねじ込んでいくしかない、という苦しさの表れでもあります。レッドブルにホンダPUの供給が決まったものの、ここ最近のトロロッソの噛み合わなさを見ていると一抹の不安が……。
そのレッドブルも、フェルスタッペンはブレーキトラブルでリタイヤ、リカルドも2回目のタイヤ交換を行った直後にセーフティカーイン、というなんともツキに恵まれないレース展開だったようで。
ちょっと波乱が混じる展開になると強さを見せるアロンソ、今回もしぶとく8位入賞。「ケビンに押し出されたのにペナルティが出されないもんだから、最後自力で抜いたった」というコメントもさすがアロンソと言うべきか。
Kevin [Magnussen] pushed us off the track at Turn Seven, and without that I think we could have probably been fighting with Esteban [Ocon] and Nico [Hulkenberg] for P6. However, no penalty was given so we had to fight back, and overtook Kevin on the last lap.
via: Fernando Alonso : What the teams said - race day in Great Britain
それにしても、ハミルトン効果が大きいのか、シルバーストーンのお客さんの入りっぷりは凄まじいですねえ。モンツァよりも熱気があるかもしれん。ちょっと鈴鹿に分けてほしい……。やっぱり、必要なのは自国のヒーロー、なんですかねえ。世界の頂点を極めたレーサー達が間近で見られるだけでもスゴイコトではあるんだけども……。