大須は萌えているか?

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走行車線から追い越しすんなバカチンが、という話

新年早々、東北道フェラーリ中央分離帯に激突するという事故を撮影したドラレコ映像がニュースで報じられておりましたが。

フェラーリ事故の瞬間 東北道でまさかの車載映像!(テレビ朝日系(ANN)) - Yahoo!ニュース

事故の内容を巡っては、Yahoo!のコメントだとかはてなブックマークだとかで黒いのが下手だとか赤いヤツの運転が危険だとか言われておりますが、この事故について一番シンプルに言えるのは、 「左側車線(走行車線)から追い越しすんな馬鹿」 ということではないかと思います。

この事故、黒いヤツが左側車線から他車を追い越してこなければ、あるいは赤いヤツが一番左の車線にレーンチェンジして追い越し車線のクルマを追い越そうとしなければ、起きていなかったハズですからね。仮にスピードを出していたとしても、追い越すのは右側の追い越し車線から行い、前方にクルマが居る場合は走行車線に戻るまで待つっていうコトが出来ていれば、まだ問題は無かった。

走行車線から追い越すなって言いたくなるのは、法令に違反している(道路交通法 第28条)だけでなく、他車との接触事故を起こす危険性の高い運転だからです(危険だから法令で禁じられているワケですが)。簡単に言えば、「遅いクルマと速いクルマが同じ車線を走るのは危ない」という話。……こうして書くと当たり前過ぎてアホみたいですが。

追い越しを仕掛けるクルマは当然ながら追い越そうとしているクルマよりも速度を上げているワケで、その速度を上げている状態のクルマが車線変更をした前方に、さらに別の遅いクルマが居たりしたらそりゃ危ないワケです。だからこそ走行車線と追い越し車線というモノが決まっている。

また追い越しが完了したら走行車線に戻りなさいよ、というルールになっているのは、追い越し加速をしているクルマの前方を極力クリアにしておく、というコトに他ならないでしょう。登坂車線なんてのがあるのも、上り坂で速度が落ちる大型車両が、速度を維持出来る車両と同じ車線を走るのが危険だからでしょう(名阪国道なんかで積載量の多いトラックが上り坂で速度が落ち、追突される事故ありますね)。

こういう事故が起きると「そんなに走りたきゃサーキット行け」みたいなコメントも付くワケですが、サーキットはサーキットで、速いクルマが近づいて来たら遅いクルマに対して青旗(ブルーフラッグ)が振られ、振られたクルマは速いクルマにスペースを譲らなければならない、というルールがあるワケです。サーキットにおいてもこういうルールを決めておかないと、速度差のあるクルマが一気に接近するのは危険である、と捉えられているから。これはプロのレーサーだってそうなのです。

一般公道ではそんな青旗を振ってくれる人はいませんので、だからこそ走行車線と追い越し車線のルールを厳守する必要がある。一般的に、皆「左側から追い越してくるクルマは居ない」と思っているから、あまり後方に注意を払わずに左側に車線変更するクルマも多いですしね。事実、事故映像の赤いヤツも左後方から黒いヤツが急接近しているのを全然気にしてない動きですし。

仮に走行車線がガラガラだった場合でも、左に車線変更した瞬間に前のクルマも譲ろうとして同時に車線変更してきたら?実際、そうやってぶつかりそうになっているシーンを何度か目撃したコトあります。それでもし追突、もしくはスピン状態になったら、さらに後続のクルマをも巻き込む大事故になる可能性があるコトは容易に想像できるでしょう。

また、一部の都市高速を別にすれば、高速道路や自動車専用道の合流路は左側にあるワケで、もし合流路手前で左側車線からの追い越しを仕掛けたりしたら、合流してきたクルマと激突する危険性も考えられます。東北道フェラーリ事故も合流路のすぐ手前で起きており、黒いヤツも赤いヤツもそんなのお構い無しに加速していたのはちょっと背筋が寒くなりますね。

事故現場の映像を見ると片側3車線になっていますが、3車線あると真ん中を走るクルマが多くなりがちで、左側車線にスペースができやすい傾向があるからか、左側車線から他車をブチ抜いていくクルマを結構な頻度で見かけます。愛知県だと伊勢湾岸道とかな。そういうドライバーはあまりにも事故に対する想像力が欠けていると言わざるを得ないし、そういうリスクをキチンと見積もれないドライバーはサーキットを走る資格も無いでしょう。

フェラーリの事故については、黒いヤツがハンドルでかわそうとせずにブレーキを踏むべきだったとか、ハンドル切りすぎたのがダメだとかっていう指摘も出てますが、そういう一瞬の判断ミスは誰だってやる可能性があるし、あの状況でブレーキで逃げるべきかハンドルで逃げるべきかっていうのは正直難しい判断でしょう(結果論でどうこう言うのは簡単)。ただ、そもそも「追い越しは追い越し車線から」というルールを守っていれば、そんな判断を迫られる状況自体が生まれなかったのです。

あ、もちろん公道であんなスピード出すのもダメだけどな。あとたぶん、黒いヤツはハンドル切りすぎたとかカウンターが下手だったとかではなくて、寄せた左側の路肩に砂利が多く出てて、結果左右のタイヤにグリップ差が生じて内側に巻き込んだように見えるよ。F1ドライバーでもたまにやっちまうヤツだよ。

あ、さらに補足しておくと、走行車線を流れに乗って走っていたら、たまたま追い越し車線の流れが悪くって右のクルマを追い抜いてしまった場合は違反じゃないから安心してね(⇒ 【今さら聞けない】「追い越し」と「追い抜き」の違いとは? – WEB CARTOP)。こんなコト言うと、あの事故った黒いヤツは車線変更をしていないからセーフなのでは?とか言う人居そうだけど、あいつは絶対ドラレコに映る手前で追い越し車線から車線変更してると思うよ(明らかに前のクルマをブチ抜く意図をもって左側を走っている)。