最近、なぜか懐かしいアニメのBDを買ってしまったのでした。古参アニメファンの皆さんの間では、「一般教養」レベルの作品ですね。
うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー [デジタルリマスター版] [Blu-ray] | |
クリエーター情報なし | |
東宝 |
なんでこれ買っちゃったかっていうと、少し前にWEBで押井守がこの『ビューティフル・ドリーマー』について言及している記事を読んで、そのままAmazon検索してみたらBD売ってて、しかも4000円しない値段で買えるもんだから「意外と安いな」って思ってそのままポチっちゃったんですけど。ていうか、なぜかDVDよりBDの方が安いんですよね。
押井守はインタビュー記事でこんな風に語っています。
監督としての展望が一気に開けた。売れたし、評判にもなったので。逆に言えば、つまずきの石にもなった。何をやってもいいと思い込んで、イケイケになってしまった。それがなければ(85年に発表されたOVAの)『天使のたまご』はなかった。『天使のたまご』をやって3年以上、仕事がなくなって貧乏生活になった。
via: 押井守監督:名作「ビューティフル・ドリーマー」振り返る イケイケからつまずき - MANTANWEB(まんたんウェブ)
大ヒットを飛ばした『ビューティフル・ドリーマー』で気を良くして、その後押井守の作家性をフルスロットル全開にした挙げ句難解すぎてほとんどの人が理解できなかったという『天使のたまご』に繋がるというジェットコースターぶりがたまらん感じですが、この大ヒットからの大コケ、そして数年間干されるという流れが無ければ押井守がパトレイバーの監督に収まるコトも無かった可能性が高いワケで、押井版パトレイバーが好きな私としては『ビューティフル・ドリーマー』『天使のたまご』という2作品には敬意を払わねばなりません(?)。
『ビューティフル・ドリーマー』はむかーし一度だけ観た記憶はあって、ストーリーの大枠は覚えていたんですけど細かい内容は忘れてしまっていたので、ある意味見返してみたかった作品でもあります。改めてみてみると、作品の雰囲気がもうそのまんまパトレイバー初期OVAに繋がる感じで(出演声優もある程度被ってるし)、めちゃくちゃ久しぶりに観たハズなのに何度も観た感じしかしないという希有な体験をするコトになりました。
BDには劇場公開時のパンフレットが静止画として収録されているんですが、ある意味これが一番面白かったりもして。押井守へのインタビューも掲載されているんですが、受け答えしている感じが今とあんまし変わらないっていう。のっけから
今回最初にあったのは、結局ラムというのが僕にはわからなかったっていう結論だったんです。それでもラムを描こうとすれば、あの娘はもしかしたらこんなことを考えているかな、どんな夢を望んでいるのかなっていう男の眼から見てのいろいろな考え方、男の側からの発想で彼女をとらえていくしかない。それが限界だと思うわけです。
などという押井節全開。パトレイバー2では野明と遊馬の出番をめちゃくちゃ少なくして中年男の後藤隊長や荒川茂樹を大きく持ち上げた押井監督、もうこの頃からブレていません。確かにこの『ビューティフル・ドリーマー』、ラム自身の出番は少なめだし印象が薄いよなあ。それでもヒット作になったのは、やはり印象に深く残る物語の構造と、それを補強する演出の数々でしょうね。物語の序盤、買い出しに行くためにあたると面堂がキューベルワーゲンに乗って夜の街を走ってて、マネキンを大量に積んだトラックに出くわしたり、チンドン屋が横切ったりするシーンはかすかに覚えてましたし、好きなシーン。
あと驚いたのが、この作品って劇場公開と同時にVHSとベータマックス版のビデオソフトが発売になってたんですね。今だとなかなか考えられないパターンじゃないかと思うんですけど、当時ってこういう劇場公開と同時にビデオ売るっていうの、割とあったんですかね?そして値段は14,000円。当然特典映像とかオーディオコメンタリーとか豪華ブックレットとかは付いて無かったハズで、本編のみ収録で14,000円。……当時のアニメオタクな皆さんは、気合いの入り方が違ったんだろうなあ……。