大須は萌えているか?

gooブログからこっちに移動しました

F1[19] バーレーンGP 決勝

予定調和では終わらない、面白い展開となりました。ルクレールには気の毒だったけど……F1バーレーンGP決勝。

ルクレールが勝つレースだったハズなんですが

ルクレールではスタートでやや出遅れ、ベッテルに先行を許しただけでなくボタスにも一時先行されてたりしてましたが、その後落ち着いてポジションを回復。6周目にはDRSを使ってベッテルもあっさりオーバーテイク。その後順調にラップを刻むルクレールに対してベッテルはタイムが伸び悩み、ハミルトンとやり合う展開。このままルクレールが悠々逃げ切ってF1初優勝を飾る、と確信できる展開だったワケですが、46周目にルクレールがエンジンの不調を訴え、まさかのパワーダウン。

その場でマシンを止めるまでには至らなかったものの、トップスピードが大きく失われたマシンではトップの座を守るコトができず、ハミルトンはおろかボタスにまで抜かれてしまうという。あわやフェルスタッペンにも抜かれて表彰台をも失うかと思われましたが、ルノーの2台がほぼ同時にそれぞれ単独でリタイヤするという珍事でセーフティカーが出動、そのままフィニッシュしたことで辛うじてF1初表彰台は守られた格好となりました。

もちろんF1デビュー2年目、フェラーリでは2戦目にして表彰台に上るというのは誇らしい戦績(表彰台を獲得した年齢としては史上6番目の若さだそう)のハズなんですが、しかしもう明らかに勝てていたレースを落としたというコトで、嬉しさ半分といった感じの初表彰台になっちゃいましたね。ルクレール自身はなんのミスもしてませんしねえ。

もちろん、フェラーリへの抜擢が決まった時点で非常に期待値の大きいドライバーではあったワケですが、なにせチームメイトはセバスチャン・ベッテルですし、しばらくはベッテルに「挑戦する」立場なんだろうな、と思っていたんですけどね。まさかフェラーリデビュー2戦目にして、ベッテルを完全に出し抜いてみせるとは……。金曜P1、土曜のP3と予選はすべてトップタイム、決勝レースでもファステストラップを記録してますし。ベッテルルクレールより上になれたのは金曜P2だけ。

オマケに、ベッテルはまた悪い癖が出て、ハミルトンにオーバーテイクされた際に焦ってスピン。その際にフラットスポットを作ってしまったようで、マシンに大きな振動が発生してフロントウイングが脱落するという悲劇の連鎖反応。昨年もシーズン後半にポカミスをちょいちょいやらかしていたベッテルですが、今季も早々にやらかしてしまいました。エンジンパワーを失って初優勝のチャンスをフイにしても、努めて冷静にチェッカーまでクルマを持たせたルクレールとはあまりに対照的なレース内容。

ベッテルはどうも自分の思い通りにコトが運ばないときに癇癪を起こすクセがあるように見えてしまうんですよねえ。チームメイトが自分よりパフォーマンスが良いときなんかは、特にそれが顕著な感じもして。2014年にリカルドと組んだときなんかが象徴的ですが、今年のベッテル、同じような状態にならないと良いですけど。まあ、トップチームのドライバーが皆成熟して冷静なドライバーばかりというのも、見てる方としてはつまらないですけどね?

ハミルトンの強み

予選の段階で純粋な速さではフェラーリに勝てないと思われたメルセデスですが、結果としてはまさかの1-2フィニッシュ。開幕戦と合わせて上々の滑り出しとなりました。今回メルセデスフェラーリに完全勝利できたのは、マシンの信頼性でフェラーリより優れていたコト、そしてドライバーが冷静だったコトでしょう。

ルクレールのトラブルによって棚ぼた的に勝利が転がり込んできたのは間違い無いですが、それもハミルトンがしっかりベッテルをキャッチアップしたからこそのモノ。ベッテルのペースを冷静に見極め、追い詰めていったコトがベッテルのミスをも呼び込み、だからこそ1-2フィニッシュできたと言えます。この辺はさすがハミルトンと言わざるを得ないな、と。

ハミルトンはレース後にルクレールを気遣うコメントもしていますが、この辺は「王者の余裕」といった感じすらしますね。CSの放送で浜島さんが指摘してたと思うんですが、ハミルトンだって以前は、ベッテル以上にナーバスになるコトも多いドライバーだったんですけど。それこそ感情のムラで成績が左右されるタイプの。それを克服できたのは、やはり繰り返し勝ち、繰り返しチャンピオンになれたからでしょう。

2008年に23歳にして最初のチャンピオンに輝いたものの、その後タイトルに手が届かない状態が続き、そしてメルセデスに移籍して2年目でチャンピオンに返り咲き、翌年も連続チャンピオンを獲得するも、2016年にはロズベルグの逆襲にもあったりして。そうやって、頂点に立ち、負け、また頂点に立ち、を繰り返して、その都度成長してきたのがハミルトン。

一方でベッテルは、フル参戦3年目からあれよあれよと4年連続で連続王座を獲得してしまったドライバー。山あり谷ありのハミルトンのキャリアに比べて、若くして長い絶頂期を迎え、そしてメルセデスの台頭と共にその絶頂期より長い日陰の時代(とはいえメルセデスの次に強い立場ではありますが)を迎えているワケで。こういうキャリア形成の違いが今の2人のレースに現れている……なんていうと言い過ぎな感じはしますが、ただそういう妄想は捗っちゃいますね。

そのほか

6位入賞を果たしたランド・ノリス、彼も恐るべき若者ですねえ。てか、マクラーレンレースペースも速かった。サインツはフェルスタッペンとの接触もあって残念なコトになりましたが、ちゃんと生き残ってれば2台揃って上位でダブル入賞してた勢いでした。サインツは2戦連続で不運に見舞われてしまいましたが、逆に言うとノリスは「持ってる」ドライバーなのかも知れませんね。なお、F1公式サイトの記事によれば、今回彼とやりあっていたF1最年長のキミ・ライコネンがF1デビューを果たしたとき、ノリスは生後16ヶ月だったそうです。……世代の波が……。

ルーキードライバーといえば、トロロッソのアルボンも10位初入賞。運に助けられた格好でもありますが、こういうのは運も実力のうち、というコトで。クビアトなんてジョビナッツィとの接触とかピットレーンの速度違反とか、良いとこ無しでしたし。まあ全部クビアトのせいではないにせよ、なんかこういうかみ合わせの悪さがつきまとうイメージあるなあ、クビアトって……。

ルノーヒュルケンベルグがQ1落ちだった予選から一転してやたら力強い走りを見せ、このまま6位辺りでポイントゲット……と思いきや、リカルドもろともマシントラブルでストップする有様。ルノーはPUのパワーは向上したと言われてますが、一方でまた信頼性には問題を抱えてしまっているようで。ホンダPUがこれといった問題無く走っているところを見て、リカルドは何か思うところがあったりする?

一方で、ハースは悲惨な感じでしたねえ。グロージャンはさておいても、マグヌッセンのレースペースはどうにも遅い。予選の速さからすると「なんで?」と言いたくなるレベル。タイヤから一発引き出すコトはできる一方、ロングランのデグラに問題を抱えているのか……。でもオーストラリアではマグヌッセンって6位入賞してますしねえ。この浮き沈みの激しさを見るに、中団グループの勢力はまだどう転んでいくかわからないな……。