結局、強いのはどっちやねん。F1中国GP予選。
- 予選結果: FORMULA 1 HEINEKEN CHINESE GRAND PRIX 2019 - QUALIFYING
- 予選ダイジェスト: Highlights and report from qualifying for the 2019 Chinese Grand Prix - Bottas takes first pole of season as Mercedes lock out front row | Formula 1(動画有)
- 予選後各チームコメント: What the teams said - Qualifying in China | Formula 1
- 予選後記者会見: Chinese Grand Prix 2019 Saturday press conference full transcript | Formula 1
フェラーリが速いのかと思いきや
長いストレートを持つコトで知られる上海インターナショナルサーキット、そりゃあストレートがめっぽう速いと評判のフェラーリが予選で猛威を振るうのかな、と思っていたんですが、フタを開けてみればメルセデスが安定のフロントロウ独占。バーレーンでプレシーズンテストの力強さを取り戻しつつあるようにも見えたフェラーリでしたが、なんだか逆戻りしちゃってませんか大丈夫ですか。
しかも、ポールを獲得したのがボタスというのも意外でしたね。ハミルトンは金曜日からマシンのセットアップに苦しんでいたようですが、Q2あたりからマシンのセットアップが決まってきた雰囲気もあったので、これなら逆転ポール行っちゃうかなーと思っていたんですけどね。Q3最後のアタック、セクター2と3でハミルトン結構タイムをロスっちゃってたんですよね。特にセクター3は自己ベストからコンマ3秒以上遅かった。これがなければポールだったんですけどねえ。まあこの辺は、金曜日からマシンに自信を持っていたボタスの勝ち、といったところでしょうか。
ベッテルはメルセデスからだいたいコンマ3秒程度の差を付けられての3番手となりましたが、メルセデスに対しては「あいつらコーナーがべらぼうに速い(bloody quick)」とコメントしている状態。ストレートで速いフェラーリ、コーナーで速いメルセデス、というわかりやすい図式になっている感じではありますが、ただQ3の区間ベストを見てみると、ながーいストレートが大半を占めているセクター3でも、フェラーリはメルセデスに勝ててはいないんですよね。各セクターとも、微妙にメルセデスより遅いっていう感じで。
直線スピードがフェラーリの方が速いのは確かに速いんですが、雰囲気的にはDRSさえ使わせなければメルセデスの勝ち、という感じはしてしまいます。逆に言うと、フェラーリはなにがなんでもスタートからメルセデスに食らいついていくコトが肝心でしょうね。ジリジリ離されたらその時点でアウト。
やや白けたQ3、ピンチのガスリー
今回のQ3最終アタック、各車とも揃ってギリギリのタイミングでコースに出て行ったもんだから、セッション終了時刻ギリギリになってアタックに入ろうとするクルマが渋滞になってしまい、焦れたベッテルが「紳士協定」を破ってターン14でフェルスタッペンをオーバーテイク、フェルスタッペンはやむなくベッテルとの間隔を空けようとしたらルノーの2台にも抜かされてしまい、結果としてガスリー共々最終アタックに入れなかった、なんていう珍事が起きてましたね。あ、あとハースの2台もか。
おかげで3番手くらいを狙えるかも……と思われていたフェルスタッペンは5番手どまりになってしまったワケですが、逆にいうとそのおかげで、トップ10のグリッド各列がキレイに同じチームのマシン同士で並ぶという格好になりました。1列目がメルセデス、2列目がフェラーリ、3列目がレッドブル、4列目がルノー、5列目がハース。F1公式サイトによると、トップ10のすべての列で同一チームが並ぶのはF1の歴史上2度目のコトで、2011年シンガポールGP以来なんだそう。思いの外レアな事象だった。
並んだ各チームの2台のタイム差がかなり僅差なのも面白いところで、そういう意味ではいずれのチームもドライバーの実力が高いレベルで揃っている良いチーム、というコトもできそうなんですが、唯一の例外がレッドブルで、フェルスタッペンとガスリーの差がコンマ8秒以上離れてしまっております。Q3最終アタックを走れていないというマイナスはあるものの、あと少しでルノーに食われるところでした。
プレシーズンテストでも立て続けにクラッシュしてチームからの評価を下げてしまったガスリーですが、どうも自信を持ってマシンに乗れていないようですね。一方でフェルスタッペンは安定してタイムを叩き出し続けているので、余計に焦りが生じてしまっている悪循環になっているようにも見えてしまいます。メンタルがクッソ図太そうなフェルスタッペンに比べて、ガスリーはなんか繊細そうに見えるしなあ……。
しかし、ぱっと見いかにもモナコのお坊ちゃんみたいな感じのルクレールが、4度のワールドチャンピオン相手にグイグイ詰め寄っている様を見ていると、結局「勝つ」ドライバーっていうのはこうでなくちゃいけないんだろな、という感じもしてしまいましてね。与えられた環境、マシンをあっという間に自分のモノにしてしまう。「条件が整えば速い」っていうドライバーならそれこそゴロゴロいますが、さらにその中で勝ち残るには「どんなときでも相当な水準を保てる」という能力も要求されるワケですね。レッドブルのシートを掴んでまだ3戦目のガスリーですが、早くも正念場、といった感じです。
そのほか
ハースはまたしても2台ともQ3に進出し、予選の速さは疑いようが無いレベル。あと問題はレースペースですね。
今回はルノーが予選で躍進した一方で、同じルノーPUを使うマクラーレンは低迷。開幕から好調な雰囲気を漂わせていただけに「おや?」って感じですが、どうも例年マクラーレンはここの予選強くない感じしますね。てか、もう最初から上海では苦戦するってわかっていた、みたいなコメントしてますしね。
McLaren: China has exposed our weaknesses - Chinese Grand Prix 2019 | Formula 1
トロロッソはクビアトがギリギリでQ3進出を逃す11番手、一方でアルボンはFP3でマシンが大破する大クラッシュを喫して予選不参加。決勝はピットレーンスタートでの参加が認められたようですが。クラッシュ時のアルボン、最終のターン16で芝生部分にはみ出しながらもそのままアクセルオンしてコントロールを失った格好ですが、アルボン自身はちょっと芝生をカットしてでも、そのまま行っちゃった方が速いんじゃないかと判断してのコトだったみたいですね。
"It would be a bad excuse [to call it a rookie error]. Maybe you can, but I don’t think it should have happened. I think I was a little bit too greedy. I was obviously pushing trying to find the limits, but it should have been in qualifying rather than FP3."
ベテランならやらないミスでしょうが、「どこまでならイケるか」に貪欲にトライしていく姿勢は、若いレーシングドライバーとしてはむしろ評価できるポイントでもあります。とはいえ、見ているこっちもヒヤヒヤするので程々にして欲しいところではありますが。しかし彼、シーズンを終えるときにどのくらいポイントを稼げているのか、楽しみな存在ですねえ。
あとちょっと気になるのが、今回もQ1ノックアウトを喰らったストロール。開幕戦で早々にポイントゲットしてみせたので「やるじゃん」と思ったものの、開幕戦からずっとQ1ノックアウトなのよね彼。去年から数えると7戦連続のQ1ノックアウト、この予選の勝負弱さはちょっとどうなんだ……?接戦の中団グループだからこそドライバーの地力が試されるところでもありますが、なんかやはり頼りない雰囲気が……。
決勝はタイヤ戦略も気になるところですね。トップ5は皆ミディアムスタートですが、そこからハードに履き替える1ストップか、あるいはソフトも交えての2ストップか。日曜日の気温は週末で一番高くなるようなので、「思わぬ展開」にも期待したいところではあります。