メルセデスの、メルセデスによる、メルセデスのためのグランプリになるのか?……F1ドイツGP予選。
- 予選結果: FORMULA 1 MERCEDES-BENZ GROSSER PREIS VON DEUTSCHLAND 2019 - QUALIFYING
- 予選ダイジェスト: German Grand Prix 2019 qualifying report: Hamilton snatches German GP pole as Ferrari suffer catastrophic double breakdown | Formula 1(動画有)
- 予選後各チームコメント: What the teams said - Qualifying in Germany | Formula 1
- 予選後記者会見: FIA post-qualifying press conference - Germany | Formula 1
メルセデス祭り
2007年以降はホッケンハイムとニュルブルクリンクの交互開催だったドイツGP、しかし2015年にはニュルブルクリンクが財政難でF1開催の条件が折り合わずに撤退、以後ホッケンハイムのみの隔年開催となっていたワケですが、今年は2018年に続く連続開催となりました。そして、タイトルスポンサーには「MERCEDES-BENZ」の文字が。ホンダがタイトルスポンサーをやった、昨年の日本GPを思い出すなあ。
メルセデスにとって、今年はモータースポーツ活動を始めて125周年、かつこのドイツGPがコンストラクターとしてのメルセデスにとってF1参戦200戦目になるというコトで、なんだかメルセデス・チームはお祭りムードな感じがします。そういう節目を地元レースで迎えたい、というコトで、タイトルスポンサーまで引き受けてのドイツGP連続開催というワケですね。
まず目を引くのは、ノーズ部分からヘイローにかけて白く塗られているマシンのカラーリングですが、よく見ると白地の塗装が剥げて銀色が露出しているように見えるデザインになっているんですね。
Mercedes-Benz celebrates its 125th year of motorsport as well as the 200th #F1 start for @MercedesAMGF1.
— Daimler AG (@Daimler) July 26, 2019
To honour the Silver Arrows' heritage at this weekend's Großer Preis von Deutschland, Lewis and Valtteri's F1 cars will run in special liveries 👉 https://t.co/98JIjFc3nD pic.twitter.com/npx5aeoctR
これは戦前のレースで、白に塗られていたメルセデスのマシンが規定の最大重量をオーバーしてしまったために、重量を減らすために塗料をすべて剥がしてなんとか規定をクリアし、アルミ地が剥き出しとなったマシンで優勝した……という「シルバーアロー」の誕生エピソードに基づくカラーリングというワケですね。
そして、ピットクルーの服装も1950年代の雰囲気にしてしまうという凝り様。ピットウォールにいるメンバーはスーツ姿だったり、トト・ウォルフまでサスペンダー付けてたりしたし。
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— Mercedes-AMG F1 (@MercedesAMGF1) July 27, 2019
フジテレビNEXTの中継で、浜島さんが「弱いチームがこんなことやってたら『なにやってんの』って言われる」みたいなコトを言ってましたが、まあ確かにこれは「王者の余裕」を感じさせる仕込みだなー、とは思いますね。
ただ、予選ではフェラーリがかなりの速さを持っていそうだったため、これでメルセデスがポール獲れなかったらちょっとダサいなー、なんて心配したりもしたんですが、なんとフェラーリは2台ともメカニカルトラブルで轟沈するという有様。ハミルトンはまんまとポールを確保したのでした。
……とはいえ、メルセデスの楽勝ムードとも言い切れない雰囲気がありますね。フロントロウ残りの2番手はフェルスタッペンが獲得し、ボタスは3番手に甘んじてしまってますし。いつものようにQ3までは余力を隠しておくメルセデス戦法なんじゃないのー、という見方もありましたが、思ったよりスピードが無い、というのもホントっぽい。それでもあれだけサクッとポール獲れちゃったのは、ハミルトンの力によるところが大きそう。
オマケに、決勝は雨が降るかもっていう予報ですし、そうなると一気にカオスになる可能性もありますね。雨だとフェルスタッペンが思わぬ速さを見せる可能性がありますし、レッドブル・ホンダ2勝目も見えてくるかもしれません。
大接戦の中団
フェラーリの相次ぐトラブルの影響もありますが、ライコネンが5番手に食い込むというのはなかなかビックリ。しかも、4番手ガスリーに0.016秒差ですからね。下手したらレッドブル食ってた。6番手には解雇説まで出ていたグロージャンが食い込んでおり、フェラーリカスタマー勢がパフォーマンスを発揮しているようにも見えますが、ジョビナッツィは11番手、マグヌッセンは12番手となっており、必ずしもフェラーリPUの恩恵とも言い切れないかなー、という感じも。
今のホッケンハイムが短いサーキットであるというのもあるでしょうが、中団グループのタイム差がとてつもなく小さいですよね。Q1では5番手ライコネンから15番手クビアトまでのタイム差が0.212秒しかなく、マクラーレンのノリスは0.055秒差でQ2進出を逃してます。Q2でも、6番手ライコネンから10番手ペレスまでの差は0.257秒。
ルノーはヒュルケンベルグがQ3進出して9番手、リカルドがQ2敗退の13番手と明暗を分けた感がありますが、実のところQ2での2人のタイム差はわずか0.033秒。グロージャンとマグヌッセンの差は0.02秒。ホントに、誤差にしかならないようなちょっぴりの差で明暗が分かれてしまってます。
そんな中、レーシングポイントのペレスがQ3進出したのはちょっとした驚きでしたね。ペレスはバクー以来のシングルグリッドというコトになりますか。ここんとこ、予選・決勝ともにパフォーマンスが低迷気味だったレーシングポイントだけに、この接戦をうまく勝ち抜けたのはポジティブな話でしょう。ストロールもついにQ1突破を果たしましたが、Q2ではペレスに0.674秒遅れとかなりの差を付けちゃったりして。
決勝もかなりの接戦が予想されるうえ、雨まで降るとチームの総合力+運が試される展開になりそうですね。トロロッソも予選ではうまく噛み合いませんでしたが、決勝で巻き返せるかが気になるところ。
フェラーリの2台はベッテルが最後尾、ルクレールが10番手というコトになりそうですが、速さはおそらくナンバー1のクルマなので、これもどこまで追い上げてくるか。優勝は順当にいけばハミルトンになるでしょうけど、雨が降るとわからなくなりますねー。もしスタートはドライで途中から雨が降りそうな展開だと、ミディアムスタートになるメルセデス勢の方が選択肢が増える分有利かもですね。
まあ、これで全然雨の降らないレースだったら肩透かしですけども……。