まさかの惨敗だったドイツGPから一転、メルセデス&ハミルトンが王者の貫禄を見せつけるレースになりました。F1ハンガリーGP決勝。
- 決勝結果: FORMULA 1 ROLEX MAGYAR NAGYDÍJ 2019 - RACE RESULT
- 決勝ダイジェスト: Hungarian Grand Prix 2019 F1 race report: Hamilton brilliantly hunts down Verstappen to snatch Hungary victory | Formula 1(動画有)
- 決勝後各チームコメント: What the teams said - Race day in Hungary | Formula 1
- 決勝後記者会見: FIA post-race press conference - Hungary | Formula 1
まさかの2ストップ
土曜日にピレリが最速と予想していたタイヤ戦略はソフト⇒ミディアムの1ストップでしたが、決勝の路面温度が高かったせいもあってか、ミディアムスタートからのハードに履き替えるドライバーが多く、ソフト⇒ミディアムで乗り切ったのはライコネンだけでした。……それでしっかり7位入賞しているんだから、さすがタイヤマネジメント職人という他ありません。
The roads to the finish line. #HungarianGP 🇭🇺 #Fit4F1 pic.twitter.com/ywRy7vZOQw
— Pirelli Motorsport (@pirellisport) August 4, 2019
フェルスタッペンとハミルトンは共にミディアムスタートでしたが、先にタイヤが音を上げたのはフェルスタッペン。ハミルトンより6周早い25周目にピットインして、ハードに交換。ハミルトンは31周目までタイヤ交換を引っ張って、フェルスタッペンよりフレッシュなタイヤでオーバーテイクを狙う作戦でしたが、フェルスタッペンもそう簡単には抜かせない。
元々オーバーテイクはし辛いコースレイアウトに加え、メルセデスはブレーキにやや問題があって、ハミルトンはブレーキを庇いながらレースをしなければいけない展開。そこでメルセデス、48周目にハミルトンを2回目のピットに入れ、ミディアムタイヤを履かせる作戦に出ました。
このとき、フェルスタッペンとハミルトンは2人で後続を大幅に引き離していたため、ハミルトンはフリーストップが可能な状態。とはいえ、ピットストップ1回分、つまり20秒程度のロスを抱えることになり、残り22周でこれを挽回して、なおかつオーバーテイクするというというのは相当なギャンブルに見えます。実際、ハミルトンもこの作戦に対する疑問を口にしていたくらいですし。
ただ、ここでもしフェルスタッペンを抜ききれなくても、2位フィニッシュは確実なんですよね。しかも前を行くのはランキング2位のボタスではなくフェルスタッペン、ギャンブルに負けたとしてもハミルトン陣営にとってはそこまで大きなダメージじゃありません。それに、ハミルトンならこのギャップを挽回できる、という期待あるいは信頼がチームにはあったんでしょう。まさに、メルセデス&ハミルトンだからこそ、そしてフリーストップが得られる後続との大きなリードがあったからこそ取り得た作戦。
これを挽回して、パッと決断したメルセデスの決断はすごかったし、それにちょっと疑問を呈しながらも、最後はちゃんとそれに応えてみせるハミルトンの走りも素晴らしかった。ここ数戦はフェルスタッペンが破竹の勢いでポイントを積み上げ、テレビの解説やってるロズベルグが「ルイスよりマックスのが上じゃね?」なんてコトも言ってたようですが、「どや!俺のが速いやろ!」と言わんばかりのハミルトンのレースでした。
しかし、フェルスタッペンもハミルトンに抜かれたあとはソフトに履き替え、しっかりファステストラップで1ポイント余分に持ち帰ったのはさすが。ドライバーズランキング2位のボタスに7ポイント差まで迫り、ハミルトンに追いつくのはなかなか難しいにしても、ランキング2位はもう完全に射程圏内になってきた感じですね。後半戦、フェルスタッペンの勢いがどこまで持続するのかも楽しみなところ。
どんどん影が薄くなっていくフェラーリ
ハミルトンとフェルスタッペンのバトルがレースを盛り上げた一方、開幕前は今年メルセデスを完全に上回るのではとまで期待されていたフェラーリは、ハミルトンの1分後方でチェッカーを受けるのがやっと。ベッテルが表彰台に上っては見せましたが、フェラーリとしては「惨敗」といっていいレベルのレースだったのではないかと思います。直線番長のフェラーリにとっては厳しいサーキットではあったでしょうが、しかしこうも遅いとねー……。
ただ、今回ベッテルが第一スティントをルクレールより長く引っ張って、ミディアムからソフトに履き替えてルクレールを逆転して見せたのはちょっと面白かったですね。レースマネージメントでベッテルがルクレールを出し抜いてみせたのって、結構久しぶりな気が。今回はルクレールの方がかなりリヤタイヤのマネージメントに苦しんでいたようですが、これ2人のドライビングスタイルにも関係しているんですかねえ。
ルクレール自身、リヤタイヤのマネージメントに課題を感じているようで。予選は悪く無いんだけど、決勝ロングランでリヤタイヤが足を引っ張るっていう。
“That’s a few races I seemed strong with qualifying, but with the race I seemed to struggle always with the rear tyres,” he explained. "I need to find out if there is a compromise to find there, and also with my driving, to improve a little bit and try and keep the tyres more towards the end of the race.”
via: Tyre wear issues compromised Leclerc's Hungarian Grand Prix | Formula 1
バーレーンでのルクレールを見て、こりゃ初優勝は時間の問題だなと思ったりしたもんですが、オーストリアでもあと一歩のところで優勝を失い、そうこうしている間にレッドブルに完全に追いつかれたようにも見え……フェラーリ移籍初年度から、ベッテル相手に互角以上の戦いを見せている時点でルクレールの実力は疑いようがないんですが、なかなかガチッと噛み合わない感じがもどかしいところ。
後半戦、スパやモンツァで再び波に乗れるか、ですかねえ。
そのほか
ガスリーはサインツのうしろ、6位でフィニッシュ。予選の順位を維持したといえばそうなんですが、ボタスが上位から脱落したコトを考えると、パッとしない成績ですよねえ。しかも、最後までサインツを仕留めきれなかったし……。サインツはレッドブルの1台を実力で仕留めたと喜びのコメントをしていますが、まーレッドブルに行き損ねた元トロロッソ組としては、余計に「してやったり」な気持ちが強いんでしょうね。
何気に、ドライバーズランキングでもガスリーとサインツの差が5ポイント差まで接近してきているんですが、これサインツに逆転されたらさすがにガスリーくんダメなのでは。
現役トロロッソの2台は、なんかアツいバトルしてましたね。
Hungarian Grand Prix 2019: Kvyat and Albon reflect on ‘fun’ intra-team battle | Formula 1
この2人の良いところは、これだけガチなバトルをしていても、ちゃんと相手のラインを潰さずに走っているところ。ハースの2台とはエライ違いです。アルボンはピットストップを30周目まで引っ張ったのが功を奏して、10位フィニッシュでポイントゲットもできましたね。
ハースはといえば、マグヌッセンはポイント圏外をふらふらしたまま13位フィニッシュ、グロージャンはマシントラブルでリタイヤと良いところなし。てか、グロージャンはこれで今季6回目のリタイヤなんですね。マシントラブルが激減した近年では、このリタイヤ率50%ってかなりスゴイ気がするんですが。もちろんダントツのトップ。
なお、今季グロージャン「だけ」がリタイヤしたレースは3回目(バーレーン、フランス、ハンガリー)だそうで、こりゃいよいよ解雇説に拍車が掛かりそうな……グロージャンも良いときと悪いときの落差がホント激しいドライバーだなあ……。