大須は萌えているか?

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F1[20] オーストリアGP 予選

予選も始まって「あ、ホントにF1が開幕したんだなあ」と感じる一方、やはりどことなくしっくりこない雰囲気を感じたりもして……F1開幕戦、オーストリアGP予選。

今年もドイツの科学力は世界一なのか

開幕前はレッドブル・ホンダがかなり速そうだ、という評判が立っており、これメルセデスとガチンコ勝負いけるんじゃね?くらいの勢いだったワケですが、フタを開けてみたらメルセデスの0.5秒落ちという衝撃。Q1、Q2まではそれなりに競っている感じでしたが、Q3でメルセデスが恐らく予選用のエンジンモードを使ったのか、ポーンとタイムを突き放して見せました。1周が短く、大きなタイム差が付きづらいこのサーキットでの0.5秒差はなかなか衝撃的……。

ポールを獲得したボタスとフェルスタッペンのアタック比較動画を観てみると、どこで遅いというよりも、全体的に遅れている感じしますね。だからこそやっかいなんですが。

HEAD-TO-HEAD: Where Bottas had the edge over Verstappen in qualifying

ただ、昨年のタイムを見直してみると、ポールを獲得したルクレールに対して、フェルスタッペンは0.4秒遅れではあったんですよね。そしてさらにスタートで出遅れてしまってもなお優勝したコトを考えると、まだメルセデスの勝利と決めつけるのは早計かもしれません。

昨年もフェルスタッペンはミディアムでのスタートからハードタイヤに切り替えて勝利しており、実はメルセデスも昨年はミディアムスタート。そして比較的涼しかったという金・土に比べて日曜日の決勝は暑い気温が予想されているみたいなので、決勝レースペースがどうなるか、がカギを握りそう。メルセデスのアンドリュー・ショブリンの見立てでは、ソフトとミディアムでそこまでレースペースに差はないというコトなんですが、ここが注目ポイントですね。

We've also got Max starting on the Medium compounds which will go a bit further than our Softs, but in terms of pace, we've not seen much difference between the tyres.

via: Andrew Shovlin, Trackside Engineering Director : What the teams said - Qualifying in Austria | Formula 1®

なお、フジテレビNEXTの中継で川井ちゃんが指摘していた最終アタックでのハミルトンのイエローフラッグ無視?の件、審議はされたみたいですけどお咎めナシってコトになったみたいですね。

今回のハミルトンの疑惑についてスチュワードが映像を見直したところ、イエローフラッグとグリーンライトのパネルが同時に提示されていたことが判明したとして、この件については不問とすることを決めた。

via: ハミルトン、黄旗無視の疑いで呼び出されるも不問に | Mercedes | F1ニュース | ESPN F1

これとは別に、Q3最初のアタックの最終コーナーでトラックリミットを超えたとして、タイム抹消となってます……が、2回目のアタックでこのタイムは上回っているので、ハミルトンの順位には影響は無し。

そういや、なお燻っていたDASの問題についても、レッドブルの抗議が却下されたコトで合法であるコトが改めて確認されたみたいですね。これでとりあえず、メルセデスとしては憂いなく決勝に臨めるワケです。

Mercedes DAS system ruled legal as Red Bull protest rejected | Formula 1®

そういや、何気にボタスはこのオーストリアでポール獲得するの、3度目になるんですねえ。ボタスは他に複数回のポールを獲得したサーキットが無く、オーストリアは相性のいいサーキットなのかも。ただ、優勝したのは1回だけ。

思いの外悪いフェラーリ

フェラーリは開幕前からマシンのパフォーマンスの悪さを公言しておりましたが、そうはいっても予選が始まればある程度は帳尻合わせてくるんじゃないのー?という気もしていたんですよね。ただ、ベッテルがQ2ノックアウト、ルクレールも7番手がやっと、という有様を目にすると、これは重傷だなと。

川井ちゃんが、フェラーリのタイムが昨年よりも悪化しているコトを指摘していましたが、 確かにルクレールのタイムは昨年より1秒近く落ちてます。これは結構衝撃的。実はフェルスタッペンのタイムもわずかに昨年のタイムより遅いんですけどね、まあフェラーリほどでは無いというコトで……。

予選後のコメントでは、ベッテルは「セッション最後までクルマに自信が持てなかった」、ルクレールは「僕らがチームとしてできることは、元気を出して前向きになることだよ。簡単じゃないけどね」、ビノットは「予選結果にガッカリしていることを否定しても仕方無いだろう」みたいなコメントをしており、チームとしても「想像以上に悪かった」というムードがアリアリと。

ベッテルはマシンがかなりドラッギーだ、と言っているみたいですけど、やはりどうしても昨年のフェラーリのPU疑惑が頭をよぎりますねえ。あれだけ直線が速かったマシンが、今年ここまで遅くなるの?っていう。

どちらにせよ、この雰囲気を見ると今年のフェラーリがチャンピオンシップに絡む可能性は限りなく低そうですね。シーズン中に挽回しようにも、シーズン自体が短いし(ていうか、最終的に何戦になるのかもわかってないし)。そうなると、ボタスなりフェルスタッペンなりに頑張ってもらわないと、ハミルトン圧勝のシーズンになりかねない……?

変化するセカンドグループの勢力図

セカンドグループはまずマクラーレンが良い仕上がりですね。ノリスの予選4番手はちょっとした驚きで、レッドブルの間に割って入ってみせました。マクラーレンが予選トップ4に入るのは、2016年のこれまたオーストリアGPで、5番手タイムから3番グリッドに繰り上がったバトン以来かな?繰り上がりを除外すると、たぶん2014年のソチでバトンが4番手に入って以来……。まさに、マクラーレンにとってはしてやったり、という感じでしょうね。

昨年から見えている傾向として、ノリスは予選が速い一方、決勝で着実にポイントを積み上げるのはサインツという感じがするので、今年のノリスの課題は決勝での安定感でしょうか。もし獲得ポイントでサインツを上回るコトができれば、ノリスは「来年のフェラーリドライバーに勝った男」としてさらに株を上げるコトになるんでしょう。

マクラーレンに続くのがレーシングポイント。2台揃ってのQ3進出を達成、去年のオーストリアは2台揃ってQ1ノックアウトだったコトを考えると劇的な進歩と言えます。メルセデス・コピーだと散々揶揄されたマシンですが、津川さんは「中身はちゃんとレーシングポイント」と擁護してましたね。

レーシングポイントが2台揃ってQ3行くのはいつ以来だろう、と思ったら、レーシングポイントとしては初になるのかな?まあなにせストロールが予選遅……いやさちょっと苦手なコトもありますしね。フォースインディア時代含めると、2018年のアメリカGP以来ですかね?やっぱり、ペレスとオコンのコンビは強かった。

この2チームがセカンドグループの先頭を走り、その後ろにルノーやアルファタウリが続く、という格好になりますね。しかし、アルファロメオは結構厳しいですねえ。2台とも、ウィリアムズのラッセルに負けてるし。昨年のオーストリアは。2台揃ってQ3進出できていたのに……。アルファロメオも、フェラーリ同様昨年から大きくタイムを落としてしまっているチームですねえ。そういう意味でいうとハースもなあ……あれ、みんなフェラーリPUだなあ……。

ウィリアムズのラッセルは昨年から0.8秒くらいタイムを伸ばしているので、そういう意味ではウィリアムズにとってはポジティブな状況ですね。開幕前にメインスポンサーを失うなんていう悲劇もあって、チームがどうなるかわからなくなってきていますが、さすがにウィリアムズの名前が失われるのは避けて欲しいなあ……。

WE RACE AS ONE

F1は「WE RACE AS ONE」というスローガンを掲げ、COVID-19や人種差別といった問題に団結して立ち向かう、というアピールをしてますね。開幕戦から各チームのマシンやコースにそのロゴを掲出したり、マシンの一部をレインボーカラーにしたり、あと「End Racism(人種差別撲滅)」というロゴも見られたり。

レインボーカラーは多様性の象徴としてLGBT運動で用いられていますが、LGBT運動で使われているのは6色なのに対し、F1のそれを見ると10色くらいありますね。これは、人種的なものとかより多くの多様性を象徴しているってコトでしょうか。

Formula 1 launches #WeRaceAsOne initiative to help fight challenges of COVID-19 and global inequality | Formula 1®

(余談ですが、レインボーカラーがLGBTの象徴として使われているというのを知ったきっかけは、Apple Watchの「プライドエディション」バンドでした。現在愛用中)

んで、どうもオーストリアGPの決勝前に、BLM運動への賛同を示すためにドライバーたちが片膝をついてアピールしよう、という話があったようなんですが、結果として片膝をつくのはドライバーの自由意志に任せる、というコトになったようで。

その詳細を語ったルノーダニエル・リカルドは「昨日のドライバーの話し合いでは基本的に・・・、もちろん僕たち全員が100%これを支持しているし、人種差別を終わらせないといけないと思っている。誰ひとりとしてこのアイデアに反対する人はいない。僕たちみんながサポートしている。一部のドライバーにはそのお国柄的に難しいものがあるんじゃないかと思うんだ。ひざまずくことの意味だね。僕らがこれをやろうとしている理由は、純粋にブラック・ライブズ・マターをサポートしたいからであって、それ以外は何もなく、政治的なこともないんだけど、ドライバーの出身国によっては微妙な違いがあって、受け取られ方にも少し違いがある」とコメントした。

(中略)

「みんなの意見を聞いた。誰かが悪く言われるようなことにするつもりはないし、自分たちがいいと思うことをやるつもり。特定の方法でやらなかったからとか、ひざまずかなかったからといって、その人が裁かれたり、非難されたりすることはない。僕たちの意図はこれを支持するということであって、もしかしたらそれをみんなで示すかもしれないし、その中で誰かがそれ以上のことをしたいというのなら、その人はそうするかもしれない」

via: ドライバーが反人種差別運動支持の表現方法について議論 | Formula 1 | F1ニュース | ESPN F1

これはこれで良いコトだと思います。それぞれの国・個人による考え方の違いはそれはそれで尊重されるべきだし、片膝をつくコトを強制していたのでは、それはそれで多様性を蔑ろにしていると批判されても仕方ないでしょうしね。ただ、どんな国であっても人間は差別をしてしまう生き物だし、それは国に関係なく皆で考えるべき問題なのは確かなのであって、その部分だけ同意できれば、あとは各々のやり方で問題に向き合っていければ良いのだと思います。「こうしなければいけない」って話になると、ポリコレ棒や自粛警察みたいな話になるのであってね。

とはいえ、F1が基本的にヨーロッパ至上主義的な文化で歴史を重ねてきたモノであるのも確かなので、こうしたアピールの先に、F1自体がどう変わっていくのか、それともアピールだけで終わっちゃうのか、というのは注目したいところ。

しかしなんだ、フジテレビNEXTの中継ではこの「WE RACE AS ONE」の話題には触れようとしてませんけど、それってなんか意図的なものなの?