大須は萌えているか?

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F1[20] オーストリアGP 決勝

フェルスタッペンが早々に姿を消したあたりでは「あーもうこれ退屈なレースになっちゃうな」と思ってたんですけど、終盤に嵐のような展開が待っていました。F1オーストリアGP決勝。

予想外すぎる表彰台

ポールのボタスがそのまま勝ったのは想像の範囲内として、浮上のきっかけなんて無さそうだったフェラーリルクレールが2位、そしてマクラーレンのノリスが開幕から表彰台に載ってくるのは予想外すぎました。ていうか、チェッカーを受けるコトができたのは全20台中のわずか11台。これだけマシンの信頼性が高くなった近年のF1においては、記録的なリタイア率といえます。

そんな荒れたレース展開だったので、ルクレールやノリスの表彰台は運に恵まれたところももちろん有ったワケですが、それ以上にドライバーの力も光りましたね。ルクレールは「F1でのベストレースのひとつ」と自画自賛、特に最期のセーフティカー明けからの猛プッシュは凄かったですねえ。マシンのポテンシャルはやはり今ひとつだったんですが、腐らずミス無くペースを維持し、最後の勝負所を外さずきっちり仕事をしてみせたところは、ホントに「エース」の貫禄を感じます。しょうもないミスしてスピンした挙げ句、レース後に「スピンしたのが1回だけで良かった」とマシンの不安定さを愚痴っていたベッテルとは次元が違います。

'I'm happy I spun only once', says Vettel after describing Ferrari as undriveable in Austria | Formula 1®

ノリスもルクレールには先に行かれてしまったものの、ハミルトンの5秒ペナルティを受けて最後の最後に猛プッシュ、ファイナルラップにファステストを叩き出してハミルトンの5秒以内にねじ込んできたのはシビれました。これが火事場のバカ力というヤツか。若いドライバーだと、ともすれば力が入りすぎてミスしてしまいそうなシチュエーションですが、お見事でしたね。ノリスは史上3人目に若い年齢での表彰台フィニッシュ(1位はフェルスタッペン、2位はストロール)……ってことは、イギリス人ドライバーとしては最年少のポディウム。ある意味、母国の先輩であるハミルトンが舞台を整えてくれた感じ?

表彰台以外もわりと予想外

トップ3より下に目を向けてもなかなかの予想外ぶりで、予選では存在感の無かった(失礼)ルノーのオコンが復帰初レースで8位ポイントゲット。そのオコンよりもさらに予選で低迷していたジョビナッツィが9位。ホンダ勢で唯一ポイントゲットしたガスリーも、予選から5つポジションを上げての7位フィニッシュ。てか、ジョビナッツィがちゃっかり(?)ベッテルより前でフィニッシュしてるのウケますね。

ハミルトンは5秒ペナルティを喰らって4位フィニッシュがやっとという状態で、予選・決勝ともにペナルティに翻弄されるレースとなってしまいました。アルボンとの接触は確かにハミルトンの方に非があるとは思いましたが、レーシングインシデント扱いかなーと思っていたので、サクッと5秒ペナルティが出たのは少々驚き。しかし、それでアルボンが救われるものでもありませんが……。

アルボンが2度目のセーフティカーのタイミングでソフトに履き替えたのはギャンブルだけど面白い作戦でしたよね。川井ちゃんが言っていたように、もし後ろの集団がみんなステイアウトを選んでいた場合、4つくらいポジションを失う恐れがあったので、レッドブルもなかなか豪胆だなあと。結果的にマクラーレンの2台とルクレールもピットに入ったので、1つポジションを失うだけで済みましたけど。もしハミルトンとの接触が無ければ、ホントにアルボン優勝もあったかもしれない。

アルボンは急いで仕掛けるコト無かったのでは、という見方もありますが、レッドブルがストレートでメルセデスを仕留めるのはかなり困難であり、仕掛けるならコーナーの立ち上がり、それもできればハードタイヤがまた十分に暖まっていないタイミングが望ましいワケで、そういう意味では早々に仕掛けにいった判断は正しかったように思います。ホント惜しかった……。

逆に、ペレスにしてみたらレッドブルのこのギャンブルはちょっと恨めしかったでしょうね。これによりマクラーレンフェラーリもピットに入り、逆にアルボンの前を走っていたペレスはピットに入り損ね、結果的に新しいタイヤを履いた後続にやられてしまったワケなので。セーフティカーが連発するレースでは、こんな風に「前を走っているほうが損をする」シチュエーションも生まれてしまうんですよねえ。

同じ場所で2週連続開催ゆえの面白み

来週もまたここレッドブルリンクでのレースが開催されるワケですが、ある意味同じ場所で2週連続開催されるがゆえの面白さというのも出てきそう。というのは、このサーキットの縁石は毎年いろんなマシンのトラブルを引き起こすコトで有名なのであり、今年もメルセデスが深刻なトラブルを抱えていたようなので。しかも、ボタスとハミルトンの2台とも。

"The situation was pretty serious, right away from the start," Mercedes team principal Toto Wolff said when asked by Autosport about the issues. "We saw it started with issues on Valtteri's car, but it was something that can be an instant kill. Then it started on Lewis's car. We didn't really know what it was.

via: Bottas: Austria GP win not easy as Mercedes feared "instant kill" gearbox issue - F1 - Autosport

レースの序盤から問題が見えていて、しかもそれが即死レベル(instant kill)だっていうんだから穏やかじゃありません。それが縁石によって起きる振動と関連していると見て取り、両ドライバーに「縁石を使うな」と支持していたワケですが、そうなると次のレースでも同じ問題が起きる可能性は大いにあります。

もちろんチームとして対策を入れてくるでしょうが、果たして次のレースではメルセデスの2台が最初から最後まで縁石をゴリゴリ使ってかっ飛ばせるのか?というのは興味をそそるポイント。

もちろん、早々にフェルスタッペンを電気系のトラブルで失ってしまったレッドブル・ホンダ陣営も急いで対策をしなければならない立場ですが、次も同じサーキットゆえまた同じトラブルが出るかも知れない、でもじっくり対策を考えている時間も無い……てな感じで、各チームの対応力が問われるシチュエーションは興味深いですね。同じサーキットで連続開催なんて退屈でしょう、なんて思ったりもしましたが、これはこれでアリかもしれない。

フェラーリメルセデスよりマシンの信頼性はありそうですが、いかんせん絶対的なスピードが無い。決勝でのルクレールを見ると、コーナーではまだ勝負する余地が多少なりともありそうですが、ストレートが遅い。ビノット曰く、予選でポールから1秒遅れているうちの3割はコーナリング、7割がストレートだと。

"If I looked at yesterday's qualy, compared to the pole, we are missing a second," Binotto said.

"Of the second, three-tenths in cornering, in what I was just speaking about. But then there is still seven-tenths on the power unit on the straights.

via: Ferrari losing 0.7 seconds per lap in F1 power unit performance - F1 - Autosport

これは正直急いで対策を入れる、なんてレベルの話ではなく、ビノット曰くエンジン開発は凍結されているし、ドラッグ対策もすぐにできるものではない、と。今回はレース展開のアヤとルクレールの奮闘で2位をもぎ取れましたが、次はそう上手くはいかないでしょうねえ……。

あ、あとライコネンのタイヤ脱落事故を起こしたアルファロメオは5,000ユーロ(約60万円)の罰金みたいですね。

Alfa Romeo handed €5,000 fine for Raikkonen wheel incident | Formula 1®

この手の事故だと、過去にはもっと高額な罰金が科されていたような気がするんですが、コロナ渦の状況で手心が加えられたんですかね?ただ、もし同じミスを繰り返したらもっと高くなるんでしょうけど。