大須は萌えているか?

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F1[20] シュタイアーマルクGP 決勝

さすがに前戦のような波乱は無かったですね。これでもし予選がドライで行われていたら、かなり退屈なレースになっていたに違いない……という気もした、F1シュタイアーマルクGP決勝。

今年もドイツの科学力は世界一ィィィィ

メルセデス完勝でしたね。こういうとき、ハミルトンは絶対といって良いくらい「楽なレースじゃ無かった」と口にするんですが、

LH: Thank you. It’s never easy. It was a challenge this weekend, especially with the Red Bulls really picking up their pace on Friday and we obviously had some sort of issue that we were able to rectify from Friday afternoon. Nothing major.

via: FIA post-race press conference - Styria | Formula 1®

いやまあ確かに金曜日にはハミルトンは思わぬ不調に見舞われたりもして、必ずしも順風満帆な週末では無かったかもしれませんけど、決勝でボタス共々レッドブルを寄せ付けない速さを見せての1-2フィニッシュですからね、「ああ、今年もメルセデスイヤーか」と思わせるには十分過ぎるほどの内容でした。

金曜日の遅れをすぐに取り戻してきたり、前戦で懸念のあった電気系のトラブルも今回しっかり対策してきてトラブルの兆候なんて微塵も無かったり、

LH: No, it wasn’t a problem today. The guys did a great job during the week, understanding what the issue was.

via: FIA post-race press conference - Styria | Formula 1®

この問題があってもすぐにリカバーできるってのがメルセデスの最大の強みですよね。それにパフォーマンスの伸びしろもまだまだあるようで、開幕前はレッドブル・ホンダもけっこう自信ある感じだったのに、それを上回るような進化をしてきた。この驚異的とも言える開発力は、ホンダの田辺TDも認めざるを得ないようです。

F1シュタイアーマルクGP決勝|ホンダPU勢は4台中3台が入賞……田辺豊治F1テクニカルディレクター「メルセデスとの差を痛感した」

開幕前は「メルセデスは既に熟成しきっていて、開発の伸びしろは少ない」みたいなコトも言われてましたが、どんだけの引き出しを持ってるんだって話ではあります。そもそも、昨年フェラーリの思わぬ躍進があったもんだから「メルセデスはすでに頭打ち」って印象が生まれてしまいましたが、フェラーリの躍進自体がちょっと怪しい感じになっちゃいましたしね。ていうか、PU開発が凍結されてて、来年も同じマシンで走るってコトは、少なくとも来シーズン一杯まではメルセデスの地位は安泰、というコトにもなりそうな……。

もちろん、すべての開発が凍結されているワケではないので、レッドブルにも可能な限り頑張って欲しいところではあるんですけど、いやしかしけっこう埋めがたい差があるような……。フェルスタッペンも、今回のレース結果にショックを隠しきれない様子ですしね。ハンガリーで状況がどう変わるかも観てみたいところですが、はてさて……。

泥沼のフェラーリ

もはやセカンドグループに埋もれてしまった感もあるフェラーリですが、今回は早々に同士討ちを演じてしまいダブルリタイヤという、今のフェラーリを象徴するかのような最悪の結果となってしまいました。このクラッシュ、なんかベッテルが楽観的にインに入ってってルクレールとぶつかったようにも見えたんですけど、コメント観るとルクレールがめちゃくちゃ謝罪してますね。

“I apologised [to Vettel],” said Leclerc, taking full responsibility for a move he agreed was too optimistic. “Obviously excuses are not enough in times like this. I am just disappointed in myself. I’ve done a very bad job today. I let the team down.

“I can only be sorry, even though I know it’s not enough. I hope I will learn from this and we will come back stronger for the next races.”

via: ‘I let the team down’, says Leclerc as he accepts blame for first-lap clash with Vettel | Formula 1®

改めて接触シーンを見てみると、ベッテルは左側にもマシンが居て、行き場の無い状態だったのが見て取れますね。ルクレールベッテルのイン側が空いていたので反射的にノーズを入れていったような感じですが、ベッテルが右にターンインを始めていたタイミングだったコトを考えると楽観的な判断でした。

All the Angles: Vettel and Leclerc collide in Styria(動画)

クラッシュシーンを見て、つい反射的に「またベッテルか!」って思っちゃいましたけど、確かにこれはベッテルを責めるべきものではないですね……なんか最近ベッテルに偏見を持ってしまって良くないなあ。

ルクレールがすぐに非を認めて謝罪したコトで変な騒動には発展しなさそうですが、そうでなくともパフォーマンス不足のフェラーリに取ってみれば、データを取るコトすらできないままサーキットを後にするというのは散々といって良いですよねえ。

こんな調子だと、いずれビノットの去就問題にも発展しかねない気もしますが、なにせ2022年のまでは基本的に同じマシンで戦わないといけないってのが痛恨過ぎますよねえ。一応、エアロのアップデートはだいたい凍結されずに済んでいるようですし、凍結された部品も開発トークンを使ってのアップデートは認められるみたいですけど、その数は2つだけみたいなので、それで抜本的な開発ができるのかどうか……。

F1マシンの開発凍結導入で、チームの支出はどう削減されるのか?

やっぱり速いぞレーシングポイント

ウェットの予選で思わぬ低迷を喫したレーシングポイントですが、やっぱりドライになると速いんですねえ。予選アー17番手に沈んだペレスの怒濤の追い上げ劇は、上位陣の見所が少なかったこのレースの一番の注目点でしたね。ペレスはDriver of the dayにも選ばれたし。

ペレスはレース終盤にアルボンと接触してフロントウィングを破損してしまい、チェッカー目前でスローダウンしていましたが、ノリスに抜かされたもののそれ以上は順位を失わずに済んだのは不幸中の幸い。これでストロールもペレスの前に出ていたら、さすがにペレスが気の毒でしょう。

I was 'very lucky' to only lose one position on final lap admits Perez after Albon clash | Formula 1®

しかし、セカンドグループの中でも際立つ速さを見せているだけに他チームからのチェックも厳しいらしく、ルノーからマシンの合法性についての抗議が提出されたみたいですね。元々、外見が昨年のメルセデスそっくりだと言われているマシンですが、チームが独自に製作しなければならないハズの前後ブレーキダクトがメルセデスからの流用品なのではないか、というワケです。

A decision from the stewards on Sunday night deemed Renault’s protest admissible, with an analysis on the legality of the Racing Point car appearing to focus on the front and rear brake ducts of the RP20. The stewards have impounded those parts from Stroll and Perez's cars in preparation for analysis, with Mercedes ordered to provide the same parts from the 2019 W10 for comparison.

via: Renault launch protest regarding legality of Racing Point after Styrian Grand Prix | Formula 1®

調査の結果が「黒」だったりすると、場合によってはこのレース結果から除外される等のペナルティが発生する可能性もありますが……そうなると、ルノーのリカルドの順位が2つ繰り上がるコトになるんですね、なるほど。

これでブレーキダクトを再設計しなければならないとしても、正直マシン自体のパフォーマンスに大きな影響は無いんじゃないかって気もしますが、もし他にもこっそりメルセデスから流用しているパーツがあるとかって話になると、ちょっと影響があるのかも。

まーしかし、この手の騙し合いもF1の風物詩と言いますか、生き馬の目を抜くセカンドグループの中でどうやって相手を出し抜こうかという駆け引きにはワクワクせざるを得ません。ルノーも、このカードを切るタイミングを見計らっていたんだろうなー。……これでもしレーシングポイントが「白」だったらごめんなさい。

そのほか

なんとか4位フィニッシュを飾ったアルボンですが、フェルスタッペンとの差を考えるとちょっと厳しい感じしましたね。アルボンがかなり遅れてしまっていたせいで、メルセデスが楽にレース出来たというのもありますし。そろそろタイトル奪還を視野に入れたいレッドブルにしてみたら頭の痛い問題じゃないかと思うんですが、事と次第によってはベッテル復帰もあり得るのか、あるいはガスリーと再度シートをスワップする可能性はあるのか、F2の角田がメチャクチャ活躍してレッドブルトロロッソのシートを掴んだりするコトはあるのか、とかそれはそれで妄想が膨らんでしまい困ったものです。

セカンドグループでの躍進著しいのはレーシングポイントだけでなく、マクラーレンも同様。昨年も「ベスト・オブ・ザ・レスト」のトップに輝いたチームではありますが、今年は昨年よりさらに強力になっている感じしますね。今回サインツはピットミスで順位を落とす悔しい展開になりましたが、代わりにノリスが5位入賞。ドライバーズランキングは3位という上々の滑り出し。

レーシングポイントは、ペレスはともかくストロールにはそこはかとない不安要素があり、ノリスとサインツがコンビを組むマクラーレンの方が安定してポイントを獲得できそうなのは間違いないでしょう。まあ、ストロールも今年はかなり気合いは入っているみたいなので、意外な活躍を見せてくれるかもしれませんが。