大須は萌えているか?

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F1[20] シュタイアーマルクGP 予選

シュタイアーマルクってなんぞや?と思ったら、レッドブルリンクのある州の名前らしい。日本で言うと、「日本GP」やったあとに「三重GP」をやるようなもんでしょうか(なんか違う)。英語だと「スティリア(Styria)」と言うらしく、英語の記事なんかは皆「Styrian Grand Prix」と表記してますね。こっちのほうが書きやすいな……。てなワケで、レッドブルリンクでの2週連続開催の2戦目、シュタイアーマルクGP。

圧巻のハミルトン

土曜日の現地天気予報が大荒れの予報であり、実際問題FP3は大雨でセッションがキャンセルされてしまったため、これはもしかすると鈴鹿以来の予選・決勝同日開催か……と思ったりもしましたが、40分チョイのディレイの後になんとかQ3までセッション行えましたね。

そしてその結果、ハミルトンが2位以下を1.2秒以上突き放すという圧巻のポールタイムを記録。フェルスタッペンも雨は得意なドライバーですが、ハミルトン別次元でした。フェルスタッペンは最後のアタックでのスピンが無ければもう少しタイムを伸ばせていた可能性はありますが、それでもハミルトンには遠く及ばなかったでしょうね。それは本人も認めているところ。

Last lap spin didn’t cost me shot at Styrian Grand Prix pole, admits Max Verstappen | Formula 1®

メルセデスのマシンがウェットでも高いパフォーマンスを発揮した、とも言えそうですが、しかし先週ここでポールを獲得したボタスは4番手に沈んでます。タイヤとブレーキの温度管理が上手くいかなかったといい、右フロントのブレーキがグレージング(ブレーキ摩擦面が鏡面化してしまい効かなくなる)が起きたとかなんとか。

“Part of the reason was my front-right brake was glazing throughout the qualifying so I couldn’t really maximise the potential of the car under braking which is really important for the confidence in the wet conditions. So, made it quite tricky and that’s why, so yeah, disappointing,” he added.

via: Disappointed Valtteri Bottas says 'glazing brakes' cost him shot at pole position | Formula 1®

ハミルトンはこういうコンディションでの温度管理なんかも抜群に上手いですよねえ。今回はハミルトンが走っていたポジションが良かった(他車の影響を受けにくかった)というのもありそうですが、それでも普通こんな大差は付かないでしょう。

そもそも、2020年シーズン開幕後初めてのウェットセッションであり、それをプラクティスなしでぶっつけ本番の予選アタックをするという状況を考えると、ドライバーの状況適応能力が強く求められるワケで、ある意味マシンの性能以上にドライバーのスキルが問われる状況だったワケです。その中でここまでのタイムを出して見せたハミルトンは、やはり現役最強というに相応しいドライバーでしょうね。

同じサーキットなのに順位がぜんぜん違う……

同じサーキットでの2週連続開催なので、普通に考えたら予選グリッドは同じような並び順になると想像するワケなんですが、コンディションが大きく変わったおかげで今回と先週を見比べてみると面白いくらい順位が違いますね。

特に躍進著しいのが、ルノーのオコンでしょうか。前回14番手だったのが、今回はなんと5番手。前回は久しぶりのグランプリ復帰というコトで印象も薄かったんですが、フルウェットコンディションでここまで躍進してみせたというのは、オコンのドライバーとしてのポテンシャルを感じますねえ。リカルドが9番手に留まっている中でのこの順位はお見事。

アルファタウリのガスリーは前回12番手から今回8番手。Q2ではセッション後半にどんどんコンディションが悪くなり、各車タイムアップが出来なくなっていった中で唯一タイムを伸ばしてみせ、川井ちゃんも仰天していましたね。レッドブルで成功できなかったもんだから、ちょっと残念なイメージが付いてしまったガスリーですが、この走りを見るとやっぱりセンスあるドライバーなんだなあという感じもします。実力を出せるときと出せないときの落差が激しいドライバーなんでしょうか。

そして前回17番手から、今回12番手まで上げたウィリアムズのラッセル。予選12番手は自己ベスト、前のルクレールとの差は0.008秒差です。あと少しで、フェラーリを打ち負かすところでした。ちなみにルクレールはクビアトの走路妨害を行ったとして3グリッドダウンペナルティが科されたので、ラッセルのスタート位置は11番グリッド。

Ferrari's Charles Leclerc hit with three place grid penalty for Styrian Grand Prix | Formula 1®

こうなるとラッセルがポイント獲得なるか、というのも見所のひとつになりそうですが、さすがにドライコンディションだとウィリアムズは厳しいよねえ……?前回なみのサバイバルレースになればまた話は変わってきそうですが、気温的には先週ほど暑くはならなさそうだし、さすがにそこまで荒れないのではないかな……という気もしますが。

逆に低迷してしまったのがレーシングポイント。前回は2台揃ってQ3進出、そして今週もドライだった金曜FP1ではペレスがトップタイム、FP2ではペレスとストロールが3・4番手タイムを記録するなど絶好調だったんですが、ウェットになった途端ガタガタに。ペレスはなんと17番手という結果に終わりました。ここまで極端とは……。

もちろん、ドライになれば再びパフォーマンスを取り戻すんでしょうし、決勝ではどこまで追い上げ出来るかが見所でしょう。

ハースやアルファロメオは前回とあんまり変わり映えしないですね。アルファロメオはジョビナッツィがQ1最後にクラッシュ、その後赤旗となり、そのあおりを受けてライコネンがアタックできなかったと言っており、なんいう悪循環。

フェラーリハンガリーで投入予定だったアップグレードを前倒しで持ち込んだようですが、予選順位を見る限り奏功したとは言えないようですねえ。しかも、今回はルクレールがQ2ノックアウトになってしまいました。前回はまさかの2位表彰台をもぎ取ったルクレールですが、今回はどこまでいけるか……。

今回もトラブルは起きるのか?

前回、いろんなチームでいろんなトラブルが発生してましたが、それが今回も起きるのか?っていうのも決勝の大きな見所のひとつでしょう。メルセデスのトラブルは電気的なノイズによるものだというコトですが、今週は対策を施してきているようで、金・土のセッションでも特に問題はない様子。決勝では「縁石使うな」って指示が出るのかどうか気になりますが。

レッドブルも前回フェルスタッペンが電気系のトラブルで早々にリタイヤしていましたが、アルボンも最終的に同じく電気系トラブルが発生していたんですね(ただし原因は異なる模様)。今回、アルボンのマシンには2台目のCEを投入しているようですが、金・土とも問題の再発はしていないようなので、とりあえず一安心といったところでしょうか。ホンダも可能な限りの対策は取っているようですが、根本原因を突き止めるには至っていないようなので、そこがやや不安材料でしょうか。まあ数日しか猶予が無かったワケですしね……。

そういや、前回はハースも2台揃ってブレーキトラブルを起こしていましたが、こちらは暑い状況下におけるオーバーヒートだったようで。おそらく今回の決勝は前回より涼しくなりそうなので、問題の再発は避けられるのかもしれませんが、ここから夏真っ盛りになっていくコトを考えるとちょっと怖いですね。ハースの場合、それ以前の問題としてマシンの絶対的な速さが無いっていうのをなんとかしないとダメなワケで、課題が山積み。

アロンソ復帰&さまよえるベッテル

週末に入る前のタイミングで、アロンソルノー復帰が正式に決定したと報じられてましたね。「勝てるマシンに乗りたい」と散々言っていたくせに、今やマクラーレンよりパフォーマンスが落ちるルノーで復帰するってどういうコトやねん、と思ったりもしますが、まず単純にトップチームのシートに空きが無いのと、かといってこのまま状況を見ていてもF1のブランク期間が長くなるわ自分の年齢もさすがにアレっていうのと、2022年にレギュレーションの大幅改訂が入れば状況が大きく変わるかもしれない、というところに望みを託したってところでしょうか。

ANALYSIS: The reasoning behind Alonso and Renault's blockbuster 'family reunion' | Formula 1®

結局のところ、F1に未練タラタラだったのは明らかで、「F1でもう一花咲かせたい」という思いが抑えきれなかったのでしょう。ルノーは家族だ、みたいなコメントもしてますけど、まあこれはトップチームのシートを獲得できないまま、戦闘力的には微妙なシートで復帰するコトへのエクスキューズですね(身も蓋もない意見)。

アロンソの実力自体は疑うところは無いし、彼ほどの実力者ならブランクもさして影響しないとは思います。そういう意味ではF1復帰は喜ばしいところではあるんですが、彼のコメントは政治的というか打算的というか、フラビオ・ブリアトーレから悪い影響を受けまくっているとしか思えないような側面がどんどん強くなっちゃって、人間的には魅力を感じなくなっちゃいましたねえ。

ルノーのシートが埋まったというコトは、来季の予定が宙ぶらりんになっているベッテルがどうなるのかってのも気になるところですが、状況的には「浪人」になるという確率が一番高そうですよねえ……。

DRIVER MARKET: What does Fernando Alonso’s return mean for Sebastian Vettel? | Formula 1®

ベッテルレッドブル再加入の可能性も模索しているようですが、なんせレッドブル側が明確に否定しているし。フェルスタッペンも嫌がってるし。今シーズン、アルボンが余程ガッカリするような成績しか残せないのだったら、ワンチャンある……のか?しかし、4度のワールドチャンピオンがこんな形でF1シートを失うというのは恐ろしいな……。