大須は萌えているか?

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F1[20] ハンガリーGP 決勝

雨が降ると見せかけてほぼドライっていう、なんじゃそりゃ感も拭えなかったレースでした。F1ハンガリーGP決勝。

ハミルトンは強かったけど

予選ではメルセデスPUが1-2-3-4だったもんだから、こりゃ下手すると決勝もメルセデス勢が上位独占しちゃうのかな、なんて思ったりもしたんですけど、まさかのフェルスタッペンが2位フィニッシュ。金土とあれだけマシンの挙動に手を焼き、挙げ句にレコノサンスラップでコースアウトしてサスペンションを破損してしまったのにレッドブルのメカニックがグリッド上でものの12分で修復を完了してレースに間に合わせ、そのメカニックの働きに奮起したフェルスタッペンが2位を勝ち取ったっていうんだから、なかなかのドラマです。

レッドブル・ホンダ分析:修復作業はわずか12分。一度はスタートを諦めたフェルスタッペンが見せた逆襲劇 | F1 | autosport web

あれだけ原因不明の神経質な挙動に悩まされて、しかもクラッシュしたのを突貫工事で直したマシンがなぜここまで好調な走りを見せたのかまったくもって謎なんですが、チームメイトのアルボンも13番手スタートから5位フィニッシュを飾っており、こちらもマシンの感触はかなり良かったようなので、なんか決勝の諸々のコンディションが上手くハマったんですかねえ……。いやホントなんなんだ。

メルセデスももちろん速かったんですけど、ボタスはスタートでフライングしかかって、慌ててマシンを止めてスタートシーケンスをやり直したもんだから大幅に出遅れちゃったのが痛かったですね。あれが無ければ余裕の1-2フィニッシュだったでしょう。

ボタスのスタートがフライングにならなかったのは、昨年鈴鹿でのベッテルの事例と同様、フライング判定用のセンサーが反応しなかったから、というコトのようです。

WATCH: Race Director Michael Masi explains why Bottas escaped penalty for ‘jump start’ | Formula 1®(動画)

「ボタスはフライングだったんじゃないの?」と指摘していたのが、他ならぬベッテルだったというのも面白いですが、ボタスはシグナルではなく、「ダッシュボード上の何かが消灯したのに反応してしまい、アンチストールが働いてスタートをやり直すコトになった」みたいなコトを言っていて、それが結果的にセンサーに引っかからずに済んだ理由だったんでしょうね。

I don’t know what it was something changed on my dash and I reacted to that instead of the start light and I had anti-stall, so then I had to do the start again, so I lost it there.

via: Valtteri Bottas : FIA post-race press conference - Hungary | Formula 1®

予選の悲惨さに比べれば遥かに良い結果となったレッドブル・ホンダ陣営、ホッとした気持ちもあるものの、メルセデスとの差が相当大きいのも確か。最後も、フェルスタッペンはボタスに真後ろまで迫られてましたしね。ボタスのタイヤ交換に救われた格好ですが、トト・ウォルフはボタスのタイヤがグレイニングが酷く、タイヤを換える以外にレッドブルに挑む術は無かった、と説明してますね。

Wolff: Pitting Bottas the only way to take second in F1 Hungary race - F1 - Autosport

ボタスは遅れを挽回するためにハードプッシュを続けていたので、そりゃまあ仕方ないっちゃ仕方ない。ボタスにしてみれば、ホントにスタートのミスがすべてでしたね。

予選と決勝のギャップ

レッドブルは予選より決勝が速いパターンですが、予選ほどのインパクトを残せなかったのがレーシングポイント。とはいえ、ストロールの4位フィニッシュは立派なものではありますけどね。ペレスはこれまたスタートの出遅れが響きましたね。ただ、そこからの順位の挽回が思うようにいかなかったのも確か。ストロールも手堅く4位フィニッシュはしましたが、フェルスタッペンに対してレースペースでは太刀打ちできませんでしたしね。これは2回目のピットストップで、ハードタイヤではなくユーズドのミディアムにしてしまったのも響いたかもですが。

あとはフェラーリも予選に比べパッとしない決勝でした。特にルクレールはなんか悲惨でしたね。ドライバーはなんとか踏ん張ろうとしても、どうにもならない感が。インターミディエイトのあと、上位陣は皆ミディアムにしていく中、ソフトに履き替えたのがケチの付き始めでしたね……。ベッテルルクレールに比べるとマシでしたが、それでも6位がやっと。

下位に目を向けると、ウィリアムズも予選で印象的な結果を叩き出しているのに、決勝だとテンでダメですね……。ピットアウト時に他車と接触してマシンにダメージを負ったラティフィはもうどうしようもないって感じですが、ラッセルも決勝のレースペースの弱さを嘆いております。去年は予選より決勝の方が良かったんだけど、今年は逆だと。

From then on in, our race pace was really poor, we just need to understand what is going on. Last year it was the opposite, our race pace was better than the qualifying pace. Now we are pretty fast on the Saturday and struggle a lot on the Sunday.

via: George Russell : What the teams said – Race day in Hungary | Formula 1®

考えてみれば開幕からまだ3戦しか経っていないので、各チームまだ今年のマシンを隅々まで把握し切れて無い感はありますが、とりあえずこの辺のチームは予選が良いからって決勝も良いとは限らない、って考えたほうが良さそうです。逆に、レッドブルはなんやかんや地力があるなと。もちろん、メルセデスに真っ向勝負できるかも、という開幕前の評判からすると物足りないのですが……。

そういや、ロス・ブラウンがF1公式サイトのコラムの中で、「F1において他チームのコピーは当たり前のことだ」として、レーシングポイントのブレーキ問題についても「去年はブレーキダクトはリステッドパーツではなく、レーシングポイントは2019年スペックのメルセデスのブレークダクトにアクセスし使うことができた。それを今年になって綺麗さっぱり忘れることなんてできないだろう。これはトリッキーな問題で、FIAの専門家が解決すべきだ」みたいなコメントしてますね。

Last year, Racing Point had access to, and could use, 2019-spec Mercedes brake ducts because they were not a listed part. This year, brake ducts are listed parts, so you have to design your own.

However, Racing Point cannot forget the knowledge they acquired using the 2019 Mercedes brake ducts. I think it is illogical to think they can wipe their memory banks. It is a tricky problem and one for the FIA experts to resolve.

via: The Ross Brawn column: Copying in F1 is standard – Racing Point have just done a more thorough job | Formula 1®

ロス・ブラウン自身、長年F1のトップチームで辣腕を振るったエンジニアなので、「お前らなにヌルいコト言ってるんだ、生き馬の目を抜くF1の世界だぞ?」とでも言いたげな感じですが、いやまあ確かにそれはその通り。今年のレーシングポイントはガワを去年のメルセデスに寄せすぎて、あまりに露骨すぎるがゆえにいろいろ言われてますが、他チームのボディワークで効果がありそうだ、と思ったらすぐにコピーするのがF1チームです。

川井ちゃん曰く、ブレーキダクトをリステッドパーツにするよう働きかけたのはルノーだったそうなので、ある意味こっちはこっちで罠を仕掛ける気満々だったのかもしれませんが。ブラウンの言い方だと、レーシングポイントが結果的にメルセデスのブレーキダクトをコピーしているのは間違いないとも解釈できるワケで、そうなるとルノーの提訴の結果はどうなるの?っていうのは気になるところです。なお、今回のレースでもルノーは同じ内容の提訴をしたみたいですね。いやはや。

ルノーF1、ハンガリーGPでもレーシングポイントのブレーキダクトに抗議 | F1 | autosport web

結果オーライなハース

フォーメーションラップでピットに入り、ドライタイヤに変えるコトで順位を稼いだハースの2台ですが、事前の打ち合わせで無線交信なしにピットに入ったのかと思いきや、めっちゃピットが指示していたんですね!

チームはふたりのドライバーに対し、フォーメイションラップ中に無線で指示を行い、それが第27.1条の「ドライバーは一人で援助なしに運転しなければならない」という規則に違反したと判断された。チームは決勝中にはドライバーに指示を行うことができるが、スタート前にはそれが許されない。

via: ハースF1、フォーメイションラップ中のドライバー援助でペナルティ。2台が降格に | F1 | autosport web

これにより、レース後に2台とも10秒のタイムペナルティが加算されたものの、マグヌッセンは10位に留まり1ポイントを獲得。正直、今のハースの実力だと、まともに戦っていた場合ポイント取れていたかは非常に怪しいので、結果的には得してますよねコレ。ピットがそこまで読んで指示していたのか、それともこの規則を忘れていたのかは知りませんが。

コンストラクターズチャンピオンシップでは、これでアルファロメオ2ポイント、ハース1ポイント、ウィリアムズ0ポイントと熾烈な争いが繰り広げられているため、1ポイントでも獲得するコトは非常に重要。予選で光るところを見せているだけに、ウィリアムズにも頑張って欲しいところですが。