少し前から、Windows・Mac環境で使っているブラウザをChromeからMicrosoft Edgeに乗り換えました。このブログの記事を読み返してみると、2013年にメインブラウザをFirefoxからChromeに乗り換えたって話を書いている(⇒ Firefoxから止むを得ずChromeに乗り換える際のカスタマイズ - 大須は萌えているか?)ので、7年ぶりにブラウザを乗り換えるコトになったみたいです。
Chromeに不満があったワケではないんですが、きっかけなったのは以下の記事。
今夏に基本ソフト(OS)「ウィンドウズ10」搭載のマシンで提供が開始されたマイクロソフトのブラウザー「Edge(エッジ)」の最新版は、「クロニウム」と呼ばれるクロームと同じ基本技術が使用されているが、ウィンドウズコンピューターのRAMやバッテリーの消費が少ない。この新バージョンは、現在アップルのパソコン「Mac(マック)」でもダウンロード可能だ。
そういえば、Microsoftもついに独自のブラウザエンジンを放り投げて、Chromiumベースに乗り換えたんでしたね。今まで全然試してなかったんですが、Chromeとの互換性があって、かつメモリやバッテリー消費量が少ないなら使ってみる価値あるかも……というコトで、Windowsデスクトップ機とMacBook Proにそれぞれインストールして試してみたんですね。
そしたら、自分が使用している拡張機能はほぼそのまんま問題無く動くし、メモリの消費量も確かにChromeより少ないように見受けられ、かつWindowsでもMacでも動くため、ほんならこっちの方が良いじゃんと。Mac環境ならSafariも悪く無いんですが、Safariは拡張機能が弱いのと、Mac・Windowsで共通のブラウザを使いたいっていう自分のニーズからは外れちゃうんですよね。iOSではSafariメインですけど。
なぜEdgeのがメモリ消費が少ないか
Edgeのメモリ消費量が少ない理由について、Windows10環境においては「セグメントヒープ」と呼ばれる機能への対応有無があるようで。
セグメントヒープは、Windows 10 May 2020 UpdateにてWin32アプリでも利用可能となった機能。メモリ領域を動的に確保でき、メモリ使用量の削減などが期待できる。May 2020 Updateに標準搭載されているMicrosoft Edgeではすでにセグメントヒープが組み込まれており、最大27%の省メモリ化を実現している。
Chromeもこの機能に対応してメモリ使用量削減を考えていたようなんですが、実装が見送られてしまったようです。Googleにとっては痛恨でしょうね。WSJの記事におけるバッテリー駆動時間のグラフにおいて、Windows10のノートPCで約1時間も駆動時間に差が出てしまうのも納得がいくところ。ただ、MacBookでもややEdgeの方が有利になっているので、Edgeに乗り換えて損するコトはないかなーと。
Edgeへの設定引き継ぎと拡張機能の注意点
他のブラウザと同様、Edgeもインストールすると他のブラウザから設定をインポートでき、Chromeから設定を引き継ぐとブックマークや履歴、保存したパスワード、拡張機能もまとめてインポートできます。Edgeは独自の拡張機能ストアページを用意していますが、ChromeのストアページからもChrome同様に拡張をインストール可能。Chromeから拡張を引き継ぐ際、同名の拡張がEdgeのストアにあればそちらからインストールし、無ければChromeのストアからインストールしているようです。
この引き継ぎ機能のやっかいなところは、同名の拡張であればお構いなしにEdgeストアにある拡張を優先してしまうところ。今までChromeでCreate Linkっていうリンクタグ等を生成してくれる拡張を使っていたんですが、これをEdgeに引き継いだところ、Edgeのストアにある同名で別物の拡張に置き換わってしまい面食らいました。これは、Edgeの拡張を削除して、改めて手動でChromeのストアからインストールするコトでなんとかなりましたけど。
あとは、ブラウザアプリとして使えるMarkdownエディタであるStackEditの拡張がEdgeだと動きませんでしたが、これはブラウザでStackEditの画面を開き、アプリ化(Chromeと同様、特定のWEBページを単体のアプリとして登録できる)するコトで解決しました。Windows環境で使えるMarkdownエディタとしては、これを超えるものが未だに見つからない……。
Edgeの検索エンジン設定
Edgeの場合、デフォルトの検索エンジンがBingになっていますが、これは[設定] - [プライバシーとサービス] - [アドレスバー] - [アドレスバーで使用する検索エンジン]から変更可能。また、[検索エンジンの管理]でよく使う検索エンジンに短いキーワードを付けておけば、アドレスバーに「検索エンジンのキーワード+半角スペース」と打ち込むコトで検索エンジンを切り替えられるので便利です。これもChromeとおんなじ機能ですけど。
あと、新しいタブで開く検索ボックスは上記の設定に関わらずBingになってしまいますが、[新しいタブでの検索、検索ボックスまたはアドレス バーを使用する]のオプションを[アドレスバー]にしておけば、検索ボックスに文字を打ち込んだ瞬間にアドレスバーにフォーカスが移り、そのままアドレスバーでの検索になります。MicrosoftはBingに「推奨」の文字まで付けて、なんとかBingを使わせようと必死なんですけども。
あるいは、新しいタブページをカスタマイズする拡張を入れちゃうのが一番手っ取り早いかもしれませんけどね。
Edgeのコレクション機能
Edgeの主立った機能はChromeと同等であり、メモリ使用量とかを気にしないのであればわざわざChromeから積極的に乗り換える理由も無いような気もするんですが、ひとつだけ目に付くEdgeの独自機能があります。それが「コレクション」機能。
Microsoft Edge のコレクションを使用してアイデアを整理する
要はちょっと進化した「お気に入り」みたいなイメージで、トピックごとにWEBページのリンクを保存したり、そこにメモを付け加えたりできる機能。コレクションに加えたページをまとめて開くコトもできるので、仕事で調べ物をしているときなんかに作業状況をコレクションにまとめて、後日改めて作業再開するときなんかに便利そう。
コレクションの内容をWordやExcelにエクスポートするコトもできますが、これはローカルのファイルとして出力されるのではなく、OneDriveに「Microsoft Edge Collections」っていうフォルダが作成され、そこに出力されていく仕組みのようです。なんでOneNoteが無いのか不思議ですが。ともあれ、Microsoftアカウントへのサインインが必要ってコトですね。
複数のデバイスでEdgeを使い、その設定を同期させたい場合もMicrosoftアカウントでのサインインが必要なので、Microsoftアカウントを持っておらず、これからも作る予定は無いって人にはオススメし辛いかも。逆に、Microsoftアカウントを持っている人なら気軽にChromeから乗り換えが可能です。
ただ、iOS版のEdgeにはこの「コレクション」機能が無いようなのが残念。スマホとも同期できたら便利なんですけどね。
そんなこんなで
ChromiumベースのEdgeが思いの外Chromeから違和感なく乗り換えられる……というか、「検索エンジンをBingに差し替えたChrome」という気がしないでもありませんが、ちょいとした独自機能もありつつパフォーマンスも良いというコトで、日頃Chromeを使っていてMicrosoftアカウントを持っている人なら試してみる価値はあるんではないかと思います。
EdgeはWindowsのデフォルトブラウザという強みもあるワケで、このデフォルトブラウザがChrome互換の機能を持っているとなれば、今までだったら新しいWindows環境を構築するたびに「さてChrome入れるか」とやっていたのが、Edgeを立ち上げてMicrosoftアカウントでサインインすればOKになる、というユーザーにとってのメリットも生じるワケです。ある意味、Chromeの機能に乗っかるコバンザメ戦法とでも言うべき非常にセコい戦法ですが、独自エンジンにこだわるよりもMicrosoft・ユーザー双方にとってのメリットも大きいんですよね。
ただ、これでEdgeが着実にシェアを伸ばしていくとなるとGoogleも黙ってみているとも思えないんですが、さてどうなるのか……。