大須は萌えているか?

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F1[20] イギリスGP 予選

メルセデス向きのサーキットとはいえ、この差はなかなか……F1イギリスGP予選。

シルバーストーンですので

メルセデス2台がフロントロウ独占。まあそうなるな。メルセデスはこれで2013年から8年連続でイギリスGPポールポジションを獲得したコトになり、同一サーキットでの8回連続ポールという記録はF1史上初だそうで。そしてハミルトンはシルバーストーンで7回目のポール。今回ハミルトンは3番手のフェルスタッペンに1秒の差を付けており、まさに圧倒的。

F1公式サイトに、2013年と今回のハミルトンのポールラップを比較した動画が上がってますけど、こうして見るとこの7年間でもF1マシンってめちゃくちゃ速くなってますね。タイムの上がり幅は5秒以上にもなります。あと、今年のマシンの修正舵の少なさも際立ってますね。

WATCH: The incredible difference between Hamilton’s 2020 Silverstone pole and his 2013 one | Formula 1®(動画)

シルバーストーンはマシンの総合力が問われるサーキットだと良く言われますが、この結果を見ると今年もメルセデスのマシンが突出しているという事実がこの上なく浮き彫りになってしまっている感じあります。昨年のタイムと比較するとハミルトンが0.7秒、ボタスが0.4秒ほど縮めてますね。一方でフェルスタッペンはわずかながら昨年よりタイムを落としてしまっており、これがこの差になっちゃってると。メルセデスの進化と、レッドブルフェラーリの「退化」のダブルパンチの結果ですねえ。

決勝もハミルトンとボタスの同僚対決になりそうな雰囲気ですが、強いて不安要素を挙げるのとするならば、Q2でハミルトンがまさかのスピンを喫したように、名手といえども風の影響でマシンの挙動を乱してしまう可能性はそれなりにあるコト、あとはハミルトン車に2基目のMGU-Kが投入されたのを見るにメルセデスの信頼性も絶対的なモノでは無いコト……とはいえ、MGU交換はあくまで「予防的措置」だそうなので、あんまり期待しないほうが良いかも。

レッドブルフェラーリ、堅調な2人と焦る2人

レッドブルはフェルスタッペンが3番手に入った一方でアルボンはガスリーにも負ける12番手に留まり、フェラーリルクレールが4番手と気を吐いた一方でベッテルは10番手がやっと、とチームメイト同士で明暗が分かれる格好に。

アルボンはFP2・FP3でクラッシュやマシントラブルがあり、周回数を十分にこなせなかったという問題もありますね。イギリスに持ち込まれたアップデートでマシンの感触は良くなってきたようですが、神経質なキャラクターは相変わらずのようで。そこに風の影響を受けやすいコンディションが重なり、アルボンとしては不完全燃焼だったところもありそう。こういうとき、どういう状況でも起用に乗りこなしちゃうフェルスタッペンのチームメイトという立場は辛いですねえ。

このイギリスからアルボンのレースエンジニアがサイモン・レニーという人に変わったみたいですが、この方かつてライコネンに「Leave me alone」と言われた方だったんですね。

F1 Topic:アルボン担当の新エンジニアは、かつてライコネンから"あのセリフ"を言われたベテラン | F1 | autosport web

レッドブルに移籍後、長らくリカルドのレースエンジニアを務め、2019年からはレース現場から離れファクトリー勤務をしていたとのコトですが、そんな彼を現場に呼び戻したというのはチームとして結構重い決断だったんじゃないかという気も?クリスチャン・ホーナーはアルボンのバックアップに全力を尽くす、みたいなコトも言ってましたけど、この人事もその現れでしょうか。ここから、アルボンの調子が上向いていくと良いんですけど。

フェラーリルクレールが4番手というは、フェラーリの状況を考えるとポール獲得に等しい成績ですねえ。フェラーリPU自体が非力で、マシンもドラッギーだと言われているだけにシルバーストーンは相当苦戦するんじゃないかと思ったんですが、まさか2列目に飛び込んでくるとは。

逆にベッテルは全然波に乗れていない感じで、本人も「クルマはそんなに悪く無かったけど、しっくりこなかった」みたいなコメントしてますね。フリー走行では、足下のペダルだかがグラつくと訴えてピットでメカニックが大わらわになってたりもしましたけど、なんかチームとの不協和音がどんどん大きくなってきている感じがしてコワい。

ベッテルって「チームから最大限のサポートを得られている」と確信できないと実力を発揮できないタイプ、なんてコトをレッドブル時代にリカルドに負けているときにも言われてた気がしますが、今の状況はなんかあのときとダブって見えるんですよね。かつてのミハエル・シューマッハは、チームの組織を自分に向けたものに造り替えてしまうくらいの力を持っていたように思いますが、ベッテルにはそういう「コース外での力」が足りない気がしますね。

ドライバーからも陽性者が出てしまいましたが

イギリスGP開始直前になって、レーシングポイントのペレスがコロナ陽性判定が出てレースに参加できなくなったのはビックリでした。ハンガリーからイギリスの間に母親の見舞いでメキシコに戻ったようなので、その道中のどこまでもらってきた可能性が高そうですが、飛行機もプライベートジェットを使うなど念を入れていたそうなので、まあホントどんなに気をつけていても、感染するときはするとしか言いようが無い……。

そしてペレスの代役として指名されたのがヒュルケンベルグ。レーシングポイントはメルセデスリザーブドライバーであるバンドーンとグティエレスを起用する権利も持っていたようですが、バンドーンはフォーミュラEレースとの兼ね合いで起用が難しく、グティエレスも実戦からずいぶん遠ざかってしまっているため、つい最近までF1に乗っていて、かつこのチームのコトを良く知っているドライバーというコトでヒュルケンベルグに白羽の矢が立ったようです。

【気になる一言】レーシングポイント代表、代役ヒュルケンベルグの陰性結果が出たのは「セッション開始15分前だった」 | F1 | autosport web

にしても、木曜の午後にオファーを受け、そこからイギリスに向かって夜にシート合わせやらコロナの検査をし、セッション開始直前に陰性結果が出たというのはなかなか凄まじいスケジュール。前回ハンガリーのグリッド上でギリギリのタイミングでフェルスタッペンのマシンを修復してみせたレッドブルカニックも見事でしたが、今回のヒュルケンベルグの復活劇もそれに劣らぬドラマですね。

ただ、ぶっつけ本番であるコトには変わりが無いので、予選でQ2敗退となってしまったのは致し方ない感じはします。ぶっつけで初めてのクルマに乗るのを「テン乗り」とも言うらしいですが(元は競馬用語らしい)、このテン乗りに関するデータをまとめた記事なんかもあって興味深いです。

データを見ればわかると思うが、予選でもレースでも、テン乗りとなったドライバーはチームメートよりも厳しい戦いが強いられている。特に予選は5勝19敗と大きく負け越している。これはわずか2日間でF1マシンを限界で走らせることがいかに難しいかを物語っている。

via: 【F1データ主義】代役に乗り替わり、シーズン途中の初レース成績を比較。ヒュルケンベルグの決勝に光明 | F1 | autosport web

そういう意味では、今回もきっちりQ3に駒を進めて6番手タイムだったストロールは勤めを果たしたと言えそうですが、決勝でこの位置関係がどうなるか、というのは興味深いところ。

ペレス自身は無症状のようで、健康面に問題は無いようですが、少なくとも来週のレースにはまだ出られないでしょう。今回と次回のシルバーストーンで、ヒュルケンベルグがどこまでの走りを見せてくれるかというのはちょっとした見どころですね。