大須は萌えているか?

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F1[20] ベルギーGP 決勝

レースの早いタイミングで入ったセーフティーカーがピット戦略を狂わせ、レース後半の展開を少々興味深いモノにしてくれた気がします。セーフティーカーの原因となったクラッシュ自体は肝が冷えたけど。F1ベルギーGP決勝。

動けなかったフェルスタッペン

メルセデスが盤石の1-2フィニッシュ。そしてハミルトンの完勝でした。まあ、あの予選の完璧なアタックを見たときからそうなるとは思ってました。ボタスはPUのオーバーテイクモードを使って良いかエンジニアに尋ねて、「でもそれはお互い同士には使わないって決めたよね」と返され「聞いてないよ!」とダチョウ倶楽部みたいなコトを言っているシーンもありましたが、トト・ウォルフ曰くコミュニケーションミスだった、というコトだそうです。決勝の朝、オーバーテイクモードは使用頻度に限りがあるから、フェルスタッペンなんかが仕掛けてきた時のために温存したいので、チームメート同士のバトルでは控えようね、という話し合いをしていたようなんですが、それが間違って解釈されてしまったようで。

Mercedes explains Bottas “miscommunication” over Spa F1 overtake modes - F1 - Autosport

ボタスにしてみれば、チャンピオンシップでなんとか挽回するためにハミルトンに追い付きたいのに、DRS圏内に届きそうで届かない状況に苛立って記憶を都合良く改ざんしてしまった可能性があるよーな気がしないでもないですが。人間、追い込まれると都合良く記憶がすり替わるコトって良くあるじゃないですか(?)。

そうしてメルセデスに警戒されていたフェルスタッペンですが、今日は勝負を挑める状況じゃ無かったですね。メルセデスの2台とフェルスタッペンはミディアムスタートだったので、第1スティントをなるべく引っ張る作戦にしたかったハズだったんですが、10周目にセーフティカーが入っちゃったもんだから思いの外早くタイヤ交換せざるを得ず、結果としてそこからはハードタイヤを最後までマネージメントしながら走り切るコトを優先せざるを得なくなっちゃったワケですね。

フェルスタッペンはタイヤのデグラデーションに苦しんでもいたようで、レッドブルは2ストップ作戦も検討したみたいですが、後ろにいる直線番長・ルノーのリカルドにトラックポジションを明け渡した場合、オーバーテイクが困難になるリスクが高いと判断して見送ったと。

Max didn’t quite have the pace to fight the Mercedes with tyre degradation in the second half of the race proving to be significant, so we were weighing up whether to one or two stop. Daniel’s straightline speed was obviously very strong so we opted to stick with a one stop and Max managed to bring the car home for his sixth podium in a row

via: Christian Horner : What the teams said - Race day at the 2020 Belgian Grand Prix | Formula 1®

今回、ルノーの方がタイヤ的には苦しくなるのかな、と思っていたんですが、フェルスタッペンと同じタイミングでハードタイヤに履き替えたルノー勢は最後まで力強かったですね……。35周目くらいからはリカルドのラップタイムがフェルスタッペンを上回って、オマケに最後の最後にファステストラップまで叩き出しちゃったんだから。リカルドとオコンが4・5位フィニッシュというのはチームとして望みうるほぼ最上の結果と言って良く、ファステストラップポイントまで取ったんだからルノーにとっては勝ちに等しいレースだったかと。ルノーの育成ドライバーだったアントワーヌ・ユベールの事故から1年が経ち、レース前には追悼セレモニーも行われていましたが、そのレースでルノーがここまで上々の結果を残せたのはちょっと良い話でしたね。

ルノーが軽いウイングのレースに強みがあるんだとしたら次のモンツァでも今回同様の強さを発揮する可能性が高く、またレッドブルとて油断できないレースになりそうですねえ。てか、昨年のモンツァでもルノーは4・5位フィニッシュしているのか。ううむ。

力強かったガスリー

今回のDRIVER OF THE DAYにはアルファタウリのガスリーが選出されましたが、彼のストラテジーは面白かったというか、本来なら失敗だったハズなんですよね。なんせハードタイヤを履いてスタートして最初にロングスティント走る作戦だったのに、10周目でセーフティカーが入り、他のほとんどのクルマがピットインしちゃったもんだから、そこでステイアウトせざるを得なかったガスリーは大幅にタイムを失ったコトになるんですよね。

レース再開後、タイヤ交換を26周目まで引っ張ったガスリーですが、後続が程よくつっかえており、ポジションは6番手から16番手まで一気にダウン。これでポイント狙うのは困難になったか……と思いきや、そこからフレッシュタイヤのパフォーマンス+他のクルマが履いてるタイヤデグラデーションも手伝って、最終的にポジションを8位まで持って来たんだからスゴイ。スパが比較的オーバーテイクできるサーキットであることも良かったでしょうけど、こういうのってホント展開のアヤですね。

セーフティカーが入った時、ガスリー以外にもう1台ステイアウトしていたのがペレス。ハードタイヤでスタートしていたガスリーがステイアウトなのはまだ理解できたんですが、ペレスはソフトスタートだったにもかかわらずステイアウトしたのは謎でしたね。これ、このタイミングでピットに入れて1ストップで走りきれるのか?という疑問から、チームとして2台の間で戦略を分けたとのコトなんですが……。

I think strategically the Safety Car presented some difficult decisions for everybody. At the time it was questionable whether a one-stop race was possible at that point. That was why we kept Sergio out under the Safety Car in the hope that he would have a tyre advantage at the end compared to our competition.

via: Otmar Szafnauer : What the teams said - Race day at the 2020 Belgian Grand Prix | Formula 1®

終盤、メルセデスでもデグラデーションに苦しんでいたコトを考えると、この予感は非常に正しかったと言わざるを得ませんが、しかしペレスはガスリーほど上手くはいきませんでしたね。ペレスの場合はソフトタイヤだったのでガスリーより早くピットインせざるを得ず、タイヤ交換後のペースもガスリーほど良く無かったという。ただ、結果的にはストロールのすぐ後ろでフィニッシュしているので、結果的にはあまり大きな差は無かった、というオチだった感じですかね。

決勝も散々だったフェラーリ

予選で散々だったフェラーリですが、決勝でいきなりマシンが速くなるワケもなく、予選と同じ13位と14位でフィニッシュ。変わったところと言えば、ルクレールベッテルの順位が入れ替わったくらい。フェラーリPU勢の中ではアルファロメオライコネンが12位フィニッシュでトップという有様になっており、さらにフェラーリワークスがハースとガチンコ勝負する羽目になるという状態には涙を禁じ得ません(?)。

ただビノットさん、「こういう状況になるのは冬のテストの段階でわかっていたけど、開発凍結されちゃってるんだからね」みたいな、もの悲しいコメントをしているようで。

"Certainly this is a very bad result within a difficult season that we are experiencing. “But we knew it was coming, we saw it in winter testing, and then came the [car update] freeze and the impossibility to develop the car.”

via: Ferrari F1 team “in the middle of a storm” but not in “crisis” - Binotto - F1 - Autosport

チームとしては、これがスパ特有の問題だったと祈るしかない状況というワケですが、スパでダメだったクルマがモンツァで良くなるとは思えない……。ムジェロはダウンフォースが結構必要みたいなので、また風向きが変わる可能性はありますが。しかし、モンツァでもこれと同様の惨敗を喫したら、またイタリアメディアがアレコレ書き散らかすかと思うと、非常にワクワク……いやさ恐ろしいですね。

昨年はルクレールを一気にスターダムに押し上げたスパとモンツァで、フェラーリがこんなどん底を味わうコトになるとは(まだモンツァがダメと決まったワケじゃないけどさ)、ホントにフェラーリは昨年どんな仕掛けをしていたんですかまったく。10年くらい経ったら、誰かがこのときのカラクリについて口を開いてくれたりするんでしょうか。

フェラーリのパフォーマンス低下について、トト・ウォルフが土曜日になにやら思わせぶりな発言をしていたみたいですが、なんかますますフェラーリの内情が気になって夜しか眠れません。

【気になる一言】フェラーリの不調は「特定のメンバーが下した決定によるのかもしれない」とメルセデスF1代表 | F1 | autosport web