大須は萌えているか?

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F1[20] イタリアGP 予選

今年もドタバタのトウ取り合戦が繰り広げられておりましたね。しかしヒヤッとする場面もあったし、これなんとかならないのかねえ……F1イタリアGP予選。

パーティーモードなんて無かったんや

今回から、予選・決勝の間をひとつのエンジンモードで戦わなくてはならないという規則が適用されるようになりましたね。メルセデスの強力な予選モード、いわゆるひとつの「パーティモード」を禁止することでメルセデスの予選パフォーマンスを削ぐ目的があると言われている施策ですが、フタを開けてみたらこのモンツァでもメルセデスがぶっちぎりで予選を制するといういつもの光景が繰り広げられたと。まあそんなコトだろうとは思ってた。

記者会見でパーティモードを使えなくなった影響について問われたハミルトンは改めてパーティモードの存在自体を否定、先週のスパとのフィーリングの違いを尋ねられても「スパでそのモードを使用したかどうかなんて、どうしてわかるの?」とかわしていますね。続いてコメントを求められたボタスは「クルマの感触は良い、エンジンの感触もいい、レースではもっと良くなるだろう。このエンジンの変更で、レッドブルにどれほどの嬉しさがあったのかはわからないね」みたいな皮肉混じりのコメントをしてたりも。

VB: Car felt good. Engine felt good and, like I said before, it should be even better in the race. So, not sure how happy Red Bull is now with this engine change.

via: FIA post-qualifying press conference - 2020 Italian Grand Prix | Formula 1®

実際にこれだけの速さを見せられては文句も言えないワケで、オマケに当のレッドブルはコーナーでの安定性に苦しみフェルスタッペンが5番手止まりという結果で終わっているので、余計に悔しい展開になっちゃったかもしれません。

メルセデスはここでも他車のトウを当てにせず、我が道を行く予選スタイルを取っていましたが、それでこの圧倒的な速さなんだからスゴイものです。メルセデスの戦略チームはトウを使った場合のメリットとデメリットの比較も行っていたようで、ストレートでの恩恵はあるもののコーナーで失うものも大きい、というコトでクリーンエアの中で走るスタイルを取るようにしたという話。結局、そのほうがタイヤも自分のペースで熱を入れられますしね。

We’d done a bit of analysis yesterday on the effects of towing and for us, we seemed to be losing as much in the corners as we were gaining on the straights. Based on that, we decided to try and find some clean air to run in, which has the added benefit of simplifying your qualifying session.

via: Andrew Shovlin : What the teams said - Qualifying at the 2020 Italian Grand Prix | Formula 1®

他チームの動向に左右されずに悠々とピットを後にするメルセデスと、そのメルセデスが動いた途端にカルガモの親子のごとく後を付いていく他チームのマシンを見ると、なんかメルセデスが圧倒的な力を感じざるを得ないというか……。

なぜだか速いマクラーレン

前戦スパでルノーが好調だっただけに、ここモンツァでも同じようにルノーが上位に飛び込んでくるか……と思いきや、リカルドは7番手止まりでオコンは12番手と冴えない結果に。とはいえその差はホントにわずかであり、オコンは0.2秒足らずの差でQ3進出を逃してしまったワケなんですけども。

代わりに上位に食い込んできたのが、これまたルノーPUユーザーのマクラーレンサインツが自己ベストタイの3番手を獲得、ノリスも6番手。スパではここまで上位には食い込んで来てなかったので、ちょっとびっくり。

記者会見で速さの理由を問われたサインツ、低いダウンフォースレベルにおけるブレーキングの安定性なんかを挙げたりはしていますが、正確なところは良く分からないと。

But yeah, we’re running very low downforce which in our car last year didn’t work and our downforce was just falling off whenever we ran very little rear wing and this year, somehow, our car is a bit more robust running lower downforce levels and in Spa it started to pay off and here in Monza we have a strong car under braking, we feel we can brake late and we have a strong car in the Parabolica and Ascari which obviously helps, you know, but exact reasons, honestly I don’t know.

via: FIA post-qualifying press conference - 2020 Italian Grand Prix | Formula 1®

4番手のペレスとのタイム差はわずか0.025秒、5番手フェルスタッペンとの差でも0.1秒に過ぎないので、トウのわずかな影響だとかほんのちょっとのミスの有無だとか、そういったものが左右したレベルですよね。この3人のタイム見ていると、Q3のアタックでセクターベストを3つ揃えてタイム更新できている人誰も居ないし。そういう意味で身も蓋もなく言っちゃうと、偶然性にも大きく左右された予選と言えそう。

だからこそトウが大事なのだ、という考えが正しいのか、だったら他人に振り回されずにクリーンエアで走った方が一貫性のあるタイムで走れるので良い、という考えが正しいのかは、なかなか結論が出る話ではないのかもしれませんが……。

サインツ自身はトウを得ながら走る感触が好きでは無いので、常に前のクルマとは間隔を開けて走るようにしている……と言いつつも、トウを得ることで0.2秒程度のタイムアップがあると感じており、競争が激しい中団グループではこの0.2秒が重要だと主張してますね。サインツが自己ベストを出したQ3のラストアタックの際には数秒前にリカルドが居ましたし、もしサインツのベストタイムが0.2秒遅かったら8番手で終わっているところでした。

I’m always opening pretty big gaps to the car in front – just because I don’t like the feeling that the tow gives me. But having someone up there a few seconds ahead, punching the air for you, that makes a difference in the straight and that’s where the midfield battles come in and you need to fight for those last two-tenths. Maybe these guys don’t need those last two-tenths but for us it’s incredibly important. Pretty much everyone was waiting for the two Mercs to go and then everyone was trying to follow.

via: FIA post-qualifying press conference - 2020 Italian Grand Prix | Formula 1®

近すぎず、遠すぎずのベストなポジションで前車のトウを使えたドライバーがタイムを伸ばした、ってコトなんでしょうけど、台数の多いQ1なんかでは多くのクルマがごちゃごちゃになってしまい、予選やってるんだかレースやってるんだかわからないような状態になってしまい、接触の恐れすらあるようにも見えました。

Slipstreaming chaos in qualifying at Monza(動画)

ただ、記者会見で予選フォーマット変更の必要性について問われたトップ3メンバーは、現行の予選フォーマットに満足しているので特にその必要性は感じない、といった雰囲気。確かにトラフィックの問題が無ければ今のフォーマットで何の問題も無いと思うんですけど、モンツァのようにトウが大きな影響を与えるとされるコースでのカオスはなんとかするべきでは、と感じちゃうんですけどねえ……安全性の問題にも関わるし……。そのうち事故が起きそうで怖いんですけど。

そのほか

エンジンモード規則によって、メルセデスカスタマーチームはどのくらい影響を受けるのかって部分にも興味があったんですが、レーシングポイントはペレスが4番手、ストロールが8番手と悪く無い結果を残しており、こちらもそこまでの影響を感じないですね。ただ、ウィリアムズは19番手と20番手に沈んでおり、これエンジンモードの影響がどれくらいあるのかは気になるところですけど。スパではラッセルがQ2進んでいたんですけどね。

そのウィリアムズ、先日チームをアメリカの投資会社に売却すると発表していましたが、これに伴いウィリアムズ・ファミリーがこのイタリアGPを最後にチームメンバーからも外れるコトになったようで。

ウィリアムズ家がF1チームの経営から撤退 | Williams | F1ニュース | ESPN F1

これはウィリアムズ一家が追い出されたという話ではないようで、クレア・ウィリアムズ曰く新オーナーからチームに留まるよう求められたものの、自分の意志でチームを離れるコトを決めたと。

F1: Claire Williams turned down offer to remain at team · RaceFans

これからチームを改革するにあたり、ウィリアムズ一家がそのままチームに残っていたのではやりづらいだろうという思いがあったようですが、しかしこれにはなんとも言えない寂しさを感じますね。なにせウィリアムズといえば、自分がF1見始めた頃(1992年)にはマクラーレン・ホンダに代わる最強チームとして君臨しているチームでしたからね。まあ、パトリック・ヘッドとフランク・ウィリアムズが第一線を離れた時点でウィリアムズの歴史にはひとつの区切りが打たれていたのかもしれませんが。

フェラーリマクラーレンなんかは創業メンバーが居なくなり、チーム代表が移り変わっていく中で没落と復活を繰り返しつつ生き長らえている希有な存在ですが、ウィリアムズは今後どうなるでしょうか。

今現在フェラーリは絶賛没落中(?)ですが、やはりモンツァでも奇跡は起きずルクレールは13番手どまり、ベッテルに至っては17番手という重傷。ルクレールはトップから1秒置いて行かれる苦しい展開ですが、ベッテルはそのルクレールからさらに0.7秒くらい置いて行かれているんだからもうね。ウィリアムズが下がってくれたおかげで、アルファロメオフェラーリが地元の予選で最後尾、という最大級の屈辱を味わわずに済んだのが救いでしょうか。

なお、フェラーリモンツァで2台ともトップ10圏外からスタートするのは、1984年のミケーレ・アルボレートルネ・アルヌー以来のコトだそうです。……36年ぶり?

Q2 exit at home ‘hurts’ says Leclerc as Ferraris start outside top 10 at Monza for first time since 1984 | Formula 1®