大須は萌えているか?

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F1[20] トスカーナGP 予選

F1初開催のムジェロサーキット。私もこのコースをちゃんと見るのは初めてなので興味深い一戦になりそう。F1トスカーナGP予選。

メルセデスの後ろに這いよるレッドブル

予選結果は相変わらずのメルセデスのフロントロウ独占……これで7戦連続……となったワケですが、後ろを固めたのがレッドブルの2台。1台ではなく2台。アルボンが自己ベストの4番手タイムを叩き出したというのは注目すべきポイントですね。先のイタリアGPでも、予選順位そのものは9番手と振るわなかったアルボンですが、マシンの感触についてはポジティブなコメントをしていましたし、そこからの今回4番手というのはアルボンにとっては良い流れですね。ガスリーがモンツァで優勝しちゃったもんだから、アルボンにとっては周囲の雑音がうるさくなっているんじゃ無いかと想像するんですが、そうした状況下でこの予選結果は上々。

フェルスタッペンも定位置の3番手ではあるものの、メルセデスとの差はいつもより少なめ。2番手のボタスとの差がほぼ0.3秒というのは、先のモンツァでの予選に比べると一気に持ち直した感があります。こういう中高速コーナーが連続するサーキットだとレッドブルの強みが出るんでしょうね。

フェルスタッペンはセクター3で全体ベストのタイムを叩き出しており、ターン12・ターン15のような大きく曲がりこむコーナーの速さに強みがあるマシン。記者会見ではセクター3でのオーバーテイクの可能性を尋ねられたりもしてますが、「他のセクターで彼ら(メルセデス)についていくコトができるかどうかがカギになるね」みたいなコメントしてますね。

MV: Yeah, all weekend we have been pretty good there. It’s basically only two corners so 12 and 15, I think, so the car was not too bad and then the straights in between, we run a bit less wing compared to some other cars, I think, and it gives me a bit of an advantage. We managed to stabilise the car around it so yeah, I just hope that I can follow them in the other sectors, that is going to be the key, to be able to overtake, but let’s see tomorrow.

via: FIA post-qualifying press conference - 2020 Tuscan Grand Prix | Formula 1®

1コーナー過ぎたあとのセクター1からセクター2にかけてはコース幅が狭く、オーバーテイクはほぼ無理といった感じではありますが、ターン12と15はコース幅がそこそこあり、コーナリングに自信のあるマシンなら仕掛けられるかも……。一番可能性があるのはストレートエンドのターン1ですが、ターン12からの立ち上がりでぴったりくっついて、ターン15で抜き去るシーンなんかを見られたら盛り上がりそうですね。

あと、今回はメルセデスもフェルスタッペンもQ2でミディアムにトライするコトはありませんでしたが、これは1コーナーまでの長さが結構あるコト、オマケに上り坂になっているコトから蹴り出しが悪いと容易にポジションを失いかねない、というリスクを警戒してのコトみたいですね。ハミルトンは、第1スティントのペースと長さを考えるとミディアムタイヤの方が好ましいんだけど、ともコメントしてますが。

LH: I wanted to use the medium tyre but there is a loss at the start. I don’t know if they do that analysis for the viewers but obviously we have a very long run uphill to turn one and whilst in the first stint a medium tyre would perhaps be better in terms of pace and length, you lose meters just from the compound up into turn one so we didn’t want to take that risk.

via: FIA post-qualifying press conference - 2020 Tuscan Grand Prix | Formula 1®

決勝では1ストップと2ストップ戦略が入り乱れる感じになるのかもしれませんが、そうしたタイヤ戦略を含めてレッドブルメルセデスを出し抜くチャンスがあるのかどうか、というのが決勝最大の見所でしょうか。F1初開催なだけにデータも少なく、タイヤデグラデーションについても各チーム見きれていない部分もあるでしょうしね。アルボンにも好結果を期待。

このムジェロサーキット、息つく間もなく中高速コーナーが連続するだけに体力的にもキツいとされますが、その辺のコトを聞かれたトップ3の面々は「確かにGはキツいけど、シルバストーンだって同じようなもんじゃんね」と特に懸念を感じていない様子。ハミルトンは「いつもこの手の質問をされるけど、僕らは皆アスリートだ。だから鍛えているし、こういう状況には慣れている」……と力強いコメント。体力的にキツいのは認めてますが。

LH: We’re always asked these questions and ultimately we’re all athletes. So train and we’re used to the conditions that we are faced with – but at the end of the day it’s incredibly physical, I think, this track, being that it’s medium and high-speed. It’s not easy at all, physically, particularly through that fast section – but like Max says, it’s like Silverstone and those others.

via: FIA post-qualifying press conference - 2020 Tuscan Grand Prix | Formula 1®

最後のほうにバテちゃうドライバーはそうそう居ないでしょうが、しかしコーナーが絶えず連続してコース幅の狭いセクションも多いこのコース、一息付ける場所がなかなか無く、体力と同時に最後まで集中力を切らさないコトも求められるワケです。ランオフエリアも舗装されていませんしね。そういう意味では思わぬコースアウトによる波乱なんかも有り得る……かも。

奮闘するルクレール

トップ4の後ろはレーシングポイントやルノーマクラーレンといったところが並ぶだいたいいつもの通りな感じではありますが、5番手にルクレールが飛び込んで来ているのが意外。モンツァとは性格が違うサーキットとは言え、最近低迷極まっていたフェラーリでここまで上位に食い込んでくるとは。ルクレールが予選トップ5に食い込んだのはシルバーストーンで4番手に食い込んで以来……ってそうか、シルバーストーンでは速さを見せていたんですねルクレール。高速コーナーが主体になるという点ではこのムジェロも性格が似ているサーキットと言えるワケで、そういう意味では必然だったのかもしれません。ルクレールもサーキットの性格がフェラーリのマシンに合っている、とコメントしてますね。

The characteristics of this track suit our car better, that’s for sure. I think our medium-downforce package is better in terms of balance compared to our low-downforce one that we were running in Monza and Spa.

via: Charles Leclerc : What the teams said - Qualifying at the 2020 Tuscan Grand Prix | Formula 1®

なにせフェラーリにとってはF1参戦1000戦目になるこのレース、しかもコロナの影響によるものとは言えわざわざお膝元のムジェロサーキットでの開催、レースのタイトルにも「TOSCANA FERRARI 1000」なんて付けられちゃってるんだから下手なレースはできません。フェラーリにしてみれば優勝は無理でも、レッドブルを食って表彰台に上りたいところではありますが、ルクレールが決勝どこまでいけるか。

一方のベッテルは辛うじてQ1を突破しての14番手、こちらはまだ病が深そうです。ついに来季のアストンマーチン入りが発表されたので、これで肩の力を抜いて走れるようになるのかな、とも思ったんですが、どうやらそういう次元の問題ではないようで。中団グループが非常に混戦になっているので、ちょっとの差が大きな順位変動になってしまうコトは理解できるんですが、Q2でのルクレールベッテルの差、0.5秒以上ありますからね。これ、フェラーリが出て行くベッテルを冷遇しているようにしか見えない絵面なんですが、それくらい理解しがたいギャップがあります。

フェラーリはこのレース向けに、過去のマシンに倣った「真紅」のカラーリングを施していますが、これテレビ画面で見ると赤が濃すぎてかなり黒っぽく見えちゃいますね。マルボロカラー時代のマクラーレンも、マルボロの赤をかなり明るいオレンジの様な色に塗っていましたが、それくらいでテレビ画面越しにはちょうどよく見えたりして。やはりテレビ映えしてこそのF1マシン?

そのほか

ベッテル加入が発表される半日前にレーシングポイント離脱が発表されたペレスですが、本人は寝耳に水だったようで、ローレンス・ストロールからの電話一本でそれを知らされたみたいですね。フォースインディア時代から足かけ7年という長期にわたってチームに所属してきただけに、水面下で自分を外す動きなんてあるワケない、というチームに対する信頼(悪くいえば油断)もあったのかもしれません。実績ベースでいえば放出されるのはペレスでは無くストロールの方だろう、と言いたくはなるんですが、現状ではランス君の方が先週の表彰台も手伝ってドライバーズランキング4位という位置につけており、対するペレスはストロールよりも23ポイント少ない11位に甘んじているのは少々辛いところではあります。逆にいうと、「ペレス放出を発表するなら今がベスト」みたいなローレンスの策略があったんじゃないか、なんて思うのはうがち過ぎでしょうか。

ペレスが来季F1に残るとしたら、ハースかアルファロメオくらいしか選択肢が無さそうな感じではあります……が、なんかマクラーレンインディカーの方に引き込もうとしているという記事もあり、どうなるのやら……。

マクラーレン、ペレスのインディカー勧誘に積極的 | McLaren | F1ニュース | ESPN F1

そのマクラーレンは今回の予選少々苦戦したようですが、サインツはコーナーで追い風になると挙動が安定しないと訴えているようで。モンツァでは前車のトウに入るとダメみたいなコトを言ってましたが、あれも前車が起こす後方乱気流が追い風と同じような影響を与えるってコトなんですかね。

“Our car is very sensitive to tailwind, mainly, and tailwind corners,” explains Sainz. “It’s also very good in headwind corners, so both sides of it.

“Once you get in a tow, what you have is a lot more tailwind. You basically have tailwind in every corner. That’s why in places like Monza, we were talking about trying not to go in the tow of some of our competitors because we felt that that generated tailwind in our car and we don’t like that.

via: McLaren’s Mugello pace a "nasty surprise" for Sainz · RaceFans

マクラーレンにとっては、一貫したパフォーマンスを疎外するやっかいな要因ですねえ。森脇さんなんかが、マクラーレンはフルタンクの状態で遅いという指摘をしていましたが、もしかするとレース序盤で各マシンが接近している状態だから遅い、ってコトなのかもしれません。

マクラーレンといえば、金曜日FP1でのランド・ノリスの「無線チェック」は面白いですね。いきなり歌うノリスに、「Yeah, It’s OK.」と冷静に返すピットとのやり取りがケッサク。

そういや、昨年のブラジルGPではチェッカーを受けたサインツが歌っていたりもしましたが、このマクラーレンの2人ホント良いですね、こういうノリ。2人とも今後のF1を背負って立つドライバーですが、いつまでもこのノリは忘れずにいて欲しいものです(?)。

あと予選で意外だったといえば、前戦で初優勝を果たしたガスリーがまさかのQ1ノックアウトになってしまったコトでしょうか。Q1での僚友・クビアトとの差がだいたい0.2秒だったコトを考えると、如何に中団グループの争いがシビアかという話ではあるんですが……。なにせ、Q1の4番手アルボンから、最下位のマグヌッセンまでの差が0.8秒です。10番手クビアトからマグヌッセンだとわずか0.42秒で、ホントにコンマ1秒の差がとてつもなくデカい。

優勝したドライバーが次のレースでQ1ノックアウトを食らうという事例は探せばいくつか出てきますが、だいたい天気が大荒れだったとか(2009年ブラジルGPのベッテル)、マシントラブルに見舞われたとか(2014年ドイツGPのハミルトン)、Q1でマシンぶつけただとか(2016年モナコGPのフェルスタッペン)、なんていうパターンがほとんどで、こういう天候はドライで、マシントラブルがあったワケでもなく、クラッシュやイエローフラッグ等の阻害要因があったワケでもないのにQ1ノックアウトになるというのは非常に珍しいケースじゃないでしょうか。

今シーズンの「メルセデス以外」の争いが、どれだけ激しいかを物語る記録とも言えそうです。