大須は萌えているか?

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F1[20] ロシアGP 決勝

ある意味、予想通りの展開ではありました。F1ロシアGP決勝。

吼えたボタス、ボヤくハミルトン

予選ではハミルトンがポールを獲ったものの、ここソチでは必ずしもポールが有利とは限らないコト、またスタートタイヤに妥協を強いられた点で決勝はどうなるか……という感じでしたが、さらに加えてハミルトンがスタート練習を指定された以外の場所で行ったコトが審議対象となり、10秒(5秒×2)のタイムペナルティまで科されるという追い打ちが。この時点で、ハミルトン勝利の可能性は限りなく低くなってしまいました。

しかし、ボタス自身のレースも力強かったですね。スタートで奇数グリッドのグリップの良さを活かしてフェルスタッペンを捕まえて2番手に浮上したあとはきっちりハミルトンを追走し、16周目にハミルトンがピットに入ってトップに浮上したあとはコンスタントにハミルトンとフェルスタッペンの間にマージンを築き、付け入る隙を与えませんでした。ハードタイヤに履き替えてマシンの感触が良くなったフェルスタッペンがレース終盤に5.5秒差まで詰めてくるシーンもありましたが、51周目にレース全体のファステストラップを叩き出してみせたりもして、総じてボタスが支配したレースだったといって良いでしょう。

優勝を飾ったあとに『to whom it may concern, fuck you!』と無線で言い放っていたのに川井ちゃんが爆笑しておりましたが、この意味についてレース後の記者会見でも質問が飛んでいたりしますね。特定の誰かというか、周囲の雑音に対してぶちまけたい思いを言ったった、みたいな感じでしょうか。ボタスがSNSでどれくらい叩かれているのか知りませんが、そういう質問が飛ぶってコトは余程アレコレ言われてるんだな……。SNSを取り巻く問題は、日本も海外も同じらしい。

Bottas’ “f**k you” comment response to critics telling him to “give up” - F1 - Autosport

開幕戦以来勝利から見放されていただけに、「辞めちまえ」的な批判が目に付いたんでしょうね。それに対して、「俺はまだこうして勝てるんだ、俺は諦めないからな!」と吼えて見せたワケですね。こんな力強いボタス久しぶりに見た。

ハミルトンに対して、22秒の差を付けて勝てたのも良かったですよね。「10秒ペナがあったから勝てた」というツッコミに対する反証にもなるでしょうし。どちらかというと、ハミルトンがソフトスタートだったというのが大きかった。まあこれも運が良かったといえばそうなんでしょうが、もしハミルトンもミディアムスタートだったとしても、かなり良い勝負していたんじゃないですかね。予選で大差をつけられたのがウソのような走りでした。

一方でハミルトンは10秒ペナに対してボヤきまくっているようで……。ルールとして明示されているんだから仕方無いじゃん、と思うんですが、どうにも腹の虫が収まらない様子。指定場所から離れた場所でスタート練習するのは今に始まった話ではなく、ブラジルなんかでも同じようなコトをしているけど、ここのがもっとスペースがあって安全じゃないか……というワケです。

It’s no different to Brazil. You drive to the end of the pit lane and you do your start. It’s actually probably safer where I was, compared to Brazil, because there was a lot more space on the left… so interesting decision.

via: FIA post-race press conference - Russia | Formula 1®

ただ、ちょっとこれは筋の悪い言い訳に聞こえますねえ……。罰則を取るならちゃんと統一しろ、っていうのはわかりますけど。んで、ハミルトンはまたこれがトップを独走する自分を意図的に叩こうとしている、みたいなコトを言っちゃうんですよね。もちろん、マイケル・マシはこれを否定するワケですけど。

FIA refute Hamilton’s ‘they are trying to stop me’ suggestion after Russia penalties | Formula 1®

てか、ハミルトンが本来スタート練習しちゃ駄目な場所から2度スタート練習したから5秒ペナルティが2個付いたのかと思っていたんですが、マシの説明見てると異なる2つのレギュレーション違反があったと言っているんですね。ひとつはレースディレクターズノートに書かれている、決められたスタート練習位置を守らなかったコト。ふたつめは、スポーティングレギュレーション36.1の違反だというワケです。

“Actually it wasn’t a second penalty," said Masi. "There was a breach of two elements of the regulations that were highlighted. One being the article within the race director’s event notes, the second being Article 36.1 of the Sporting Regulations that states you must keep a constant speed through the pit exit road, the pit exit road being defined by being where the red lights are at pit exit through to the Safety Car line.”

via: FIA refute Hamilton’s ‘they are trying to stop me’ suggestion after Russia penalties | Formula 1®

JAFのホームページにある、2020年版競技規則の日本語訳から引用すると以下の部分(このドキュメントだと、「レコノサンスラップ」ではなく「レコニザンスラップ」なんだなあ……)。

レコニザンスラップを2周以上行うことを希望するドライバーは、各ラップとラップの間にピットレーン を十分減速しながら通過しなければならない。

(中略)

この時ピット出口に行こうとするすべてのドライバーは一定の速度で一定のスロットルで進まなければならない。これは、ドライバーが自己のガレージからピット出口へ進もうとしている、あるいはレコニザンスラップの間でピットレーンを通過する場合のいずれであってもピットレーン全域に適用される。

via: 2020FIAフォーミュラ1世界選手権規則書 競技規則(2020.4.28付)日本語版|JAFモータースポーツ(PDF)

ここでいう「ピット出口」というのは、ピットレーン出口の赤信号から第2セーフティーカーライン(本コースに合流する白線の終端)までを含む、そしてそこは一定のスロットルで進まなくてはならず、決められたスタート練習位置以外で止まるのは違反行為であるというワケです。それはまあ理解するにしても、今までのGPでお目こぼししていたものをより厳格にジャッジするなら、トラックリミットなんかと同様にチームとドライバーに宣言しておくべきなんじゃないの、と思いますけどね。

トスカーナのセーフティカーの件以降、ハミルトンの中でFIAというかマイケル・マシに対する不信感が膨らんでいってるような感じありますね。ハミルトンにはタイムペナルティの他にもペナルティポイントが2加算されるというオマケつきでしたが、これにはフェルスタッペンや他のドライバーからも疑問の声が出る有様。これを受けてか知りませんが、その後FIAはハミルトンがチームに事前に確認していたコトを勘案してペナルティポイントの加算は撤回すると発表。

Stewards retract penalty points handed to Hamilton for practice start infringement | Formula 1®

これとは別件で、2コーナーでコースアウトした場合に通らなければいけないルートがトリッキーかつ滑りやすすぎて、サインツがマシンをクラッシュさせてしまったりグロージャンがボラードを破壊したりと散々な有様で、コース設計の拙さを川井ちゃんが散々批判してたりもしましたね。確かにあれは無理だわ。なんかだんだんFIAというかマシに対する批判が高まってきそうな気配もありますが、変にこじれたりしないと良いですけどねえ……チャーリー・ホワイティングは偉大だったというコトなのか?

白熱するコンストラクターズ3位争い

以前から、マクラーレン、レーシングポイント、ルノーの3者によるコンストラクターズ3位争いが白熱しておりますが、このレースが終わった時点でも3位のマクラーレンから5位のルノーまで7ポイント差しかないっていうのが興味深いですねえ。てか、マシンのパフォーマンスを見ているとレーシングポイントがもうちょっと上に居てもおかしくないんですが、ピンクメルセデス問題によるポイント減算が地味に効いてますね。

今回、ペレスが今季ベストの4位フィニッシュを飾って気を吐いておりますが、ストロールが2戦連続リタイヤとブレーキが掛かった状態。ペレス、いつの間にかストロールに1ポイント差まで詰め寄ってきましたね。ペレスにしてみれば、せめてストロールをやっつけてチームを去りたいところでしょうねえ。放出決まってから、露骨にチームがペレスに情報を明かさないようになってきてるみたいだけど。しかしペレス、コロナ陽性で欠場した2戦以外は全戦でポイントゲットしているんですよね。中堅チームには有難い、抜群の安定感。

一方で、ここ4戦くらい高速サーキットが多かった影響もあってかルノーも好調。特にリカルドは4位×2・5位と6位が1回ずつというポイントゲッターぶり。イタリアで大量得点を稼いで一歩抜きん出たかに見えたマクラーレンは、今回ノーポイントに終わったのが痛恨でしたね。サインツが2戦連続リタイヤというのも辛い。この中団争いは、いかに毎戦コンスタントにポイントを重ねるかがカギでしょうし。

ドライバーズランキングではノリスがまだアルボンを1点だけリードしている状態で、実はフェルスタッペンが居なければレッドブルもこのグループの争いに巻き込まれている可能性大、という意味ではフェルスタッペンはマジでレッドブルの生命線といえる存在。アルボンは初表彰台も獲ってここから上がってくるかなーと思ったら、ソチではまたブレーキ掛かっちゃいましたねえ。ううむ。

ライコネンの記録

ハミルトンはシューマッハの勝利記録に並ぶコトはできませんでしたが、ライコネンバリチェロの持つ最多出走数に並んだんですね。WRCに参加するためにF1辞めてた時期があるのに、バリチェロの記録を塗り替えるってスゴイね……。

Barrichello congratulates Raikkonen as Finn set for record-tying race start | Formula 1®

バリチェロがお祝いのコメントを寄せてますが、なんでGazoo Racingの帽子被ってるのかと思ったら、アルゼンチンのツーリングカーレースにトヨタのクルマで参戦してるんですね。んで、もし今年ライコネンがF1を辞めてしまうと、来年復帰するアロンソがさらに記録を塗り替えてしまうので現役続けろよ、というワケです。アロンソの決勝出場回数が311、ライコネンが今年の最終戦まで出たときの数字が329なので、確かに塗り替えられちゃいますねえ。ていうか、アロンソルノーとの2年契約が終わったあともまだ現役続行を望みそうな気もしちゃうけど。

シューマッハの記録といいバリチェロの記録といい、「こりゃ塗り替えられないだろ」と思った記録が次々塗り替えられちゃうんだからいやはや。それだけ近年のレース数が多いというコトでもありますが、それにしてもやはりスゴイ数字だよなあ……。