実力も運も、ボッさんはハミルトンに勝てないのだ……(涙)。F1エミリア・ロマーニャGP決勝。
- 決勝結果: FORMULA 1 EMIRATES GRAN PREMIO DELL’EMILIA ROMAGNA 2020 - RACE RESULT
- 決勝ダイジェスト: Emilia Romagna Grand Prix 2020 race report & highlights: Hamilton wins wild race in Imola as Mercedes clinch seventh-straight constructors’ title | Formula 1®
- 決勝後各チームコメント: What the teams said – Race day in Emilia Romagna | Formula 1®
- 決勝後記者会見: FIA post-race press conference - Emilia Romagna | Formula 1®
7連覇
なんやかんやありましたが、メルセデスが1-2フィニッシュ。フェルスタッペンが2位に食い込むと思われたんですが、まさかのタイヤバーストでしたねー……おそらくデブリを踏んだのでしょうが、一体誰がまき散らしたものなのやら。F1公式サイトにバースト時のリヤ車載映像がアップされてますが、ホント一瞬のうちにバーストしてます。これはドライバー反応できないよね。
MUST-SEE: Unseen footage shows how Verstappen suffered ‘instantaneous puncture’ in Imola
ボタスも2周目に大きなデブリの上を通過してしまいフロアを壊してしまい、以後ペースが上がらなくなってしまったようで。デブリがあるコトはボタス自身気付いたようですが、避ける時間が無くタイヤで踏むよりは……という感じだったみたいですね。
I decided to go straight over it instead of hitting one of the tyres and possibly getting a puncture but, unluckily, it got stuck on the floor – under the floor – and apparently it was like 50 points of downforce which, in lap time, is quite a big chunk. How it affected me, I would say mainly in high-speed corners.
via: Valtteri Bottas : FIA post-race press conference - Emilia Romagna | Formula 1®
ハミルトンはスタートで出遅れて3番手を走る格好になりましたが、逆にそれが功を奏した形。こういうところの運も、ハミルトンの方が持っているんだよなあ……。そしてフェルスタッペンがタイヤ交換した次の周にピットに飛び込んだボタスに対し、ハミルトンはスティントを伸ばして伸ばして30周目まで粘り、そこでちょうどオコンがコース脇にマシンを止めたコトによりごく短い時間VSCとなり、その瞬間を狙い澄ましたかのようにピットイン。結果的に悠々とトップに躍り出る形に。いやホント持ってるわ……。
ただまあ、ボタスがフロアを傷めていたコトを考えると、VSCが無くてもハミルトンが勝っていたでしょうけどね。今回のミディアムタイヤはかなり長持ちしていたというか、ライコネンなんてスタートから履いていたミディアムで48周目まで引っ張っちゃいましたからねえ。ハミルトンもライコネンも、ピットイン直前までラップタイムは高い水準でキープし続けていたし。
結果的にはまたしてもハミルトンが勝利する形でのメルセデス1-2フィニッシュ、これで7年連続コンストラクターズタイトルを決めてみせました。コンストラクターズ6年連続はミハエル時代のフェラーリも達成していましたが、7年連続はF1史上初。これでハミルトンがドライバーズタイトルを決めれば7年連続ダブルタイトルというコトにもなりますが、ミハエル&フェラーリでも5年連続で打ち止めだったので、これまたとんでもない偉業というコトになります。
2010年代前半のレッドブル黄金時代だって、4年連続ダブルタイトルで打ち止めですからね。マクラーレン・ホンダだって4年連続で終わりですよ。それを7年連続っていうのはねえ……もし来年もダブルタイトル獲っちゃったら、マクラーレン・ホンダの黄金時代を2回繰り返すのと同じですよ。ハミルトンはしきりにチームのクルーを賞賛してみせますが、まあホントにドライバーだけでなく、チームの組織力の勝利なんでしょうねこれは。
Wolff says he has successor in mind after ‘blood, sweat and tears’ of seventh title | Formula 1®
来季はトト・ウォルフがチーム代表の座から退くと見られており(チームに籍は残すようですが)、ハミルトンもこの週末に「来年もここに居る保証は無いよ」みたいなコメントをしたもんだからちょっとした話題になったりもしてましたけど、しかしまあどう考えてもハミルトンは来季もメルセデスに乗るでしょう。これだけ勝利に拘ってるハミルトンが、ミハエルを超える8度目のタイトルを狙わない理由も無いしね。
Imola race winner Hamilton says he wants to stay in F1 but there’s ‘no guarantee’ | Formula 1®
なぜかポイント圏内に1台しか居ないホンダ
今回はアルファタウリ含む4人全員がトップ10スタートというコトで大量得点の期待が掛かったホンダ勢ですが、レースが終わって見れば入賞はクビアト1台だけというお寒い結果に。フェルスタッペンはタイヤバースト、ガスリーはラジエターのトラブルでリタイヤ、そしてアルボンはセーフティカー明けのリスタート後にスピンぶっこいて最後尾に転落するという冴えない結果に。アルボン、結局「結果を出せ」と言われていたここ2レースで結果を出せませんでしたね……。
アルボンは「他の連中みたくソフトに履き替えていればもっと良い結果になっていたかもしれない」みたいなコメントしてますけど、同じ条件だったリカルドが3位表彰台、ルクレールが5位入賞だったコトを忘れてないかい?って話で。作戦として、トラックポジションを重視する考えは間違って居なかったワケです。あのスピンも誰かに当てられてのものだったらまた同情の余地があるんですけど、単独ですしねえ……。
これでアルボンのレッドブル残留の目は無くなっちゃったよーな気がしないでもないですが、そうなると来季のドライバーはどうなるのかな。ガスリーはアルファタウリ残留が決まっちゃいましたけど、まあこれはこれでアリな気はする。再びレッドブルに起用しても、また同じコトになりそうな気がするし。チームの水に合う・合わないって結構大きいですよね。中堅チームだと実に勝負強く手堅い仕事をするペレスだって、マクラーレン乗ったときは「あれれ?」って感じでしたし。
クビアトは今期最上位の4位フィニッシュを果たしたワケですが、あそこまで行ったなら表彰台乗って欲しかったですねー。タイヤは新品ソフトに履き替えて有利な立場でしたが、追い越ししづらいイモラのレイアウトに加え、レース巧者であるリカルド相手では分が悪かったでしょうか。
リカルドは前に居たペレスがセーフティカーのタイミングでピットに入ったのを見て、トラックポジション重視でステイアウトしたのが大正解でした。まあ、あそこは「ペレスと逆をやる」が正解ですよね。今回は表彰台できっちり「シューイ」をしてみせたリカルドですが、ハミルトンが自分からすすんでシューイに付き合っていたのでビックリ。リカルドもビックリしていたみたいですけど。前にハミルトン全力で拒否していたじゃんね。
“I didn’t forget this time – the shoey. I was about to drink a beautiful fresh one and I heard Lewis saying ‘take your other shoe off’ and I was like ‘No…’. Because honestly, I think it was three years ago on the podium he goes: ‘I’ll never, ever do that, I’ll never drink it. You can offer me, you can force me, I’ll never do it’. And he even asked for it today! So it took me by surprise, but 2020 is the year of the strange so it was good fun; very happy.”
via: Ricciardo shocked to take ‘surreal’ Imola podium and share ‘shoey’ with Hamilton | Formula 1®
ハミルトンも7年連続コンストラクターズタイトルという記録を達成して、ちょっと羽目を外したい気分だったんですかね。ドライバーズもほぼ決まりだしね。
そのほか
セーフティカーランの最中に、自身のミスでクラッシュしてしまったラッセルですが、自身のミスを反省するコメントをInstagramに投稿したところ、グロージャンやハミルトンらが励ましのコメントを書き込んだりする一幕もあったようで。
Ever tried, ever failed... pic.twitter.com/aIbc3rx0uT
— Formula 1 (@F1) November 2, 2020
グロージャンが「その気持ちわかるよ」みたいなコメントしていますけど、そういやグロージャンも2018年のアゼルバイジャンで似たようなミスをして、ギュンター・シュタイナーがブチ切れるというコトがありましたねえ……。
グロージャンのクラッシュをハースF1代表が批判「ルーキーでもしないミス」 | F1 | autosport web
人は失敗をして、そこから学習し、また失敗し、を繰り返して少しずつ成長していくのですよね……グロージャンはもうF1のシート無くなっちゃうけどね……。ラッセルは来季もウィリアムズのシートに収まるコトになりましたけど、不安定な立場に変わりはないからなー。F1の世界で生き残るのはホント大変。最年長でありながら来季も契約更新しているライコネンとか、もうホントレジェンドクラス。
あと余談なんですけど、F1公式で70年の歴史をまとめた本を出したっていう記事を見かけたので、なんとなく買ってみました。
F1公式のオンラインストアで販売されてるんですけど、日本のAmazonで検索してみたら1冊在庫があったのでそっちで買いました(この記事書いている現在はマーケットプレイスのみの取り扱い)。
記事はもちろん全部英語なんですけど、どちらかというと写真メインで構成されているため、英語苦手な私でも結構楽しめる内容。詳細に過去の記録を網羅しているワケではなく、10年ごとにF1の歴史を概観するといった趣向ですね。なかなかWEBには掲載されないような昔の事故写真なんかも収録されているんですが、これらを見るとホントこの70年で安全性に対する価値観というのが劇的に変わったのだな、と実感しますね。
特に、1968年のフランスGP、ホンダでスポット参戦したジョー・シュレッサーがクラッシュして死亡する事故が起きたんですが、炎上しコースサイドの残骸となったマシンのすぐ隣をBRMのマシンが駆け抜けていく写真に目を引かれました。しかも、そのコースサイドの土手の上には人々がびっしり立ち並んでレースを見物しているんですけど、誰もホンダの残骸を見てもいないのね。
今の感覚からするとちょっと信じられないような光景ですが、これが「たったの」52年前ですからね。時代の価値観ってこうも変わるのか、っていう。そしてその26年後に今回レースが行われたイモラでの惨劇があり、そしてさらに26年が経過したワケです。……なんか時間の感覚がバグってきた。