大須は萌えているか?

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F1[20] トルコGP 予選

金曜日の時点から波乱含みの様相ではありましたが、また予想外すぎるポールシッターが生まれましたねえ……お久しぶりのF1トルコGP予選。

驚速のレーシングポイント

久しぶりにF1が開催されるコトになったインスタンブールパークサーキットですが、2週間ほど前に路面の再舗装をしており、結果としてめちゃくちゃ滑りまくる路面になってしまったようで。オマケにピレリも硬いほうのコンパウンドを持ち込んでいたので、面白いようにクルマが滑りまくる状況になってしまっておりました。ドライでもそんな路面だったのに、土曜日は雨まで降ってしまったので収拾の付かない状況に。予選を日曜に延期すべきでは……って気もしましたが、ウェットコンディションで実施されるコトに。

まともにグリップしない路面なのでセットアップもクソも無い感じで、どのチームも完全に出たとこ勝負って感じでしたね。その中で、FP1〜3で一貫して速さを持っていたのがフェルスタッペン。フリー走行全セッションでトップタイム。あと、ルクレールもFP1で3番手タイム、FP2〜3で2番手と悪く無いパフォーマンスを見せていました。

フリー走行の段階では、レーシングポイントは真ん中らへんのタイムに留まっており、そんな目立つ存在では無かったんですよね。ただ、FP3のあと予選に向けて良いセットアップを見つけたみたいで、Q1最初の赤旗中断前にはストロールが3番手、ペレスが5番手と好位置につけてます。また、Q1ではインターミディエイトかフルウェットかで各車判断が分かれていましたが、ストロールもペレスもインターミディエイトで自己ベストを出しています。二度目の赤旗再開後のQ1ラストアタックでは全車がウェットタイヤを履いてのアタックとなりタイムを更新して行きますが、レーシングポイントの2台はインターで出した自己ベストを更新できず、ストロール12番手とペレス15番手という際どいラインでQ1をクリア。

Q2は最初マクラーレンの2台のみインターで走行していますが、基本的にウェットでの争いに。ここでストロールが4番手タイムを出してみせますが、トップのフェルスタッペンとの差は3秒。ペレスはストロールから0.7秒ほど遅れて9番手。一方でアルボンが2番手タイムを出しており、この時点ではまだレッドブルの優位性は揺らいで無かったんですよね。

状況が一変したのがQ3。雨が止んで徐々に水の量が減ってる路面を見て、ペレスとオコンの2台がインターでアタック。オコンのタイムは振るわなかったのに対し、ペレスがフェルスタッペンに0.3秒差を付けてトップに。そのタイムを見てストロールもインターに履き替え、最後の最後にトップタイムを記録……という流れ。フェルスタッペンもインターに交換してペレスを逆転することはできましたが、ストロールには0.3秒及ばず。フェルスタッペンは予選後相当に悔しがっていましたが、そりゃあフリー走行からQ2までを支配してきたのに、Q3でいきなりストロールがトップタイムを叩き出すなんていう流れは想像を超えてますよね。

ただ、予選の流れを追いかけるとQ1の段階でレーシングポイントがインターでの速さを持っていた(インターの作動温度領域に入れやすいセットアップを見つけていた)のは見えており、そこから水の量が増えてインターが使えない状況になってしまったのでやや後退してしまったものの、Q3で再びインターで戦えるコンディションになったので速さを取り戻した……という感じなんでしょう。逆にレッドブルはフルウェットをうまく作動させるセットアップは見つけていたけど、インターではそれがうまく機能せず、ストロールにまさかの逆転を許してしまった格好ですね。

レーシングポイントのセットアップとインターミディエイトの相性、そしてQ3の路面コンディションが奇跡的に上手く噛み合った結果の予選1–3という結果だったと言えるでしょう。しかしなんだ、ランス・ストロールというドライバーをどう評価すれば良いのかが良く分からなくって、モンツァ以降ポイントを獲得しておらず批判の的になっていたかと思えばこのポールポジション、ただのお坊ちゃんドライバーではないし、こうした複雑なコンディションで見せた速さは素晴らしいんですけど、一流のドライバーかって言われると「うーん……」って感じのこのなんというか。しかし史上5番目の若さでのポールポジション獲得、今まで通算2度の表彰台を獲得しているっていうのは立派なもんです。もちろん運も味方しているんですけど、運を手繰り寄せてそれをモノにする力はあるってコトですからね。

予選後の記者会見ではポールを獲得した本人が一番戸惑っているような感じもありましたけど、このポール獲得で自信を深めてさらなる成長へと繋げていくのか、気になるところです。来年はベッテルと組むワケですしね、果たしてどういう結果になるのか……。

これでメルセデスの連続ポール記録は途絶えたワケですが、それを止めたのが「ピンク・メルセデス」ってちょっとおもろいですね。メルセデスPUとしては、連続ポール記録継続中というワケです。

ハミルトンのタイトルは決まるのか

メルセデスの2台はハミルトン6番手、ボタス9番手という思わぬ低迷を喫してしまったワケですが、ハミルトンのインタビュー動画を観るとサバサバしているというか、「こんな状況じゃしかたないね」って感じでしょうか。

‘I did everything I could with what I had’ – Hamilton says P6 was best Mercedes could do in Turkish GP qualifying | Formula 1®

まあハミルトンにしてみればタイトルはほぼ確定なので焦る必要も無いってところでしょう。現在ハミルトンとボタスのポイント差は85点、トルコのあとは残り3戦なので、1レースで獲得可能な最大ポイント26点×3=78点を85から引いた数、つまりボタスはこのレースの獲得ポイントでハミルトンを7ポイント超上回らなければ、ハミルトンのタイトルが確定ってコトになります(7ポイントぴったりだと勝利数でハミルトンを上回れないのでダメ)。

少なくともハミルトンの前でゴールするのは絶対、もしハミルトンが予選と同じ6位でフィニッシュした場合でも、ボタスは2位以上もしくは3位+ファステストラップがタイトル阻止の条件。ただボタスが9番手という順位を考えると、ハミルトンがリタイヤしない限りはこのレースで決まっちゃう公算が強いかなーって感じ。

仮に決勝がドライでも、金曜の段階であれだけ滑っていた路面ですし、雨上がりで路面の攻撃性も強まっているのだとしたらまったく予測できない展開になりそうですけどね。セットアップも全然合わせ込めていないでしょうし。なのでハミルトンが思わぬ大苦戦を強いられる展開も有り得るっちゃ有り得るんですが、さてどうなりますか。

そのほか

フェルスタッペンがポールを逃したのも驚きでしたが、ルクレールが14番手に沈んだのも驚きでしたねー。ベッテルは12番手だったので、ハンガリーGP以来11レースぶりにベッテルルクレールに予選で勝ったコトになります。しかしルクレールフリー走行ではあんなに調子良かったのに……。

“In the rain, we are struggling more than the others, and we’re not speaking about small differences. I don’t know what could be the cause because again this morning, it was raining and on intermediates, we were competitive. So no explanations.”

via: Leclerc has ‘no explanation’ for Ferrari’s poor wet-weather qualifying pace in Turkey | Formula 1®

確かにFP3でのルクレールのタイムはインターミディエイトによるものだったんですが、どうもQ1〜Q2にかけて水の量が増えたことにより、セットアップが合わなくなってしまったようですね。しかし、それいったらFP3のフェルスタッペンもインターでトップタイムを出しているんですが。ホント、水の量の違いによってパフォーマンスがガラッと変わってしまうような状況だったようです。まさにギャンブルみたいなもんですね。

決勝で雨が降ったりすると相当なカオスになりそうですが……。

あと、予選中に多発したイエローフラッグについて、マグヌッセンが「他の連中が全然守ってない」と怒りのコメントしてますね。

’I’m p****d off’ – Furious Magnussen blasts rivals for failing to respect yellow flag rules in Q1 | Formula 1®

マグヌッセンはQ1で赤旗が出る前に7番手タイムを記録していましたが、2度目の赤旗再開後のラストアタックであれよあれよとタイムを更新されQ1ノックアウト。クビアトやラティフィのスピンでイエローフラッグが出る中で続々とタイムが更新されたのはイエローフラッグを遵守しているドライバーが居ないからだというワケですが、まあ確かにイエローフラッグの違反については予選後まとめて審議するって話になっちゃったりして、スチュワードも混乱してた感はありますね。ただ、路面が赤旗中断前よりも改善した中でのアタックだったので、自己ベストを更新したドライバー=イエローフラッグ無視をしたドライバーとは限りませんし、そもそもマグヌッセンはセッション再開後にコースインするタイミングが遅かったので、イエローフラッグの影響を受けやすい位置ではありました。

ポールポジションを獲得したストロールイエローフラッグ無視の疑いがあったようですが、テレメトリー上バックオフしていたことが確認できたとして無罪。一方で、ウィリアムズのラッセルとマクラーレンのノリスは5グリッドダウンペナルティ。元々ラッセルはPUのエレメント交換で最後尾スタートが確定していたのでアレですが。

Russell handed three penalty points and nominal grid drop for Q1 yellow flag incident | Formula 1®

サインツもQ2でペレスを不当にブロックしたとして3グリッドダウンペナルティを喰らったので、マクラーレンは2台揃って冴えない予選となってしまいました。

Norris handed five-place Turkish GP grid penalty for failing to respect yellow flags | Formula 1®

ノリスのペナルティの方が先になるので、予選順位11番手だったノリスが16位にダウン・13番だったサインツが12番手にアップ⇒12番手のサインツが3グリッドダウンで15番手という形になると思うんですが、この記事を書いている現在だと公式サイトのスターティンググリッドが15番手ノリス・16番手サインツとなっていて少々謎です。上記の記事では

Sainz will now start 15th. Norris 16th.

via: Norris handed five-place Turkish GP grid penalty for failing to respect yellow flags | Formula 1®

となっていて、こっちが正解じゃないかと思うんですが。加えて、予選結果ページのNoteに

Norris and Stroll penalised five places for not respecting yellow flags during Qualifying.

via: FORMULA 1 DHL TURKISH GRAND PRIX 2020 - STARTING GRID

と書いてあったりもして、いやいやストロールじゃなくてラッセルだよね……?と心配になったり。まあ多分そのうち修正されるのでしょうけど。

決勝の展開も正直予想が付かない感じですが、まあそれはそれで面白そうではあります。ポールを逃したとはいえ2番手スタートのフェルスタッペンが有利な状況にも思えますが、天候によっても話が変わってくるでしょうし、ただでさえ滑りやすいサーキットの偶数列側のスタートの蹴り出しはどうなのか……等々、不確定要素は山盛り。とりあえず、大きな事故なくレースが終わってくれると良いですが……。