大須は萌えているか?

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エヴァンゲリオンが完結した今、改めて『NEON GENESIS EVANGELION ADDITION』を聴いてみると面白い

※『シン・エヴァンゲリオン劇場版』他もろもろのネタバレを含みます

テレビ放映された頃から『新世紀エヴァンゲリオン』にハマってしまって、それ以降ずっとエヴァンゲリリングな人生を送ってこられた皆様におかれましては、昔『NEON GENESIS EVANGELION ADDITION』というCDがあったのを覚えていらっしゃいますでしょうか。こんなのですけど↓。

これ、1996年の末(テレビシリーズ放映終了の約9ヶ月後、『DEATH&REBIRTH』の3ヶ月前)に発売されたCDで、ミサト・レイ・アスカが歌う『残酷な天使のテーゼ』や『FLY ME TO THE MOON』、さらには劇中で使用された『てんとう虫のサンバ』なんかが収録されており、これだけでもファンにとっては美味しいCDなんですが、メインはトラック2に収録されている『終局の続き』と題された音声ドラマなんですよね。

内容としては、テレビシリーズの好評を受けて番組が延長されることとなり、急遽そのシナリオをでっち上げなくてはならなくなったNERVメンバー(カヲルくんも居るけど)がアイディアを出し合うという楽屋ネタというか完全なギャグドラマなんですが、庵野監督自身が脚本・演出を務め、あまつさえ「その他」役で出演まで果たしているというある意味貴重なドラマとなっております。

たまたま本棚の奥にあったこのCDを見つけて、懐かしくなって聴いていたんですが、エヴァが完結した今改めて聴くとなかなか示唆に富んでいると言いますか、庵野監督がやりたかったコト(?)って昔から変わらなかったんだなと思ってしまうような内容だったりするワケです。

話の流れ的には、エヴァの人気を再度盛り上げるためにはどのようなテコ入れを行うべきか、というアイディア出しを各キャラクターたちがやっていくんですが、その内容が「なんかコレ新劇場版シリーズで達成されているコトが多いな……」と感じるんですよね。以下ざっと列挙してみますと、

  • [提案]カヲル君の復活 ⇒ 復活どころか月に大量にストック(?)されている
  • [提案]お色気要素の強化(具体的にはスケスケのプラグスーツ) ⇒ 破のアスカのプラグスーツ
  • [提案]主役(シンジ)が根暗なので交替させる ⇒ シンの最後には神木隆之介ボイスの別人レベルにすげ変わり
  • [提案]レイをもっと喋らせる ⇒ シンの「そっくりさん」が好奇心旺盛でよく喋る
  • [提案]戦隊モノをやる ⇒ さすがにこれは無かった(でも庵野監督今でも大好きだよね多分)
  • [提案]エヴァを変形合体させる(初号機が大型航空機に、弐号機が新幹線に、零号機が万能水中戦艦に……etc) ⇒ 初号機を動力としたAaaヴンダー、JR西日本の新幹線コラボ・シンカリオンコラボ(新劇場版とは関係無いが)、万能水中戦艦……はそれナディアだろう(Aaaヴンダーがこの要素を引き継いでるともいえる)
  • [カヲルのセリフ]「愛する人のために仲間を裏切り正義に寝返り、味方につくのも世の王道だよ」 ⇒ 裏切ったかどうかは知らないけど、新劇場版におけるカヲル君の立ち位置は良くも悪くもシンジの味方
  • [提案]敵(使徒)の正体がわかりづらいので自己紹介させる ⇒ さすがに自己紹介はしなかったが、最後はシンジとゲンドウがエヴァ同士で直接対決するという極めてわかりやすい構図に落とし込んだ
  • [提案]舞台を宇宙へと変える(作画の労力も減るから) ⇒ マイナス宇宙!
  • [提案]ペンペンが日本語を喋る ⇒ さすがに喋らなかったがエラい増殖してた(?)
  • [提案]胸のすくようなアクション ⇒ まあアクションシーンは凄かったんじゃないでしょうか
  • [提案]トレンディドラマ ⇒ まあ恋愛要素は多かったんじゃないでしょうか
  • [提案]指令、交替 ⇒ 渚指令!
  • [提案]円盤使徒によるNERV全滅 ⇒ まあNERVはほぼ滅んでいるようなもんだし(?)、円盤使徒なるものは出てこなかったけどキモいエヴァは大量に出てきた
  • [提案]旧キャラクターの整理・新キャラクターの登場 ⇒ 旧キャラクターはトウジやアスカが立ち位置という意味では整理されていて、新キャラクターはかなり多い
  • [提案]エヴァ兄弟 ⇒ 兄弟か知らんけどようわからんエヴァが大量に出てきた
  • [提案]耽美が足りない ⇒ Qでかなり補充されたのではないでしょうか

なんか聴けば聴くほど、エヴァンゲリオンというか、庵野監督の頭の中を構成しているものって大きくは変わってないのではないかと思えてきます。そして思いつく限りの「サービス、サービスゥ」要素をぶち込んだのが新劇場版シリーズであり、その集大成が『シン・エヴァンゲリオン劇場版』だったワケですね。

なお、このCDドラマは提案が出すぎて収集がつかなくなり、「過剰なサービスは破滅の元、いかに最小の労力で新作を作るか」というところでオチがつくワケですが、このあたりはあのテレビ版の流れを受けての反省と自虐がひしひしと感じられるところ。その過剰なサービスを可能な限り回収してきたのが新劇場版だと考えると、そりゃあ時間が掛かるワケだと納得せざるを得ません。庵野監督ってもともとサービス精神旺盛な方なんですよね。

このCDを聴いたコトが無いという方は、一度聴いてみることをオススメします。さすがに新品はもう入手できませんが、中古品だったらそれなりに出回ってないかな?(あるいは古いエヴァファンだったら持ってる人けっこう居ると思うので貸して貰うか……) 今聴くと、ポリコレ的にアウトだろうという表現もあるので再販は無理だろなあ……。