大須は萌えているか?

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PS4 『Outer Wilds』をプレイしてみた話(ネタバレ無し)

最近、PS4の『Outer Wilds』というゲームを購入してプレイしてました。2019年10月に発売されたことになっているのでかれこれ1年半くらい前のゲームというコトになりますが、インディーゲームというコトもあっては発売された当時は全然知らなかったゲーム。ただ、発売後じわじわ人気が広がっていったようで、SNSで時折名前を聞くようになり、たまたまPS Storeのセールで安く売っていた(1,800円くらい)のを見かけたので買ってみたのでした。

安いゲームなので購入する際の心理的な障壁は低かったのですが、しばらくプレイしてみると「エラい難儀なゲームを買ってしまった」と後悔の念が湧き上がってきたりもして。なにせこのゲーム、プレイを始めた直後には何を目的としたゲームなのかもわからない。まずはここはどういう世界なのか、ここで何が起きているのかというコトを把握するところから始めないといけない(そもそも舞台は地球ではないし、主人公らは人間でもない)。メジャーなゲームだとわかりやすいチュートリアルがあったりするけど、そんなものは全然無い。……とはいえ、あちこちに情報の断片は転がっていて、それらをつなぎ合わせていって世界のことを理解しつつ、次に取るべきアクションをプレイヤー自身が考えていく、という流れになるワケですね。

最近は大手メーカーのゲームしか遊んでいなかったので、最初からプレイヤーを突き放すかのようなこのゲームの流れはある意味新鮮というか、むしろ昔のファミコン時代のゲームを連想してしまうほどでした。ただ、このゲームって最初からあらゆる場所にいける状態になっているんですよね。どこかにいるボスを倒して特殊なアイテムを入手しないと行けないとか、特殊なスキルが必要とかそういうのが一切無い。「知ってさえいれば」どこにでも行ける。必要なのはとにかく知識の積み重ねというワケです。

んで、ゲーム内で得た情報をまとめて体系的に参照できる仕組みは用意されているんですが、これだけだと不十分という問題があります。例えば、ゲーム内で「意味が良く分からないから後回しにしよう」と思った場所や、特定の場所に到達した道のりなんかは記録されているワケでは無いんですよね。つまり、プレイヤー自身の記憶の蓄積もゲームクリアのための大きな道しるべとなる……というか、むしろそれが一番重要かもわからんですね。なので、「難しいわコレ」とか言いながら1ヶ月くらいプレイを中断してしまうと、もう完全になにがなんだかわからなくなります。なので、1度手を着け始めたが最後、諦めて完全に放り投げるか、クリアするまで齧り付くかの2択になるワケです。なんと恐ろしいゲームか。

私がこのプレイヤー自身の記憶の重要性に気付いたのはもうそこそこゲームが進んだあとのコトだったので、後半は大いに難儀しました。まあ、記憶に加えてある種の「ひらめき」が要求されるようなシチュエーションも多々あるんだけどさ。途中何カ所かどうにも分からなくって、WEBでヒントを覗いちゃったりはしましたね。時間を掛ければノーヒントでもいずれは先に進めるとは思うんですが、正直どれくらいの時間が掛かるのやら……。基本的には「観察する⇒仮説を立てる⇒アクションを起こす⇒結果を検証する」というサイクルを繰り返していくことになるんですが、上手くいかないときはひたすらトライ&エラーを繰り替えす羽目になるので、我慢強い人でないと正直辛いかもしれません、このゲーム(私はけっこう気が短いので難儀しました)。ノーヒントでクリアできたという方、心から尊敬いたします。

あと、操作性は正直かなり悪いと思います。特に最初はストレス溜まりまくり。要領が分かってくれば良いんですが(ポイントは「速度同調」だ)、それでもちょっと雑な操作をした瞬間にヒドい目に遭うことは多数。失敗したあとに同じ手順を繰り返すのにも結構な時間が掛かる場合もあったりして、こうしたストレスの積み重ねはけっこう心理的に来るものがあります。正直、制作側の悪意すら感じる場所もあります。せめて、もう少し手戻りを楽にする仕組みがあって欲しい。何度もやり直すのが大前提なゲームなんだから。1日に何時間もぶっ通しでプレイするというよりは、時間を区切ってコツコツとプレイを重ねていったほうが良いかも知れません。それからスクリーンショットなりメモなりを取りながら進めていったほうが良い。

インディーゲームなのでこれくらいエッジが効いている作品もアリだと思いますが、大手メーカーの「親切な」ゲームばかりをやっていた身としてはかなりキツいゲームでした。それでも、いくつかヒントを見ながらではありますがクリアはできたので肩の荷が下りた気分です。手を着けてしまった以上、最後まで完走するしかないなとは思っていたので。

しかしこの、注意深く物事を観察し、仮説を立て、検証してみるという一連のフローを繰り返し、ユーザー自身の知識を高めていくことで状況を突破していくという経験は、実社会においても非常に有益だと思うんですね。そういう意味では、いろんな人にプレイしてみて欲しいゲームだとも思います。このゲームに向き合う姿勢って、その人の仕事観をも表してたりするんじゃないかな?(ついヒントを覗いてしまった私は……推して知るべし)