大須は萌えているか?

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F1[21] イギリスGP スプリント予選

F1史上初の試みとなったスプリント予選、なかなか面白かったですね。毎回ここまで盛り上がるかどうかは、もう少し回数を重ねてみないとわかりませんが……というワケで、F1イギリスGPスプリント予選。

金曜日から気が抜けない

このスプリント予選のフォーマット、金曜日にFP1とスプリント予選のグリッドを決めるための予選(ややこしい)、土曜日にFP2とスプリント予選、日曜日に決勝が行われる形となっており、つまり金曜から日曜まで毎日1度は「真剣勝負」のセッションがあるようにした、とも言えそうですね。本来なら金曜はフリー走行だけが行われる日なので、そこまでセッションをガン見する気も起きなかったんですが、従来の予選フォーマット同様の真剣なアタックが行われるとあっては金曜日から真面目に見ざるを得ません。

またチーム側からしてみればFP1の1時間だけでセットアップを決めきらないといけないので、FP1でもどんどん積極的に走らざるを得ず、結果的に見ている側からしてみれば常にクルマが走っているもんだから退屈せずに済む、というワケです。ただ、金曜日の予選が行われた段階でクルマがパルクフェルメ状態となるため、土曜のスプリント予選前に行われるFP2の存在がちょっと中途半端に感じるのは確かですね。チームとしてはそこでセッテイングの変更ができないもんだから、タイヤのデータ収集くらいしかできないでしょうし。

ハミルトンは記者会見で「週末を1日削って土曜日と日曜日だけにしたほうが良いんじゃないかな、クルマが走る日が(年間で)23日少なくなって環境的にも良いでしょ」みたいなコメントをしていますが、その場合土曜日にフリー走行と予選、日曜日にスプリント予選と決勝という形になるんでしょうか。なかなかのルーキー殺しな日程な気もしますが、年間レース数がずんどこ増えている現状を考えるとレース日程を1日減らすというのは案外現実的な提案なのかもしれません(前にも誰かが同じようなこと言ってた気がするけど)。ただ、観る側としても金曜日は金曜日の面白さがあったりもするので、もし2日間開催が本気で議論されたりするとファンの間でも賛否がわかれそうな気もします。

In my opinion, it only needs to be a Saturday and Sunday weekend, that means we have one whole day less, 23 days actually less of driving these cars around the track and obviously that would be better in terms of going more green.

via: Lewis Hamilton : FIA post-Sprint press conference - Great Britain | Formula 1®

フェルスタッペンはこのスプリント予選のフォーマットにしっくりきていない様子ですが、全体的には概ね好意的に受け止められている雰囲気ではありますし、ひょっとしたら定番化していく可能性もありますね。

ソフトタイヤ勢が強かった

んで、金曜の予選からスプリント予選を行って、順位を上げて見せたのは誰かって話なんですが。

Who gained the most positions – and grid spots – in F1 Sprint at Silverstone? | Formula 1®

こうしてみるとなんやかんやで順位が変動しており、予選とポジションが変わらなかったのは4人だけという結構意外な結果になりました。ただこれ、5番手スタートだったペレスが最後尾まで落っこちた影響もありますよね。2つ以上ポジションを上げたのはアロンソ(+4)・ベッテル(+2)・オコン(+3)・ライコネン(+4)という結果になったワケですが、この4人のうちソフトタイヤでスタートしたのが3人というのが一番大きな特徴ですよね。ソフトスタートで唯一ポジションを上げられなかったのがボタスで、彼もスタートは良かったんですけど蹴り出しが悪かったハミルトンに対して退いたのが影響しちゃった感じ。

スプリント予選のスタートタイヤは自由に選択できたワケですが、ほとんどのドライバーがミディアムタイヤを選んだ中で、ややギャンブルと見られたソフト勢がここまで強さを見せたのは面白かったです。追い抜きがやや難しいサーキットであれば、蹴り出しでポジションを奪ってペースが落ちる中盤以降は後にフタをしながら逃げ切る、という作戦が思いの外有効なワケですね。アロンソはさすがにマクラーレン勢には抗しきれませんでしたが、それでもインパクトは抜群でした。ソフトスタートの作戦が上手くハマるには「多くのマシンはミディアムを選択している」かつ「追い抜きが難しい」サーキットであるという条件が必要になる感じでしょうか。

あと、この4人のドライバーの中で3人がワールドチャンピオン経験のあるベテラン、というのも特徴的ではあります。17周のスプリントレースという初めてのシチュエーションに対しても、勝負所を的確に読み切る力というのは経験豊富なドライバーの方が有利、というコトでしょうか。スプリント予選も何度か開催されていくうちに皆が慣れていって順位変動が全然起こらなくなっちゃった、なんてコトになる可能性も否定はできませんが、まず初回としては面白いセッションでした。

ペレスのケースを見ても明らかなように、スピンやコースアウトを一発してしまうとほぼ致命的という特徴もあるので、ヘタにリスクを取れないっていうのも間違いないんですよねえ。

決勝に向けて

スプリント予選の結果としては、2番手スタートだったフェルスタッペンが上手いことスタートで出し抜いてトップを快走、ポールポジションを獲得したワケですが、今回はレッドブルはコーナー重視、メルセデスはストレート重視という特徴が顕著に出てますね。メルセデスにしてみたらフェルスタッペンの前に出て、ストレートの速さを活かしてフタをしながらハミルトンとボタスの2台で封じ込める策を考えたいところですが、問題はタイヤですね。ミディアムタイヤでもフェルスタッペンとハミルトンの双方ともブリスター出てたしね。マシンを止めたあと、2人がお互いのマシンのフロントタイヤをじろじろ見ていたのが面白かったですが、決勝のスタートタイヤをどうするか、ピットストップ1回でいくのか2回にするのか、っていうところですね。メルセデスは決勝でも作戦分けるでしょうか。

今回からリヤタイヤの構造が新しくなったとのことですが、これでバースト祭りは回避されるんでしょうか。でも去年シルバーストーンでダメになってたのは左フロントですよね……。

スプリント予選の場合は順位に関わらず決勝のスタートタイヤを自由に選べるとのコトなので、ある意味フタを開けてみないとわからない面白さはありますね。ただ、レースペース的にはどうやらフェルスタッペンを前に出してしまったらメルセデスとしては苦しい展開になる、というのは間違いないようです。メルセデスとしては是が非でも勝ちたいレースでしょうし、逆にここをフェルスタッペンがモノにした場合シーズンの流れが決まってしまうような気配も感じます。

あ、あとラッセルはサインツとの接触で3グリッドダウンのペナルティみたいですね。お咎めナシになるかと思ったんですが。

George Russell hit with three place grid penalty for Sunday’s British GP after Sainz clash in F1 Sprint | Formula 1®

金曜日の予選では2戦続けてのQ3進出を果たしていたラッセル、なんだかスプリント予選で水を差された格好になってしまいました。ウィリアムズにとっては嬉しくないシステムかもね、コレ。

そういや、イギリスGP開幕に先立って2022年モデルのF1マシンのコンセプトモデルが公開されてましたけど、これを見る限りはなかなかカッコ良い……。

“Everything you need to know about the 2022 F1 car”(動画)

やっぱり一番目を引くのはエアロの変更ですかね、前後のウイングの比率を小さくして床下のダウンフォースを強化するコトで乱気流の影響を受けにくく、オーバーテイクしやすいマシンを作ろうというワケですが、1970年代後半から1980年代前半まで流行っていた「ウイングカー」に比べるとかなりスタイリッシュになっており、時代の流れを感じます。エアロコンセプトがガラリと変わるため、今年の勢力分布が激変する可能性も秘めているワケですが、これ見るとメルセデスが来季の開発に極力リソースを割きたがっているのも理解できますね。